人気上昇中の基本プレイ無料マルチプレイロボシューター『War Robots: Frontiers』は、「いろんな意味」で重かった。選択も機体も重い、重量ロボット操縦体験
マルチプレイSFロボットシューター『War Robots: Frontiers』にて「シーズン2:パワーサージ」大型アプデが配信開始され、PS5/PS4版の配信も始まった。本稿では本作がもつ、独自の魅力を掘り下げていく。

パブリッシャーのMY.GAMESは6月17日、『War Robots: Frontiers』に「シーズン2:パワーサージ」を実装する大型アップデートを配信した。あわせて、日本を含むアジア地域でのPS5/PS4版の配信も開始している。
『War Robots: Frontiers』のジャンルはマルチプレイSFロボットシューターだ。プレイヤーは戦闘用機械「ウォーロボット」に乗り、地球から何光年も離れた惑星系「ワイルドテン」の覇権をかけて他プレイヤーと争う。
レーザー兵器やワープといった技術が登場するなどSF色が強い本作。だが、筆者がプレイして感じた魅力は、そうした世界観からは想像しにくい、「機体操作の重量感」がもたらすリアリティ、そしてひとつのミスが致命的になり得る「状況判断の重圧」だ。2つの“重み”が生み出すじわじわとした緊張が、本作の独特のプレイフィールと中毒性の源になっている。
本稿では、3月5日に正式リリースを迎え、「シーズン2:パワーサージ」の実装やアジア地域でのPS5/PS4版の配信開始により、さらなる盛り上がりを見せている『War Robots: Frontiers』のプレイ感想を通じて、他のロボゲーとは違う本作独自の魅力を掘り下げていく。
特撮的な重量感がもたらす、“自機を操縦している”実感
『War Robots: Frontiers』をプレイしてまず印象的だったのは、プレイヤーが搭乗するウォーロボットの重厚な操作感だ。歩行速度はゆったりとしており、強い慣性が働くため急な動きは困難。ダッシュは燃料を大量に消費するため連発できず、ジャンプは跳躍→滞空(ブースト)→着地のプロセスを丁寧に描くため、時間がかかり無防備になる。空中をスイスイ飛び回るなんてもってのほか、最初は段差を飛び越えるのも一苦労だ。ハイスピードな移動で爽快感に振り切ったロボゲーも多い中で、ともすれば操作性が悪いと思われかねないほどのこの重量感ある動きは異質だ。しかしなかなかどうして、これが楽しいのである。

ウォーロボットは数十メートル規模の高さがあり、一歩一歩力強く踏み込む歩行は、眼下のコンテナや車両を簡単に踏み潰す。ダッシュ後に急ブレーキをかければ地面に火花が上がり、高所からの着地ではずっしりと沈み込むサスペンションの駆動を感じる。特撮映画で巨大ロボをあえてスロー撮影し、アングルや演出を工夫することで巨大さを表現するように、『War Robots: Frontiers』のウォーロボットも、ただ動きが遅いだけでなく、質量やスケール感を演出する細かなこだわりが随所に詰め込まれている。そのおかげで、この重みがストレスではなく、「自機がそこに存在している」と思えるほどのリアリティをもたらしているのだ。


“ロボの見た目をしたプレイヤーキャラ”を動かすのではなく、キーボードやコントローラーを操縦桿として「巨大ロボを操縦している」と思えるこの感覚は、本作のトレイラーやスクリーンショットから感じるSF的な印象からは想像もつかなかったもので、いい意味で裏切られた。
また、本作の特徴の一つであるウォーロボットのカスタマイズでは、下半身のパーツ「シャーシ」を変更することで移動性能が大きく変わる。近距離攻撃が得意な「フランカー」タイプで素早く動いて敵を翻弄することもできるし、「ディフェンダー」タイプでは移動速度を犠牲に圧倒的な防御力を得られる。

各パーツで移動速度やダッシュの距離、燃料の容量などがまったく異なるため、各機の操作感に習熟することがそのまま戦場での優位性につながる。また1回の戦闘ではウォーロボットを5機、超巨大ロボ「タイタン」を1機持ち込むことができるため、戦況に応じて違う機体を使うこともできる。ウォーロボットの重さが演出だけでなく、ゲームバランスや戦略にも影響を与える要素となっている。

操作に慣れるのに時間がかかる分、敵の攻撃が当たる寸前でダッシュを使って遮蔽物に隠れたり、ジャンプでちょうど燃料を使い切るギリギリの高さの建物を越えたりなど、思った通りの動きができた時の喜びは格別だ。そんな「動かしているだけで楽しい」というロボゲーの原始的な喜びを、本作は実感させてくれる。
状況判断の重圧と、瀕死になりながら戦う緊張感
『War Robots: Frontiers』はマルチプレイ専用シューターであり、6対6の計12人のプレイヤーで戦う。本作はゲームプレイの核となる対戦においても、独特な魅力を放っている。なかでも、すべての装備にしっかりとクールタイムが設けられていることによる、「ひとつの判断ミスも許されない」という重圧、そして絶妙な体力設定による「瞬時に勝敗が決まらない」というヒリヒリした緊張感が印象的だ。

前述のとおりウォーロボットの動きは重く、ダッシュやジャンプに使う燃料は回復に時間がかかる。無策でダッシュして敵陣に突っ込めば、燃料の切れた状態で敵に囲まれ蜂の巣にされる、なんていうことも珍しくない。各機が持つ特殊スキル「ギア」は強力だが、クールダウンに数十秒かかることもあり、武器のリロードも長いもので5秒以上かかる。ダメージを防ぐシールドも、しばらく無傷でいないと回復しない。つまり、プレイ中に万全な状態がほとんどないのだ。

かといって後ろに身を潜めていれば、上空からの誘導ミサイルであっという間に撃破されることもある。常に何かが不足している状態で動き続ける必要があり、装備使用時には「このタイミングでこれを使っていいのか」「絶対に外せない」という重圧がつきまとう。プレッシャーに負けて照準がずれ、ミサイルを全弾外すこともあれば、絶体絶命のピンチでテレポートを発動して難を逃れることもある。選択の重みが感情を揺さぶり、熱い駆け引きを生んでいる。

また機体の絶妙な体力設定も、緊張感を生む要因のひとつだ。戦闘時は敵機の上に、6つの部位に分かれた体力とシールド残量が図で表示される。シールドを削って、どれか1つの部位の体力をゼロにすると破壊できる仕組みだ。機体の相性にもよるが、体力とシールドが満タンの敵を、一度の射撃やギアで倒しきるのは難しい。これは裏を返せば、お互いに“撃たれながらも次の一手を考える必要がある”ということだ。
相手のシールドが回復する前に猛攻を続けるのか、ダッシュを使って遮蔽物に隠れるのか、それとも後ろに下がって味方と合流するのか。武器の有効距離は?敵の移動速度は?ギアのクールタイムは?これらをダメージを受けながら冷静に考えなくてはいけない。残り体力の少ない部位は図が赤く染まり、見た目もボロボロになる。明らかに瀕死だと視覚で伝わるので、ダメージを受けるほど緊張感も加速度的に上昇していく。

そんな極限状態で知恵を絞り、全身の体力表示が真っ赤になりながらもギリギリで敵機を撃破したときの快感は、筆舌に尽くしがたいものがある。そんな泥臭く勝利をもぎ取る体験に、本作の魅力が詰まっていると感じた。
常に重圧の中で判断を迫られる本作だが、そこには明確な意図がある。じわじわ積み上がった緊張を解放するための“仕掛け”が用意されているのだ。それが本作の切り札、「タイタン」である。
緊張感が高揚感へと反転する、巨大ロボ「タイタン」によるカタルシス
タイタンは、敵にダメージを与えることで蓄積される「タイタンポイント」が100%に達すると呼び出せる巨大な機体で、通常のウォーロボットとは比べ物にならない耐久力と火力を備えている。

本作の試合展開は、前半がウォーロボット同士の緊張感の高い駆け引きになる。前述した重圧の中、常に押し引きの判断に頭を使わされる。その中でゲージをコツコツ溜めていき、ようやくタイタンを呼び出せたときには、一気に攻めに転じられる高揚感がある。
火力面でもビジュアル面でも圧倒的な存在であるタイタンは、ゲーム後半の展開を大きく動かす切り札となる。特に軌道から衛星によるレーザーを浴びせる「ファイアーストーム」、周囲に大量のドローンを飛ばして敵を切り刻む「スウォーム」などの強力なギアは、ロボット操作の重厚感とは対照的な派手さがあり、威力も段違いだ。単に“強いロボを出せる”という話ではなく、前半に積み上げた緊張や焦燥を受け止めた上で、そのピークに放たれるからこそ得られる解放感、カタルシスがある。


本作はこの「緊張」と「解放」のリズム設計が非常に上手くできていて、単にプレイヤーに負荷をかけるだけではなく、それを乗り越えたときの達成感もしっかり用意してくれている。「緊張と緩和」とでも呼ぶべき2つの遊びが、何度も続けてプレイしたくなる中毒性の高さを印象付けている。
“重さ”から生まれるリアルな戦闘体験、硬派なこだわりが光るマルチプレイロボシューター
『War Robots: Frontiers』をプレイして最も印象的だったのは、何よりも「機体を動かす重量感」と「ひとつひとつの判断の重圧がもたらす極限の緊張」だ。この2つが絡み合い、プレイヤーに深い没入感とリアルなプレッシャーを与えることで、単なるSFロボットシューターの枠を超えた独特のゲーム体験を生んでいる。

一歩を踏み出すごとに感じる緊張、そしてその緊張がタイタン召喚によって一気に解放されるドラマ性は、まさに『War Robots: Frontiers』の核心である。美麗なグラフィックや直感的なUIなど、プレイ環境も非常に整備されているため、この「緊張と解放の連鎖」を純粋に楽しむことができるだろう。
本作は基本プレイ無料で提供されており、誰もがすぐにこの特異な重量感を体感できるのも大きな魅力だ。また、本日6月17日からは日本を含むアジア地域でのPS5/PS4版の配信も開始された。他機種とのクロスプレイにも対応しているため、さらなるプレイ人口の増加が見込まれる。
同じく本日6月17日からは、「シーズン2:パワーサージ」が開始された。目玉となるのは3種の新型機体。ホログラフィック投影技術を持ち、偵察に長けたトリックスター「Loki」や、味方の強化と敵の弱体化が可能な、バイオテクノロジードローンを展開するディフェンダー「Mesa」の2種の新ウォーロボットにくわえて、新たなタイタン「Volta」が登場する。
本作初となる四足歩行型のタイタンであるVoltaは、ダブルジャンプやホバリングなど移動に特化したアビリティを持ち、これまでとはまた違った操作感や重みを感じさせてくれる機体だ。敵のギア発動を妨害しつつ攻撃する電気兵器や、投射物をブロックしながら通過したものにダメージを与えるバリアなど、個性豊かな装備も内蔵しており、敵を圧倒できるだろう。
「シーズン2:パワーサージ」では他にも新ゲームモード「スピアヘッド」や既存マップの改善、限定アイテムが手に入るバトルパスなど、戦略性と楽しみがより深まる数々のコンテンツが追加された。さらに戦火の勢いを増す『War Robots: Frontiers』独自の「重みと緊張」、そしてその果てに訪れるカタルシスをぜひとも自らの手で味わってほしい。
『War Robots: Frontiers』はPC(Steam/Windows)/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中。ゲーム内は日本語表示に対応している。