未来魔女オープンワールド生活ゲーム『Crescent County』、一躍大注目作にのし上がる。“パブリッシャー50社総スカン”の苦境を打破

Electric Saintは5月21日、魔女オープンワールド『Crescent County』のクラウドファンディングキャンペーンをKickstarterで開始。24時間足らずで目標額を達成し、大成功を果たしている。

デベロッパーのElectric Saintは5月21日、『Crescent County』のクラウドファンディングキャンペーンをKickstarterで開始。24時間足らずで目標額を達成し、そのまま第1ストレッチゴールも達成するという成功を見せている。

本作は、オープンワールドアドベンチャーゲームだ。自然と科学技術が共存した未来、いわゆるソーラーパンクな世界観が採用されている。舞台となるのは技術が発達した魔法世界における、三日月型のMorという島。本作の世界ではMotorbloomと呼ばれるバイクのような箒が普及しており、プレイヤーは生き方を模索する若者Luとして、島を走り回りながら生活を送っていく。


『Crescent County』では、日中は配達屋としてさまざまな仕事を請け負う。先述したMotorbloomを駆り、荷物を届けたり、羊を追い回したり、魔力の流れ(leylines)を修復したりしながら島民たちの困りごとを解決していく。そして夜は自慢の愛車でストリートレースに出場。恋愛要素もあり、意中の相手とレースして仲を深めることもできるようだ。

そうして稼いだお金で、Motorbloomをアップグレードすることも可能。パーツを交換して性能を強化したり、Sigil Stickersを貼り付けて時間巻き戻しやフェーズシフトといった特殊能力を付与したりすることができる。Motorbloomを強化することで、請けられる仕事も増加していくという。このほか家を飾り付けるシステムもあり、島民を自宅に呼んで交流もできるそうだ。

本作は2024年6月に発表。開発を手がけるElectric Saintは、Pavle Mihajlovic氏と、『Fall Guys』にてリードアーティストを務めたAnna Hollinrake氏が設立したスタジオだ。実績あるクリエイターがスタジオを設立して手がけることもあり、一定の注目を集めていた。


一方で本作は、2年をかけて50社以上のパブリッシャーに売り込んできたものの、すべて却下されてきたそうだ。世界中のゲーム業界で新規IPかつ新しいチームはパブリッシャーから支援や資金を得るのが困難な状況があったという。

それでも本作を完成させたいという想いから、Electric SaintはこのたびKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンを実施。24時間足らずで目標額となる4万5000ポンド(約870万円)を突破し、本日には第1ストレッチゴールとなる6万ポンド(約1160万円)を記録した。第1ストレッチゴール達成によりLo-fiビートで構成された配達中に聴けるラジオのラインナップが増加する見込みだ。

ゲーム業界では特にコロナ禍収束後から、海外を中心に苦境も色濃くみられる。そうした状況では実績あるスタジオでもパブリッシャー探しに苦心したり、あるいはパブリッシャーとの契約打ち切りによる開発中止が伝えられたりすることもあった。本作も一定の注目を浴びていたものの、パブリッシャー探しには苦戦を強いられてきたのだろう。50社ものパブリッシャーに断られていたという報告からは厳しい状況がうかがえる。


とはいえ今回、クラウドファンディングキャンペーンにて資金を募るという方針転換は功を奏した様子だ。すでに1000万円以上の資金を調達しており、キャンペーンは6月18日まで期間を残している。第2ストレッチゴールを達成できるかどうかも注目されるところだろう。


『Crescent County』はPC(Steam)/Xbox Series X|S向けに開発中だ。発売時にゲームキーが提供されるリワードも用意されており、20ポンド(約3900円)から受け付けられている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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