大ヒット中の麻薬密造シム『Schedule I』に対し、“別の麻薬ゲーム”販売元が「権利侵害の疑いあり」と表明。犯罪シム同士で法廷バトルの可能性浮上
麻薬密売シミュレーションゲーム『Drug Dealer Simulator』シリーズのパブリッシングを手がけるMovie Games S.A.は4月3日、類似ジャンル作品『Schedule I』による知的財産権侵害の兆候を確認したとプレスリリースを通じて明らかにした。

麻薬密売シミュレーションゲーム『Drug Dealer Simulator』シリーズのパブリッシングを手がけるMovie Games S.A.は4月3日、類似ジャンル作品『Schedule I』による知的財産権侵害の兆候を確認したとプレスリリースを通じて明らかにした。
『Schedule I』は、薬物の密売をテーマにした一人称視点のシミュレーションゲームだ。ドラッグの製造・販売を通して薬物帝国を築き上げ、お金もモノも人脈もない状態から暗黒街の頂点を目指していく。同作を手がけるのはオーストラリアに拠点を置くTVGS。開発者のTyler氏による個人デベロッパーだ。インディー作品ながら多くの注目を集め、発売日からランキングにその名を轟かせている(関連記事)。Steamの公式データベースであるSteamチャートでは、本稿執筆時点で『Counter-Strike 2』に次ぐ第2位の同時接続プレイヤー数を記録している。
一方の『Drug Dealer Simulator』シリーズは、シミュレーションゲームを多数手がけるMovie Games S.A. が展開する麻薬密売シミュレーション。薬物を製造するアジトを築き、ギャングとして成り上がる作品だ。1作目の『Drug Dealer Simulator』および、オープンワールドで協力プレイが可能な続編『Drug Dealer Simulator 2』がリリースされている。また、麻薬がテーマのNetflixのドラマシリーズ「ナルコス」とのコラボ作品『Drug Dealer Simulator x Narcos』が2025年に登場予定だ。
4月3日にMovie Games S.A.がポーランドの報道機関PAP Biznesに投じたプレスリリース(ポーランド語)によると、同社は知的財産および不正競争を専門とする法律顧問からの報告を受け、『Schedule I』が同社の知的財産権を侵害している可能性などがあることを確認したという。また同社は『Schedule I』の配信日である現地時間3月24日の時点で『Drug Dealer Simulator』との比較分析を開始したとしており、ゲームのプロット・メカニクス・UIなど多数の要素に疑惑が生じたとのこと。今後同社は、『Schedule I』の開発元に適用されるオーストラリアの法律の専門家と連携し、問題解決に向けて必要なアクションをとっていくようだ。

『Drug Dealer Simulator』シリーズも『Schedule I』も、先述のとおり麻薬の製造や密売をテーマとするゲームだ。Movie Games S.A.側が具体的にどの要素に権利侵害の疑いをかけているかは定かではないものの、題材やジャンルを同じくするゆえに似通った要素もあるのだろう。本件は現時点ではまだ調査段階とのことだが、訴訟に発展した際にはどのような司法判断が下されるのか気になるところだ。

なお『Schedule I』はすでに高い人気を得ており、目覚ましい業績を上げているとみられる。大ヒット作、しかも「犯罪シミュレーションゲーム」の権利を巡って訴訟の可能性が浮上した点でも話題になっているようだ。なお今回の報道を受けて、『Drug Dealer Simulator』や『Drug Dealer Simulator 2』のSteamユーザーレビューにおいては、Movie Games S.A.側を一方的に批判する低評価レビューが投じられ、いわゆる“レビュー爆撃”が発生している。混乱も生じており、Movie Games S.A.およびTVGSが今後どのような対応をおこなうのか注目したい。