新作メトロイドヴァニアRPG『Twilight Monk』は寄り道の「強烈ご褒美」がとても楽しい。探索しただけ強くなれる、“寄り道推奨”メトロイドヴァニア

本稿では『Twilight Monk』をプレイした感想を紹介する。あちこち探索して主人公を強化していくのが楽しい、メトロイドヴァニアらしい作品だった。

パブリッシャーのグラビティゲームアライズは3月27日、『Twilight Monk(トワイライトモンク)』を発売した。対応プラットフォームはPC(Steam)/Nintendo Switchで、価格は税込2200円。ゲーム内は日本語表示に対応している。

Steamストアページ:
https://store.steampowered.com/app/1911940/Twilight_Monk/?l=japanese

マイニンテンドーストア:
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000090302

『Twilight Monk』は探索型2.5DアクションRPGだ。開発元のAquatic Moonは「Twilight Monk」の物語を小説やアートブックといったマルチメディアで展開しており、本作はシリーズ初のゲーム作品というかたちとなる。シリーズの舞台となるのは「スペリア」という名の世界だ。かつては平和だったスペリアだが、あるときより世界が闇に覆われ、魔物たちが村々を荒らしまわるようになる。しかしムーンケンと呼ばれる武術集団が魔物と戦ったため、かろうじて三日月島は平和が守られた。主人公のラジエル・テンザはムーンケンの一員として、スペリアの平和を守るため戦いを続ける。

筆者は今回発売に先がけ、本作をプレイする機会をいただいた。本稿ではそんな『Twilight Monk』を一足早くプレイした感想を紹介する。結論から言うと本作は、あちこち探索して主人公を強化していくのが楽しい、メトロイドヴァニアらしい作品だった。なお筆者が体験したのは開発中のバージョンであり、製品版とは一部仕様が異なっている可能性があることをご了承いただきたい。

ひとまずストーリーを直通

RPGとメトロイドヴァニアの融合を謳う本作には、町やワールドマップが存在。マップ各地にはダンジョンが点在しており、プレイヤーは各ダンジョンを攻略して物語を進めていくかたちとなる。また本筋のダンジョンとは別に、ゲームを進行する上では行く必要がない寄り道ダンジョン的なものも存在している。

ゲーム開始直後の主人公が実行できるアクションは通常攻撃とジャンプ程度だが、ストーリーの進行に合わせて新たな移動スキルを習得し、行動範囲が広がっていく。ダンジョン内はメトロイドヴァニアらしく分岐が多めなものの、初期状態では進めないルートも多い。今はまだ進めない道の向こう側には、豪華そうなお宝が見えるだけ見えている。お宝が気になりつつも、筆者はひとまずメインミッションを追うかたちでゲームを進めることにした。

最初のダンジョンでやや迷った筆者だったが、幸い地図が用意されていたため、無事に進行ルートを発見してボスを撃破。最初のダンジョンを攻略したことでストーリーが進行し、空中ダッシュができるようになった。意気揚々と次のダンジョンへ向かうが、このあたりから攻略に苦労するようになる。シンプルに敵が強いのだ。

なかなか先に進めない

本作は回復手段がかなり限られており、能動的に回復する方法は休息ポイントで休むことのみ。やられてしまうと最後のセーブからやり直しとなる。そのため被弾は極力抑える必要があるが、分岐の多いダンジョンを右往左往しているとダメージが蓄積し、死んでしまうことがしばしばだった。

厄介なザコ敵のなかでも特に筆者が苦手としていたのが、グロブリンという敵である。体の大きなグロブリンは攻撃のリーチが長く、相手の間合いに入らなければこちらも攻撃できない。ヒット&アウェイが必須となるが、回避が少し遅れるとそのまま被弾してしまう。見た目通りタフでもあるため、なんだかんだ、いつの間にかダメージを食らってしまっていた。

体力をすり減らしながら休息ポイントで息継ぎし、やっとの思いでダンジョンの奥にたどり着くが、当然のようにボスも強い。何度もコンティニューしてボスを倒し、次のダンジョンに進むと、さらに敵が強くなっている。もはや休息ポイントから先に進むことすら難しくなってしまった。困った筆者は一度メインルートから離れ、寄り道してみることにした。

「感動的なほど」強い寄り道アイテムたち

ストーリーを進めていく途中で新たに覚えた移動スキルもいくつかあった。そのおかげで、進めなかった道の向こうに行けるようになっている。地図とにらめっこしながら探索を進めた結果、強化アイテムの数々を見つけることができた。見つけたアイテムのなかでも特筆したいものとして、「間合いの護符」がある。これは通常攻撃のリーチが伸びる装備品だが、なんとこれが先述のグロブリンに効果てきめんだった。こちらのリーチが伸びたおかげで、グロブリンの攻撃が届かない距離から一方的に攻撃できるようになったのだ。かなり苦労させられていた強敵が、ただのザコ敵になった瞬間である。攻撃リーチが少し伸びたという事実以上のインパクトがある、感動的な体験だった。

間合いの護符を始め、本作にはさまざまな効果の装備品が用意されているが、初期状態では一度に装備できるのはひとつのみだ。しかし本作には、各種モンスターを規定数撃破すると報酬がもらえる「狩り」システムが存在。狩りのご褒美でもらえるのが、護符の装備枠である。つまり敵を倒しながらダンジョンを探索することで、新たな護符を見つけつつ装備枠自体も増やしていける、というシステムになっているわけだ。さらに敵を倒せば経験値やお金ももらえるため、とにかく戦闘して損はない。

ふたたび順調に冒険が進み始めた筆者は、探索のおかげでそこそこお金が貯まっていた。せっかくなので立ち寄ったお店で売っていた武器、チャクラムを買うことに。本作は通常攻撃で使用できるのは主人公愛用の「石柱」のみだが、戦技と呼ばれる特殊技が存在しており、新たな武器を手に入れることでアンロックされていく。軽い気持ちで買ったチャクラムだったが、さっそく次のボス戦で大活躍する。

次のダンジョンのボスは、複数の敵が空中から攻撃を仕掛けてくる厄介な相手だった。主人公の通常攻撃のモーションは横方向には強いが、縦方向には弱い。そのため空中から襲ってくる敵は全体的に対処が難しく、このボスも苦戦が予想された。しかしチャクラムの戦技は斜め上に強いモーションのため、空中の敵対策にぴったりだった。さらにチャクラムは攻撃が敵を貫通するため、複数のボス体にまとめてダメージを与えられ、効率も良い。チャクラムを連打しているだけで、苦戦すら予想していたところを、なんとあっという間に勝利することができた。

これまでのボス戦では大抵苦戦し、複数回のコンティニューが当たり前だったため、筆者はあっけない勝利に驚いた。とはいえ、このボスがたまたま弱かった、というわけでもなさそうだった。もしチャクラムを持っていなければ、攻撃を当てることすら難しい相手だっただろう、という感触があったからだ。どうやら本作の少なくとも一部の敵は、特定の戦技や護符が大きな効果を発揮するようにデザインされているように見える。

ふだんの筆者はアクションゲームで強敵に遭うと、その場で何度もコンティニューし、気合いで突破しようとするタイプである。しかし本作に限っては、強いボスに出くわした際は少し前の場所に戻り、探索しながら主人公を強化するようになっていた。ひとつのアイテムで強敵を圧倒できるようになる体験が楽しかったのだ。筆者はすっかり寄り道にハマり、新たな移動スキルをアンロックするたびに世界を駆けずり回って、お宝を探すようになったのだった。

探索が楽しいメトロイドヴァニア

本作の印象をまとめると、『Twilight Monk』はなにより探索による強化が楽しいメトロイドヴァニア作品だった。あやしい場所には必ずと言っていいほど何か用意されており、探索に徒労感がない。そうして見つけた戦技や護符が特定の敵に多大な効果を発揮するなど、成果も実感しやすい。狩りシステムやちら見せされるお宝など、探索を促す各種要素がプレイヤーを寄り道へと誘い、初見では難しく感じるダンジョンやボスも自然と攻略できるようになっていく。

ステージを隅から隅まで探索するのが好きという人や、工夫して強敵を倒すのが好きだという人には、特にオススメしたい作品だ。大抵の強敵には“答え”となる装備やスキルが用意されていたと感じており、どのスキルを試すか、戦略を練る楽しみも味わえるアクションゲームだった。一方、今回筆者は試していないが、あえて装備を活用せずとも、敵のモーションを見切ることで進んでいけるバランスにはなっていたとも感じている。挑戦を求める方はストイックなアクションゲームとして遊んでも楽しめるだろう。

『Twilight Monk(トワイライトモンク)』はPC(Steam)/Nintendo Switch向けに発売中だ。価格は税込2200円で、ゲーム内は日本語表示に対応している。

Steamストアページ:
https://store.steampowered.com/app/1911940/Twilight_Monk/?l=japanese

マイニンテンドーストア:
https://store-jp.nintendo.com/item/software/D70010000090302

Akihiro Sakurai
Akihiro Sakurai

気になったゲームは色々遊びますが、放っておくと延々とストラテジーゲームをやっています。でも一番好きなのはテンポの速い3Dアクションです

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