声優・森久保祥太郎さんが、『原神』から突如降板。中国SNSでの“森久保さんへの即刻降板要求”などが関連する可能性

『原神』公式Xアカウントは3月12日、同作に出演を予定していた声優の森久保祥太郎氏について、諸般の事情で降板することになったと報告した。
本作は、基本プレイ無料のオープンワールドARPGだ。中国に拠点を置くmiHoYoが開発を手がけており、中国国外向けにはCOGNOSPHER社によるHoYoverseから展開されている。各国向けにローカライズもおこなわれており、日本向けにも各キャラのボイスを豪華声優陣が担当している。
そして森久保祥太郎氏といえば、さまざまなアニメ作品のキャラほか、『ペルソナ4』の花村陽介をはじめゲームキャラのボイスも多岐にわたり担当してきたベテラン声優だ。『原神』においては、今後実装予定とみられる新キャラ「イファ」の声優を担当する見込みであった。
しかし今回、『原神』公式Xアカウントは森久保氏が同作から降板することを発表。関係各所およびユーザーへの謝罪が伝えられた。
ただ理由については諸般の事情とされており、定かではない。そして一部ユーザーやメディア間では森久保氏が過去に出演していた朗読劇が原因ではないかという憶測が生じている。2024年8月に紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAでおこなわれた、書籍「命がけの証言」を原案とする朗読劇だ。同書は清水ともみ氏による漫画で、中国の新疆ウイグル自治区の問題をテーマとしている。なお新疆ウイグル自治区とは、ウイグル族に対し、中国共産党が弾圧をおこなっているのではないかという疑惑が報じられてきた地域だ(BBC)。
「命がけの証言」ではウイグル族が強制収容所で受けた虐待などが証言に基づいて描かれているとされるほか、清水ともみ氏と静岡大学人文社会科学部教授の楊海英氏との対談なども含まれている(Books)。そして『原神』の開発元miHoYoは、先述のとおり中国に拠点を置いている。そのため中国政府を批判する内容の書籍の朗読劇を森久保氏が仕事として引き受けたことが問題視され、降板に繋がったのではないかという憶測が集まっているわけだ。

また2月14日には中国のSNSであるWeiboのユーザーが、森久保氏がイファ(伊法)の日本語版声優となることに対して懸念を表明。同ユーザーは「命がけの証言」について“新疆ウイグル自治区問題の真相を暴くという名目で、完全に歪曲された内容や誹謗中傷が描かれている”と主張。森久保氏がそうした作品の朗読を引き受けたことを非難し、(同氏がイファを担当することは)“領土の安全を脅かす”ような問題だとして、イファ役の声優の即刻の交代を求めていた。
先述したとおり『原神』公式Xアカウントは降板の理由を明かしていない点には留意したい。ただ上述したような中国内のユーザーの意見を受けて、今回の降板につながった可能性はある。なお森久保氏の降板についてはWeibo上でも広まっており、中国ユーザーから「当然の結果」といった反応が寄せられている。