『ブルアカ』元スタッフ携わるも中止された「プロジェクトKV」開発元、警察に家宅捜索されたとの報道。ネクソンの内部情報盗用疑惑で

「プロジェクトKV」を手がけていたディナミス・ワンが、ソウル警察庁によって家宅捜索、立件されていたようだ。

開発中止となったゲーム「プロジェクトKV」を手がけていたディナミス・ワンが、ソウル警察庁によって家宅捜索されていたことが、韓国メディア聯合ニュースなどの報道によって明らかとなった。同スタジオは、『ブルーアーカイブ』の主要開発メンバーの一部が所属していたことでも知られている。

ディナミス・ワン(Dynamis One)は韓国のゲーム開発会社だ。同社内部には「スタジオアラヤ」のブランド名にて開発スタジオが存在しており、同スタジオが「プロジェクトKV」の開発を手がけていたとみられる。「プロジェクトKV」は2024年8月に発表された、ノスタルジア学園活劇だ。同作開発陣にはシナリオライターのisakusan氏などが在籍しており、同氏を含めNexon Gamesが手がける『ブルーアーカイブ』の開発に携わったクリエイターが複数所属し担当しているとされていた。

しかしそんな同作については、『ブルーアーカイブ』との設定についての類似点や、Nexon Gamesからのスタッフの引き抜きにまつわる疑惑などが存在しており、国内外で議論を呼んでいた。そして2024年9月8日には、「プロジェクトKV」の中止がディナミス・ワンから告知され、すべての関連資料が削除されていた(関連記事)。

そして今回韓国メディア聯合ニュースなどが伝えるところによれば、そのディナミス・ワンについて、ソウル警察庁が家宅捜索を実施したと報じられている。加えて同社社長を務めるパク・ビョンリム氏を含む主要な職員について、不正競争防止法に違反した疑いで立件されたとのこと。

この捜査の背景には、Nexon Gamesが昨年、未公開のプロジェクトデータが流出しているとして警察に通報していたことがあるようだ。韓国メディアTHIS IS GAMEがNexon Gamesの関係者の証言として伝えるところによると、ディナミス・ワンで「プロジェクトKV」の開発に携わったスタッフについて、Nexon Games在籍時に非公開の新規タイトル「MX BLADE」の開発に参画していたという。そしてNexon Gamesの内部調査にて、その一部スタッフが同社を退職する前からの長期的な計画として「MX BLADE」の重要な情報を流出させ新設した法人(ディナミス・ワン)でのゲーム開発に利用していたことが確認されたとのこと。つまりNexon Games側の主張によれば、同社が開発中であった「MX BLADE」の資料を盗用し、「プロジェクトKV」の開発が進められていた、ということになる。

なおNexon Games側は今回の家宅捜索および立件について、「相互の信頼が重要なゲーム開発環境の根幹を損なう重大な犯罪」と位置付けており、警察の捜査に全面的に協力するという。ソウル警察庁は押収した資料をもとに、今後実際にディナミス・ワンが「MX BLADE」の流出データなどを実際のゲーム開発に利用したかを捜査する見通しとのことで、続報も注目されるところだ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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