『Balatro』などを「ギャンブルだから18歳以上対象」としていたPEGIが、レーティングを引き下げ。妙に厳しい“ギャンブル判定”基準を見直す

PEGIは現地時間2月24日、『Balatro』および『幸運の大家様』のレーティングについて、PEGI 18からPEGI 12に引き下げると発表した。

EU圏のレーティング機関であるPan European Game Information(PEGI)は現地時間2月24日、『Balatro』および『幸運の大家様』のレーティングについて、PEGI 18からPEGI 12に引き下げると発表した。両作品は当初「ギャンブル要素がある」としてPEGI 18レーティングを受けており、販売元が異議を申し立てていた。

『Balatro』はデベロッパーのLocalThunkが手がけた、ポーカーとローグライクデッキ構築ゲームを組み合わせた作品。PC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けに展開されている。同作は本稿執筆時点で10万4000件を超えるSteamユーザーレビューを獲得し、うち98%が好評とする「圧倒的好評」ステータスを得ている。また、今年1月には累計売上500万本突破が報告された大ヒット作品だ(関連記事)。

『Balatro』

もう一方の『幸運の大家様』は、TrampolineTalesが手がけたデッキ構築型スロットゲーム。PC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けに展開されている。同作も、本稿執筆時点で9000件以上のSteamユーザーレビューを集め、うち93%が好評とする人気作。また、上述の『Balatro』開発者は、『幸運の大家様』から影響を受けたとも明かしている。

『幸運の大家様』

今回PEGIが、両作品についてのレーティング引き下げを発表した。PEGIは、ドイツを除くヨーロッパの29か国をカバーするゲームソフトのレーティング機関。今回の発表によれば、PEGIはそれぞれのタイトルの販売元からの異議申し立てにより、いずれの作品のレーティングもPEGI 18(18歳以上対象)からPEGI 12(12歳以上対象)へと引き下げるとのこと。なお、『Balatro』についてはSold Out Sales & Marketing(Fireshine Games)が、『幸運の大家様』はFangamerが異議申立者となっている。いずれもパッケージ版を展開するパブリッシャーだ。

『Balatro』『幸運の大家様』両作品が当初厳しいレーティングを与えられた背景には「ギャンブル的表現」のレーティング機関での扱いがある。いずれのタイトルも、方やポーカー、方やスロットマシーンといった要素を盛り込んでいる。このため、いずれの作品も「ギャンブル要素が含まれる」として各レーティング機関から突然のレーティング引き上げを受けたり、一部プラットフォームで配信が危ぶまれるなどのトラブルに見舞われていた。

『Balatro』

まず、IARC(国際年齢評価連合)/PEGIといったレーティング機関においては、ギャンブルをシミュレートしたり、奨励あるいは魅力的に描画する表現に厳しい基準で「18歳以上対象」のレーティングが与えられる背景がある。

『Balatro』については、リリース当初は「3歳以上対象」レーティングを得ていたものの、突如として「18歳以上対象」に引き上げ、PC版販売元のPlaystackおよび開発者のLocakThunk氏が不服を伝えていた(関連記事)。このレーティング引き上げについては、PEGIとIARCにおいて同調する動きがあったと見られ、一部地域・プラットフォームでの配信に影響が出た。

『幸運の大家様』

また、『幸運の大家様』についても、IARCがレーティングに携わるGoogle Playから、「ギャンブル要素を反映したレーティングになっていない」としてストアからの削除措置の警告を受け、18歳以上対象として再レーティングを受ける一幕があった(関連記事)。同作開発元TrampolineTalesも、こうした状況について不満を述べていた。また、『Balatro』『幸運の大家様』いずれも、日本国内Nintendo Switch版などは国内レーティング機関CEROにてA(全年齢対象)レーティングを取得して配信されている。ギャンブル要素への判定の厳しさについては、いびつな状況があるわけだ。

今回のPEGIによるレーティング引き下げ発表では、『Balatro』についてはファンタジックな要素による緩和を理由として、PEGI 12相当であると判断を修正。『幸運の大家様』については、実際のギャンブルに経験が応用できないとの理由のもとにPEGI 12相当であると判断を修正したとしている。

またPEGIは、同団体のレーティングシステムについて各分野の専門家の助けと「文化的期待(cultural expectation)」により、継続して進化していくとコメント。ユーザーがゲームの内容を判断できるよう、公正で一貫した、透明性のあるレーティングに務めるとした。

また、現状では「ギャンブルを教える、あるいは奨励する作品を自動的に18歳以上対象とする」といった基準があるとのことで、今回の異議申し立てに基づき、専門家グループとともにさらにきめ細かい判定基準を策定していくとのこと。少なくともPEGIの中では今後、ギャンブル要素を巡るいびつなレーティング基準が見直されていくのだろう。

『Balatro』

Balatro』はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けに発売中。

『幸運の大家様』はPC(Steam)/Nintendo Switch/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/Android/iOS向けに発売中だ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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