『Dark and Darker』開発元に、ネクソンとの裁判で「約9億円の損害賠償判決」下る。ただしネクソン側は控訴の構え
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ネクソンがIRONMACEを相手取り韓国で提起していた、『Dark and Darker』をめぐる民事訴訟について2月13日、一審判決が下された。判決ではIRONMACEによる著作権侵害については認められなかったものの、営業秘密の侵害については認められ、IRONMACEはネクソンに対して85億ウォン(約9億円)の損害賠償を支払うように命じられた。IRONMACE側は判決を尊重すると伝えている一方で、ネクソン側は控訴する意向を示している。現地メディアChosun Bizなどが伝えている。
『Dark and Darker』は韓国のスタジオIRONMACEが手がける、一人称視点のマルチプレイ対戦ダンジョン探索ゲームだ。同作は2023年2月にSteamにてプレイテストが実施されるとたちまち人気を博し、ピーク時には10万人を超える同時接続プレイヤー数を記録。多くのプレイヤーを獲得していた。
しかしネクソンより著作権侵害の申し立て(DMCA)通告を受け、Steamのストアページは一時閉鎖。開発元のIRONMACEはアメリカと韓国にて、不正競争防止法の違反に基づく訴訟が提起されていた。しかしながらアメリカの訴訟については、本件は韓国で裁判をおこなう方が適切であるとして棄却され、韓国・ソウルのみを法廷地として争われるかたちとなっていた(関連記事)。
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ネクソン側の主張によると、IRONMACEの代表はもともとネクソンの社員で、『P3』という仮タイトルの新作ゲームの開発を主導していた。しかし同氏は開発中のソースコードやアセットなどの内部資料を個人サーバーに流出させ、ネクソンを退社。その後自らのスタジオIRONMACEを立ち上げ、『P3』のデータを流用するかたちで『Dark and Darker』を開発したという。こうした行為が著作権侵害および営業秘密保護法の違反などにあたるとして、ネクソンは訴訟を提起。一方のIRONMACEはこうした疑惑を否定し、裁判で争う姿勢を見せていた。
そうして今回、ソウル中央地方裁判所にて民事における一審判決が下された。判決では著作権侵害の疑いについては退けられたものの、営業秘密保護法の違反については認定。ネクソン側による賠償請求は全額が認められ、IRONMACEに85億ウォン(約9億円)の支払いが命じられた。
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韓国メディアINVENは同裁判について、現地弁護士の見解を伝えている。同弁護士によると著作権侵害については、『P3』が完成され世に出た製品ではなかったため、著作権が成立していないと判断され退けられたという。一方営業秘密の侵害については認められ、またネクソン側の賠償請求も全額認められたことから、おおむねネクソン側の主張は受け入れられたものと判断できるそうだ。一方で著作権侵害が成立していないことから、『Dark and Darker』の配信停止が命じられることは現時点ではなさそうであると分析されている。
判決についてIRONMACE側は「裁判所の判決を尊重する」として受け入れる姿勢を見せた。一方のネクソン側は損害賠償請求が全額認められたことについては大きな意味があるとしながらも、判決文を精査して控訴する予定であると伝えている。またIRONMACEは民事だけでなく刑事訴訟も進行中であり、業務上背任などの疑いで韓国検察が捜査を進めている状況にある。今回は民事における一審判決が下されたが、ネクソン側が控訴の意向を示していることもあり、本件の決着はまだ先のことになるようだ。