ゲーム業界全体で「10人に1人以上が職を失った可能性」示す年間調査データ。どの職種が多くレイオフされたかなど、GDCの調べでさまざま判明
Game Developers Conference(GDC)運営元は現地時間1月21日、ゲーム業界の調査レポート「2025 State of the Game Industry」を公開した。3000人以上の開発者に向けたアンケート調査の結果をまとめたレポートだ。
GDCは、1988年から毎年開催されているゲーム開発者の国際会議だ。運営元はこれまでゲーム業界の年間調査として「State of the Game Industry」というレポートを作成してきた。今回は第13回目の調査レポートとして「2025 State of the Game Industry」が公開。市場調査会社Omdiaおよび海外メディアGame Developerとの提携で3000人以上の開発者や業界人に向けたアンケート調査が実施され、実施時点での過去1年間について訊くアンケートがおこなわれたそうだ。統計データとしての許容誤差は±2%とのこと。
レポートにおいてはさまざまなトピックのアンケート結果が示されており、中にはレイオフに関する調査結果も存在。レポートによると、回答者のうち11%がアンケート時点から過去12か月間のうちにレイオフを受けていたほか、4%の回答者は所属していたスタジオ・会社が閉鎖されたとしている。またレイオフにより何らかの影響を受けた開発者を合計すると、41%に上るという。2023年の調査では35%であったため、2024年はさらにレイオフの影響が増していた傾向がうかがえる(関連記事)。
またレポートではレイオフを受けた回答者の担当役職も示されている。ナラティブ担当が19%ともっとも多くを占めていたのに対し、ビジネス・ファイナンス担当を挙げた回答者は6%にとどまり、レイオフがもっとも少なかったようだ。業界ではレイオフの対象となる部門にある程度偏りもあったのだろう。
このほかレポートでは、レイオフの原因についても調査。回答者の22%が事業再編(Restructuring)を理由として挙げており、18%が収益の減少、15%が市場の変化や業界の傾向に伴うレイオフであったとしている。また19%の回答者は、企業からレイオフの理由を告げられなかったという。
一方、将来のレイオフについて懸念しているかどうかを訊く質問においては「まったく懸念がない/懸念は少ししかない」と答えた回答者はあわせて54%となっていた。引き続きレイオフは業界の懸念事項といえそうなものの、昨年業界全体で事業再編がおこなわれたこともあり、落ち着きを見せると考える開発者も一定数いるのだろう。
このほかレポートでは興味深いトピックとして、スタジオの規模についての集計データも示された。個人スタジオが21%と多くを占めた一方で、500人以上の大規模スタジオも18%で後に続いている。10人以下のスタジオをまとめると42%、100人以上のスタジオをまとめると33%となり、独立系の小規模スタジオと大規模スタジオが業界の大半を占めている傾向もうかがえる。またスタジオのタイプとしては、インディースタジオが32%で、AAA級スタジオが次いで15%であった。
なお昨年には業界で合計1万4000人以上の解雇者が出たと推計されており(関連記事)、合計1万500人と推計される2023年を大きく上回ることとなった(Game Industry Layoffs)。ただしレイオフが相次ぐなかでは、人員削減とともに大手企業からの独立を果たしたスタジオも見られた(関連記事)。またベテランスタッフが集結してインディースタジオを設立する例も散見され、そうした近年の業界の状況も上述したデータに反映されているかもしれない。いずれにせよ、悪化を辿ってきた業界の失職者数の改善は引き続き望まれるところだろう。