『S.T.A.L.K.E.R. 2』、すでに開発費を回収済みだった。“数十億円”規模かかったけど、売れに売れてもう黒字
デベロッパーのGSC Game Worldは11月21日、『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』(以下、S.T.A.L.K.E.R. 2)を発売した(日本国内展開はセガが担当)。発売から約1か月が経つ本作は、すでに売上が開発費を上回っているようだ。
本作は、サバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作だ。主な舞台となるのは、チョルノービリおよびその周辺の立入禁止区域「ゾーン(The Zone)」だ。プレイヤーはストーカー(S.T.A.L.K.E.R.)と呼ばれる、一攫千金を狙う者たちのひとりとなって、貴重なアーティファクトなどを求め危険地帯に飛び込んでいく。プレイヤーは凶暴なミュータントや「アノーマリー」と呼ばれる存在などのほか、武装した派閥間の争いも切り抜けつつ、広大なオープンワールドを探索することとなる。
今回、GSC Game Worldのオーナーである投資家のMaxim Krippa氏が、海外メディアForbesのインタビューに応じている。このなかでは『S.T.A.L.K.E.R. 2』の売上で、すでに開発費が回収されていることが示された。Maxim氏によると、本作はすでにプロジェクトが黒字になるのに十分な売上を達成しているという。
本作は2018年に発表され、当初は2022年に発売が予定されていたものの延期。また2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、戦禍を逃れるため開発が一時中断。その後開発は再開されるも、GSC Game Worldからは、ロシアを起源とすると見られるサイバー攻撃や脅迫行為を受けたことが報告される一幕もあった(関連記事)。困難のなかで粘り強く開発が続けられ、延期を重ねつつも発売を迎えた格好だ。
Maxim氏によれば、そうした中でGSC Game Worldのスタッフは2020年から約7倍に増加。65人であった開発チームは、最終的に約470人まで増員されたという。ウクライナのオフィスには約270人が、残りの約200人は世界各地のリモートスタッフで構成されていたそうだ。
そして開発期間の延長や開発チームの拡充もあってか、『S.T.A.L.K.E.R. 2』に注ぎ込まれた予算や投資額は数千万ドルにおよぶという。日本円にして数十億円規模の開発費がかけられたのだろう。それでも同氏は、約1か月間の売上で開発費が回収されたことを伝えている格好だ。
本作は発売からわずか約1日で売上100万本を突破したことも伝えられていた。ウクライナでは、発売当日に本作のダウンロードが殺到したことで、国全体のインターネットに問題が生じていたという(関連記事)。そうした爆発的な人気もあり、約1か月間かけて数十億円規模と見られる開発費が早くも回収されたわけだろう。
なお本作に向けては新たなコンテンツの展開も告知されており、今月中にロードマップが公開予定。一方で今回のインタビューでMaxim氏はあくまで予定としつつも、本作に向けて少なくとも2種類のDLCの配信、マルチプレイヤーモードの実装、およびほかのプラットフォームでのリリースが計画されていることを伝えている。つまり、未発売のPS5向けにも展開されるのだろう。同氏は本作については大きな可能性を秘めたプロジェクトだと述べており、引き続き新展開にも注力されていくようだ。近日披露されるとみられるロードマップの内容も注目される。
『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに発売中だ。PC/Xbox Game Pass向けにも提供されている。