CDPR、『ウィッチャー』新作は「前作よりもデカく、『サイバーパンク2077』よりも良くなる」とアピール。教訓を活かし、“スタジオ史上最大級”の作品目指す
CD PROJEKTは11月27日、「Polaris」の名で開発されている『ウィッチャー』新作について、本格的な開発段階に進んだと発表した。そんな「Polaris」などについて、今回海外メディアEurogamerがCD PROJEKT RED(以下、CDPR)の技術担当バイスプレジデント(VP)のCharles Tremblay氏たちにインタビューなどをおこなっており、その内容を公開している。
『ウィッチャー』新作は、『サイバーパンク2077』の続編などとともにCD PROJEKT Groupから2022年にその存在を明かされた作品。「Polaris」と名付けられたその新作は、物語主導のオープンワールドRPGとなる予定。なお「Polaris」を皮切りに『ウィッチャー』シリーズは新三部作として展開されるとのこと。CD PROJEKTによれば、「Polaris」リリースから6年の間に、全3作を発売する計画だという(関連記事)。
CDPRが2022年に「Polaris」を発表した際には、CD PROJEKT独自のゲームエンジン「REDengine」ではなく、Epic Gamesと技術的パートナーシップを結んだうえで、同社のゲームエンジンUnreal Engine 5での開発に移行すると伝えられていた(関連記事)。今回、Eurogamerが CDPRの技術担当VPを務めるCharles Tremblay氏に尋ねたところでは、このゲームエンジン移行の理由については、REDengineに問題があったわけではないと強調。『サイバーパンク2077』のローンチ時のトラブルも、ゲームエンジンが主たる要因ではないとした。
Tremblay氏によれば、ゲームエンジンを切り替えた要因としては「技術共有」に関係するところが大きいのだという。CD PROJEKTでは現在『サイバーパンク2077』の続編である「Orion」、『ウィッチャー』シリーズスピンオフの「Sirius」、新規IPの「Hadar」が発表されている。複数タイトルを並行して開発するにあたって、インディー・大手メーカー問わず用いられており、複数プラットフォームにも対応しているUnreal Engineの方が、各タイトルの開発で得たノウハウなどを共有しやすいという判断だったのかもしれない。
またEpic Gamesとの技術的パートナーシップを結び協力することにメリットを感じたのだという。もしゲームエンジン関係で問題が生じた際に、Epic Gamesから技術的な協力を仰ぐことができるのだという。社内での利便性だけでなく、外部の助言も貰えるというのは、確かに開発において大きなメリットとなりうるだろう。
そうして手がけられる『ウィッチャー』新作「Polaris」は、つい先日の11月27日、「本格的な開発段階」に進んだことが明かされた(関連記事)。Tremblay氏は「Polaris」について、『サイバーパンク2077』のローンチ時のように、コンソール版の最適化不足を抱えるような事態には「二度としたくない(We do not want to do that again)」と語っている。「PC版は大丈夫なので制作を進めよう」とするのではなく、コンソールでのレビューをおこない、各プラットフォームでの動作状況を正確に把握するように、アプローチを変更しているそうだ。
またCD PROJEKT GroupのCEOであるMichał Nowakowski氏によれば、『サイバーパンク2077』ではPS4版とXbox One版に着手するのが遅かったとのこと。マーケティング初期から対象プラットフォームへ集中した対応をおこなうことを教訓として活かすとしている。
なおTremblay氏は、新作のローンチにあたって、まずPC版を出し、その後遅れてコンソール版を出す、というような手法を取るのかというEurogamerの質問に対しても回答。販売戦略などはまだ明確になっていないと前置きしつつも、「まずPCのみで出す」「ゲーム機ごとにバラバラにリリースする」という手法は、必ずしもやりたいアプローチではないと、否定的な考えを示した。
今回CDPRの幹部より、『ウィッチャー』新作「Polaris」について、同社の手がけた過去作からの教訓を存分に活かし開発が進行していることが明かされたかたち。加えてTremblay氏は、「Polaris」の開発では、チームが野心的であることは変わらず、前作『ウィッチャー3』よりも規模が大きく、そして『サイバーパンク2077』よりもより良くなるだろうと述べている。「Polaris」にかけるクオリティの高さや規模感について大きな自信を見せており、失敗の経験も活かしつつ手がけられる『ウィッチャー』新作に、大きな期待が寄せられるところだ。