ゲーム内容をすぐに紹介、「3秒トレイラー」がインディーゲーム開発者間で流行見せる。作品の魅力を3秒に詰め込んだ、インパクトと勢い抜群のトレイラー

インディー開発者たちの間では、作品の魅力を3秒にギュッと濃縮した「3秒トレイラー(3-second trailer)」を紹介しあう流れがSNS上で起こっており、盛り上がりを見せているようだ。

ゲームにおいてその魅力をユーザーに伝える重要な役割を担うトレイラー。インディー開発者たちの間では、作品の魅力を3秒にギュッと濃縮した「3秒トレイラー(3-second trailer)」を紹介しあう流れがSNS上で起こっており、盛り上がりを見せているようだ。

Xで「Here’s a 3-second trailer」で検索してみると、妙に勢いのある「3秒トレイラー」たちが多数投稿されているのが確認できる。主に海外インディーゲーム開発者たちの間で、「3-second trailer(3秒トレイラー)」を紹介しあう流れが起こり、それが広くシェアされ、インディーゲーム開発者以外からも注目を集めているようだ。

その発端となったとみられるのは、個人開発者のTanat氏による上記のポスト。自身のゲーム『Building Relationships』の「3秒トレイラー」を紹介しているものとなっている。同作は独身の家になって、島を探検し、理想の家との婚活を行うというユニークなゲーム。アクションや釣り要素、恋愛シミュレーションの要素もあるという。

そんな同作について「3秒トレイラー」では簡潔に「家になる、愛を探す、その他いろいろ」と紹介。ゲームプレイ映像と同時にコンセプトを簡潔に示している。短い中に謎の勢いもあり、なんとなく見てしまう魅力のあるトレイラーに仕上がっている。このTanat氏の投稿に触発されるかたちで、さまざまなインディーゲーム開発者が「3秒トレイラー」を多数投稿しあっている。

たとえば個人ゲーム開発者のJoe Richardson氏が手がける『Death of the Reprobate』は、ルネサンス期の絵画などをモチーフとし、風刺やシュールな笑いなどが繰り広げられるポイント&クリック式のアドベンチャーゲームだ。Richardson氏はそれを3秒で「Click on nice picture」と簡潔にまとめている。

またゲームデザイナー兼イラストレーターでもあるKawaKhwan氏も、自らが手がける『Arsenic And Absinthe』を紹介。バーテンダーの主人公を中心に繰り広げられるアドベンチャーゲームを、カクテルシェーカーとお酒、そして他人に話しかけようとするシーンの3つで表現している。いずれも3秒という極めて短い時間で魅力を伝えるため、作品のコンセプトやセールスポイントをピックアップして簡潔に示すトレイラーが多いようだ。

とはいえ中には沢山のセールスポイントを、早送りを駆使してむりやり3秒に収めようとするものもある。たとえば2025年に発売を予定している『Discounty』は、スーパーマーケットを経営するシミュレーションRPG。地域住民との関わりを深めつつ、街に隠された秘密を明かすこともあるという。そんなさまざまな要素を3秒に詰め込みたいのか、映像はすべて早送りだ。ほかにも犬がスケートボードに乗って冒険に出かける『Ollie-Oop』は、スケートボードに乗りつつもたくさんのことを経験できることをアピールしたいためか映像がこれでもかと詰め込まれている。もはやどういった映像なのか判別が難しいほどだ。

この「詰め込みまくりトレイラー」は3秒では収まらない魅力があるということなのかもしれない。トレイラーはどれも圧倒的な速さで過ぎ去ってしまうため、情報量としてはよくわからないまま終わってしまうという印象があるものの、興味を引かれついつい見てしまうこともあるだろう。

ちなみにSteamの開発者向けドキュメントでは、Steamストアページに掲載するトレイラーについての説明と、そのベストな例が紹介されている。その中ではまず前提として、ユーザーがゲームをディスカバリーキューなどで閲覧中だとすると、トレイラーで印象付けるための時間は“10秒未満しかない”可能性があり、「ほとんどのSteamユーザーは、ゲームプレイ動画を探している」と伝えている。いずれも日々ストアページを閲覧しゲームを探しまわっているユーザーにとっては、共感する部分が多いかもしれない。Steamにおいては、トレイラーは短く簡潔に、かつゲームプレイ映像を軸にしたものが好ましいとしているわけだ。

またゲームクリエイターの桜井政博氏が自身の動画で、トレイラーはいわゆるムービー映像よりも「ゲームプレイ映像を重視すべき」との見解を伝え、広く国内外のユーザーの共感を呼んだことも記憶に新しい。トレイラーの早い段階でゲーム画面を入れた方が、製品の訴求点であるゲーム内容を伝えるのに効果的であるといった考えだ(関連記事)。なお桜井氏は、大作・注目のシリーズ作品や著名な制作者の作品などは例外であるとしていた。

そうした観点で見ると、作品の知名度自体があまりないインディーゲーム開発者にとって「3秒トレイラー」は、まとまった情報を伝えるには極端に短い尺ではありつつも、インパクトを重視し、簡潔にユーザーに作品の魅力を伝えられる好例とも言えるかもしれない。SNS上では多数の作品の「3秒トレイラー」が公開されている。様々なジャンルの作品紹介が3秒でさくっと見られるため、興味を惹かれるものがないか、チェックしてみるとよいかもしれない。

Jun Namba
Jun Namba

埼玉生まれBioWare育ちです。悪そうなやつはだいたいおま国でした。RPG全般が好きですが、下手の横好きでいろいろなジャンルに手を出しています。

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