国内X(旧Twitter)上で、「オオグンタマ」なるワードがトレンド入りを見せている。元ネタはお笑いコンビ「ラーメンズ」が2001年におこなったコントとみられるが、なぜ今になってトレンド入りしたのか。背景にはとあるゲームの存在があるようだ。
ラーメンズは、小林賢太郎氏と片桐仁氏によるコントグループ。小林氏が2020年に芸能活動を引退し、現在は解散している。今回注目されている「オオグンタマ」というワードが飛び出したのは、かつてNHKで放送されていたお笑い番組「爆笑オンエアバトル」の2001年1月の放送にて、ラーメンズが披露した「日本語学校イタリア篇」というコントだ。
日本語学校イタリア篇はその名のとおりイタリア人が通う日本語学校をモチーフにしたコントになっており、イタリア人に扮した小林氏と片桐氏がそれぞれ講師と生徒という役回り。講師の小林氏が「ニッポンの素敵な都道府県」として都道府県を紹介し、生徒の片桐氏が復唱していくという内容だ。
最初はイタリア語っぽい巻き舌を交えつつもご機嫌に都道府県を読み上げる講師だが、途中からどんどん様子がおかしくなる。「千葉!滋賀!佐賀!」と小気味よく連呼したり、表情豊かにいろんな声色で都道府県を読み上げたりと、もはやイタリア人による日本語学校という設定も忘れてしまう暴走ぶりだ。
そうしてコントの後半では“都道府県名の合体遊び”がスタート。京都と奈良でキョナラ、千葉と茨城でチバラキと、未知の都道府県が次々生み出されていく。そして、このなかでは群馬と埼玉で「グンタマ」というワードが誕生。さらにはグンタマを用いた例文としてか、講師の口から「オオグンタマの貴重な産卵シーン」という摩訶不思議な言葉が飛び出すことに。もはや都道府県という前提さえ消え去っている。この後にも兵庫と岐阜でヒョギフとして、「ヒョギフ大統領の貴重な産卵シーン」と言い放つなど、やりたい放題なコントとなっていた。
なお日本語学校イタリア篇は先述のとおり「爆笑オンエアバトル」で放送されたコントであるが、この音声を用いつつフラッシュアニメにしたユーザー制作の動画が人気を博し、2000年代のWeb上でも広く知れ渡ることに。「オオグンタマの貴重な産卵シーン」といったワードは一躍ネットミームとして定着した格好だ。
そんな「オオグンタマ」といったワードが、今になって国内X上でトレンド入りを果たしている。なぜ2000年代に生まれたネットミームが今更注目を浴びたのか。トレンド入りの背景には、日本風の都市を舞台とするレースゲーム『JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター』の存在があるとみられる。
『JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター』は、Gaming Factoryが手がけ、2025年春に発売予定のオープンワールドレースゲーム。250キロ以上とされる広大なオープンワールドが用意され、漫画「頭文字D」などの影響もみられる“走り屋”を題材とする作風のようだ(関連記事)。
そして、『JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター』の舞台となる架空の県はその名も「群玉県」。令和の世に“グンタマ”を舞台とするゲームが登場するわけだ。なお開発元Gaming Factoryはポーランドのスタジオであり、ラーメンズのコントを意識したかどうかは定かではない。先述のとおり「頭文字D」も本作のモチーフと見られ、埼玉と合体させたわけではなく、同作の舞台である群馬県をもじった結果たまたま一致した可能性もあるだろう。
なお『JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター』の舞台が群玉県であることはかねてより告知されていた。一方で昨日11月14日には本作が来年春に発売されることが発表。このなかで弊誌を含め国内メディア各誌が改めて群玉県について報じたこともあってか、ラーメンズのコントを想起するユーザーが続出した様子だ。
海外スタジオのレースゲームという奇妙なきっかけがあったとみられる「オオグンタマ」のトレンド入り。懐かしいネットミームを思い出したユーザー間で賑わいを見せるほか、元ネタを知らないユーザー向けに改めてオオグンタマの成り立ちが説明され新たな笑いを誘っている様子も見られる。
ちなみに『JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター』の群玉県では、群馬県内の地域がモチーフと思われるのどかな町並みや峠道のほか、東京をモチーフとする都会などさまざまな日本風ロケーションが登場するという。文字通り県として登場するため“貴重な産卵シーン”はみられないと思われるが、興味のある人は発売時に遊んでみるのもいいだろう。
『JDM: Japanese Drift Master(JDM:ジャパニーズ・ドリフト・マスター)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)向けに2025年春に発売予定。