XboxのボスPhil Spencer氏いわく「1000ドル(約15万円)級の高額ゲーム機を出すつもりはない」。一方で新ハード戦略として「携帯型ゲーム機」は検討中


マイクロソフトのゲーム部門CEOでXbox事業を率いるPhil Spencer氏が海外メディアBloombergのインタビューにて、今後の事業戦略を明かしている。同氏によればゲームハードに関して、1000ドル(約15万円)級の高額なハードを展開して市場拡大していくつもりはないという。VG247などが伝えている。

今回のBloombergのインタビューでは、Phil氏によりマイクロソフトのゲーム部門およびXbox事業の方針などが語られている。なかでもゲームハードについては、携帯型ゲーム機が検討されていることを説明。市場の研究に基づき開発チーム内でビジョンを構築中であると伝えており、デバイスの登場自体は「数年先の話」ではあるものの計画中だという。同氏は過去にも携帯型ゲーム機の“必要性があること”を示唆していたが(IGN)、今回改めて明言された格好だ。


そうした長期的な視点でデバイスの構築にも注力されているものの、Phil氏によれば「1000ドル(約15万円)のゲーム機で市場を成長させるつもりはない」という。本稿執筆時点では、現行Xboxの上位モデルとなるXbox Series Xは1TBの通常モデルが定価499.99ドル(日本向けには税込6万6978円)で販売されている。つまり今後もし新たな高額モデルを展開するとしても、通常モデルの倍となる1000ドル級の価格で販売する方針はないのだろう。ちなみにXbox Series Xは、海外向けに発売されている2TBのGalaxy Black Special Editionでも599.99ドル(約9万3000円相当)となっている。

なお先日11月7日には、競合ハードであるPS5から上位モデルとなるPS5 Proが発売されたばかり。PS5通常モデルも定価は499.99ドル(日本向けには税込7万9980円)であり、PS5 Proでは699.99ドル(日本向けには税込11万9980円)という価格設定。仮に将来Xbox Series Xの上位モデルが展開される場合、そうした価格設定も念頭に置かれるかもしれない。


先日には2020年11月の発売から4周年を迎えたXbox Series X|Sは、ゲームハードとしてライフサイクルの中盤を迎えたといえる。重量級の最新ゲームもさまざま展開されるなかで今後上位モデルが登場するかどうかは注目されるところだろう。一方でPhil氏の発言を見るに、少なくとも1000ドル(約15万円)を超えるような価格設定の機種が展開されることはないようだ。

ちなみにPhil氏は今年3月、海外メディアPolygonの取材に対してゲームコンソール市場が停滞しているとの見方を示していた。同氏によると、各コンソールは売れ続けているものの、多くの場合は既存ユーザーがアップグレード(買い替え)しているだけであり、1年間市場が成長していない状況があったという。新しい消費者がいないため、ほかのパブリッシャーやプラットフォームから消費者を引き込んでこない限り、成功することはできないとの見解を伝えていた(関連記事)。“デバイスの価格を上げすぎない”方針には、購入のハードルを下げたいといった狙いがあるかもしれない。

なお今回のBloombergの取材に対してPhil氏は、Xbox事業はかつてないほど好調であると報告。ただし引き続き新たなビジネスモデル、新しいデバイス、新しいアクセス方法を創造し、市場に適応していく必要があるとも述べている。独自モバイルストアの検討も含め、さまざまな方向での展開が模索されているようだ。