11月2日から4日にかけて、『Champions Tactics: Grimoria Chronicles』において、あるユーザーが「回線エラーを発生させ不戦勝する不正をしているのではないか」との報告が相次いだ。開発元は当該ユーザーのアカウントを一時的に停止したものの、調査の結果、不正ではなくマッチメイキングの不具合が原因だったという。当該ユーザーのアカウント停止は解除され、開発者から謝罪がおこなわれている。PC Gamerが報じている。
『Champions Tactics: Grimoria Chronicles』は、ターン制のPvPストラテジーだ。PC(Ubisoft Connect)向けに、10月23日に基本プレイ無料でリリースされた。本作にてプレイヤーはゲーム中で使えるNFT(非代替トークン)のフィギュアを作成し、3体からなるパーティーを編成。ゲーム内で他プレイヤーとの3 vs 3の対戦を行う。作成したNFTはマーケットプレイスに出品し、実際の金銭取引をおこなうことも可能だ。その性質上、本作は18歳以上を対象としており、ゲームのプレイやフィギュアの作成には仮想通貨ウォレットが必要となる。
本作の公式Discordサーバーの不具合報告・フィードバックチャンネルにおいて現地時間11月1日、スクリーンショットと共にユーザー報告がおこなわれた。投稿したユーザーによれば、“Paulstar111”なるユーザーとマッチングするたびに試合前にエラーが発生。その結果、自身が敗北扱いになりランクが下がっているのだという。
本来本作では、サーバーエラー等が発生して試合が中断された場合、表示上は敗北となっているもののレーティングやステータスに影響はない。そのため、Paulstar111が不正な手段でエラーを発生させ、対戦相手を敗北扱いにしてレーティングを上げているのではないかという疑いだろう。さらに、複数のプレイヤーから同様の報告が続出した。しかし結果として、Paulstar111は不正をおこなっておらず、そうした状況は不具合だったという。
ことの経緯としては、まず先述したような報告を受けて本作のディレクターであるBiloukat氏が、オフィスが開く週明けの11月4日に対応することを表明。しかし混乱が強まっていた状況を見てか同氏は翌11月2日にPaulstar111のアカウントを停止したことを発表した。11月4日に、改めてPaulstar111の行動について詳しく調査するとのことであった。つまりオフィスに入れない週末でもリモートで対応できる範囲で、応急処置がとられたのだろう。
ところが、BAN報告の直後からは、ユーザーから“schiller11”なるアカウントと遭遇し、またしてもランク戦で同様の現象が発生しているとの報告が寄せられた。ユーザー名が似ているだけでなく一方的に敗北扱いにされる状況も同様であり、Paulstar111のアカウント停止直後というタイミングも相まって、同一人物ではないかとも憶測されていた。さらに、アカウント停止されたはずのPaulstar111と遭遇したとの報告や、別のユーザーに同様の現象で敗北扱いになったという報告も集まることに。状況は混沌を極めていた。
一方で11月4日。Biloukat氏がDiscordサーバー内でユーザーに向けて説明をおこない、原因が「不正ではなく不具合だった」ことが判明した。Biloukat氏によればチートが使用された痕跡はなく、サーバーエラーの後に敗北扱いになる現象はマッチメイキングの不具合だったとのこと。先述のユーザーであるPaulstar111とschiller11が“セキュリティ上の理由”から一時的にBANされた点について謝罪が綴られており、疑いが晴れたことでBANは解除されているとのこと。なお騒動の発端となったバグが再発する可能性はゼロではないそうで、より長期的な対策を講じるとのことだ。
いわば、濡れ衣を着せられるかたちでアカウントが一時停止されることになったPaulstar111とschiller11。両アカウントとのマッチングによる“エラー敗北”がひときわ多く報告されていた原因は不明ながら、少なくともBiloukat氏や開発チームが調査する限りでは不正はなかったようだ。いずれにせよサービス開始早々大きな混乱が巻き起こったこともあり、『Champions Tactics: Grimoria Chronicles』では今後の不具合再発防止も含めて、安定した運営が求められるところだろう。