『Anthem』元開発リーダー、同作を「いつの日かリブートしてみたい」と願う。ファンの“根強い愛”を受けて
BioWareが開発し、Electronic Arts(EA)が2019年に発売した『Anthem』。ビジュアルやコンセプトから大きな注目を集めたものの、発売後には品質面に多くの批判が集まった。過去には根本的な作り直しを図るプロジェクトもあったもののとん挫し、その後シリーズ展開なども見られない作品だ。
そんな『Anthem』について、元BioWareで同作リードプロデューサーを務めたBen Irving氏がファンからのラブコールに返答するかたちで「いつの日かリブートしてみたい」との願望を示し、注目を集めている。海外メディアGamesRadar+が伝えている。
『Anthem』は、EA傘下のBioWareが手がけ2019年2月に発売されたハック&スラッシュ型のオンラインアクションRPGだ。舞台となるのは、怪物が蔓延り、人々が要塞化した都市で暮らすことを強いられた架空世界。プレイヤーはジャベリンとよばれるエグゾスーツ(パワードスーツ)を身に着けたフリーランサーとして、広大な大地で戦いを繰り広げる。本作には性能の異なる4種類のジャベリンが登場。また最大3人での協力プレイにも対応している。
本作は発売当時、不具合の多さのほかハクスラ・アクションRPGとしてのゲームデザインに根幹的な問題を抱えている点などから、大きな批判を浴びることになった。これを受けてBioWareは「Anthem NEXT」といった名称を掲げ、根本からゲームを作り直す再開発プロジェクトを始動。しかし同プロジェクトは2021年2月に中止が発表された(関連記事)。
そんな『Anthem』の開発に携わったBen Irving氏が、本作のリブートに意欲的な姿勢を見せている。同氏はリードプロデューサーとして、同作の戦闘・生物・ゲームプレイ・成長システム・UIの開発を管轄していた人物だ。同作リリースの後、2019年8月にはBioWareを退職。現在はCrystal Dynamicsにてエグゼクティブプロデューサーを務めている。
今回、Ben氏やBioWare、EAのXアカウントに向けて、XユーザーのDaniel Ricardo氏が「いつまでも『Anthem』を愛してるよ!」と本作を称賛するポストを投稿。同氏はポスト投稿日に本作をインストールし直してプレイしたそうだ。そして今プレイしてもいわゆる野良のプレイヤーがミッションに参加してくれたそうで、久しぶりと見られる本作のプレイを満喫した様子。根強く本作をプレイするプレイヤーがいることからか、『Anthem』には大きな可能性があるとして、本作のIPが復活することを願っているとの想いを伝えている。
そうしたファンからのラブコールを受けて、Ben氏は「いつの日か『Anthem』をリブートしてみたい」と返答した格好だ。また同氏はその後、発売から何年もたった今でも『Anthem』に熱中してくれるプレイヤーの数には驚かされるともコメント。同IPにはまだポテンシャルがあると考えている様子だ。
とはいえBen氏は先述のとおりBioWareを退職済みということもあり、現状では『Anthem』のリブートを発足させられる立場にはないだろう。ちなみに本作の開発チームからはBen氏だけでなく、同氏と共にリードプロデューサーを務めたMike Gamble氏、および開発後期からローンチまでプロジェクト全体を率いていたエグゼクティブプロデューサーのMark Darrah氏などリーダー陣の多くが退職している。仮にBioWareでリブートされるとすれば、当時とは大きく異なる顔ぶれで開発されることとなるかもしれない。
なお『Anthem』の開発が難航していた内情は、BioWareの元スタッフらの証言としてたびたび明かされてきた(関連記事1・関連記事2)。証言からは開発終盤から急ピッチで無理な開発が進められたこともうかがえ、本作の品質の低さに繋がったのだろう。ただ“失敗作”といったイメージも色濃い本作ながら、世界観やビジュアル、飛行アクションなどを評価する声もあり、今回のDaniel氏のように一部から根強くプレイされている様子もみられる。コンセプト部分は一定の評価を受けており、知名度があることからも、いつの日か“リブート”が実現する可能性もゼロではないかもしれない。