『VALORANT』開発者、「設置したスパイクを外から防衛できるマップばかり」問題にアンサー。元プロ選手が“プレイしていて超退屈”とまでこぼす問題にメス入れへ


VALORANT』の元eスポーツ選手であるTenZ氏は10月19日、Xアカウントにて本作の現状のマップバランスについての意見を表明。「もっと“しっかり”としたスパイク設置エリアをもつマップが必要だ」といった考えを示し、本作のリードマップデザイナーであるJoey Simas氏も反応。TenZ氏の意見に一部同意しているようだ。

『VALORANT』はRiot Gamesが手がける、基本プレイ無料FPSだ。プレイヤーらはエージェントと呼ばれる、それぞれの能力と役割をもったキャラクターを選択。メインモードはいわゆる爆破ルール系の戦闘モードとなっており、5人1組のチームで攻守に分かれ、アタッカー側はスパイクと呼ばれるアイテムを指定されたエリアに設置し、一定時間防衛。一方のディフェンダー側は、スパイクの設置もしくは爆破を防ぐことを目的とする。


本作においてスパイクが設置された場合、ディフェンダー側はスパイクに触れてスパイクの解除をおこなうことを目的とする。解除は二段階制となっており、3.5秒ずつ合計7秒が必要。解除中のプレイヤーはスパイク解除以外の一切の行動を制限されることとなる。そのためアタッカー側はスパイク設置後、解除に来るディフェンダーを妨害することとなるわけだ。

そして一部のマップにおいて、アタッカー側は設置エリアに対して遠くから射撃やアビリティを用いるだけで、ディフェンダー側のスパイク解除を妨げるといった戦法も編み出されている。今回、TenZ氏がそうした戦法が主流となっていることを問題視する意見を投じ、注目を集めている。TenZ氏といえばeスポーツチームCloud9にて『Counter-Strike: Global Offensive』のプロ選手を務めたのち、Sentinelsにて『VALORANT』の選手としても活躍していた人物だ。

TenZ氏は現在のマッププール(プレイ可能マップ)においてアタッカー側が、「スパイク設置後に、設置エリアから後退して遠距離から防衛するだけ」の戦法が主流になっていると考えているようだ。同氏は(爆破ルール系のゲームとして)そうした“お決まりの設置スポット”を調整し、攻防のバランスが取れるちゃんとしたスパイク設置ゾーン(actual bombsites)を整備すべき状態であり、プレイしていてきわめて退屈なバランスになっているとの見方を示している。つまり同氏は、アタッカー側からすれば、見通しが良く外側から干渉しやすいためスパイク設置が比較的容易で、かつ設置後もディフェンダー側の解除を妨害しやすいマップが多い点を、バランスが悪いと問題視しているわけだろう。

またTenZ氏の投稿に対し、現役のeスポーツ選手であるC0M氏やBoaster氏も、同氏の意見に支持する立場を示している。リプライ上では一般ユーザーからも同様の意見が多く見受けられ、ユーザーからはそうした問題を抱えるマップとして「アビス」「サンセット」「パール」などが筆頭にあげられている。これらのマップの共通点は設置エリアから直線状に視界が通っており、遠距離からの設置したスパイクの防衛が容易といえるだろう。


そしてTenZ氏の投稿に対しては、本作のリードマップデザイナーであるJoey Simas氏も反応を示している。Joey氏は「たまにメインエリアから設置エリアが防衛されるのは問題ない」としながらも、既存のマップにおいてそうした戦法が目立つとコメント。開発者であるJoey氏としても現状には不満があるようで、「今後改善できるように取り組んでいる」とコメントしている。

『VALORANT』は奥深い戦略性や、マッチ中の攻守の動きによってプレイスタイルが多様に変化するゲームだ。そういった意味ではスパイク設置後に遠距離から一方的に防衛するのも、開発元が想定するひとつの作戦としてアリなのだろう。しかし現状ではTenZ氏が指摘したように、遠距離からのスパイク防衛戦法が多用されている状況もある。Joey氏のコメントも見るに、戦法として残されつつ将来調整が加わる可能性がありそうだ。本作の既存マップや今後追加される新規マップが、どういったかたちでこの問題を解消していくのか注目したい。

VALORANT』はPC/PS5/Xbox Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中だ。