『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』で、「元任天堂社長岩田氏と元米任天堂社長レジーのモチーフキャラがいる」との報道があり、レジー感動。本当かどうかはともかく
元米任天堂社長のReginald Fils-Aimé氏は10月10日、『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』におけるキャラ「ログマ」と「イナワ」が、それぞれ“Reginald氏と任天堂の元社長岩田聡氏をモチーフにしているのではないか”との報道について言及。岩田氏との友情がゲーム内で表現されているかもしれない、といった可能性を受けて「非常に感動した」とコメントし、注目を集めている。
Reginald氏は、レジー(Reggie)の愛称で知られる人物だ。2006年に君島達己氏に代わり、米任天堂の社長兼最高執行責任者(COO)に就任。以降、2019年まで13年にわたって米任天堂を率いたのち、同社を退職した。
また岩田聡氏は、2002年から任天堂の代表取締役社長を務めていた人物だ。2013年からは米任天堂のCEOも兼任。しかし2015年に胆管腫瘍のためこの世を去った。
Reginald氏は社長時代から任天堂ゲーム愛が強い。また岩田氏と交友があったことでも知られ、Reginald氏は過去に岩田氏を「mentor(よき指導者)」あるいは「dear friend(親愛なる友人)」と称することもあった。
「ログマ」と「イナワ」
そんなReginald氏が今回、『ゼルダの伝説』シリーズ最新作『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』についての海外メディアの報道に言及し、注目を集めている。発端となったのは、本作中のゾーラ族のキャラ「ログマ(英語名:Rogma)」と「イナワ(英語名:Inawa)」が、それぞれReginald氏および岩田氏をモチーフにしているのではないか、との説を唱える海外メディアThe Gamerの記事だ。同誌は、それぞれ「RogmaがReggie」「InawaがIwata」といったふうに、両氏の名前をもじったキャラではないかと考えた様子だ。
ただ結論からいうと、その説は薄そうだ。ほかのキャラの名称も見るに、実際には本作のゾーラ族のキャラはそれぞれ魚類の名称から名づけられた様子。たとえば海ゾーラの族長クーシャは「シャーク(鮫)」、川ゾーラの族長ドラッドは淡水魚の「ドラド」から名づけられたとみられる。ログマとイナワも、それぞれマグロとイワナから名づけられたのだろう。各キャラは英語版でもほぼそのままの発音になる名称となっており、英語圏のプレイヤーからすると不思議なネーミングとして深読みされたのかもしれない。
とはいえ、別の海外メディアGameranxも“ログマとイナワが、それぞれReginald氏および岩田氏をモチーフにしているのではないか”との説を「真実ではないかもしれないが、真実であればクールな話」として紹介。作中でのログマとイナワの関係性にも触れつつ、“ありえるかもしれない話”として支持している。この報道にはReginald氏本人が反応し、もしかすると開発者が同氏と岩田氏の友情を表現してくれたのかもしれないとしつつ、「深く感動している(I am incredibly touched)」と綴っている。
それっぽい要素はなくもない
ログマとイナワは、それぞれ作中では海ゾーラ族と川ゾーラ族のキャラだ。ログマは海ゾーラ族長クーシャの従者であり、イナワは川ゾーラ族長ドラッドの従者を務めている。作中ではクーシャとドラッドの友情が描かれ、間接的な友情演出とも解釈できる。
またイナワは物を直したりするのが得意。また「やること いっぱいあるのが好き」といったセリフもあり、忙しくするのが好きなキャラとして描かれている。岩田氏といえばプログラマー出身であり、社長時代は多忙でありつつもそうしたことを楽しんでいるとの旨のコメントもしていた。そうしたイナワのキャラクター像もあり、ネーミングとあわせて岩田氏に重ね合わせるとしっくりくるといった考えも生じたのかもしれない。
いずれにせよ、そもそもこの説の発端となったネーミングについては、先述のとおり魚がモチーフと考えられる。そのためログマとイナワのキャラクター性が、特にReginald氏と岩田氏をモチーフとして想定されたのかどうかは不明だ。とはいえ、海ゾーラと川ゾーラという、似ているようで異なる立場のキャラが友情を築いている点には、Reginald氏と岩田氏の関係性に共通するところもあるかもしれない。普遍的なテーマとして描かれた友情は、Reginald氏に岩田氏との交友を思い起こさせるきっかけとなった様子だ。
ちなみに『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でも、「岩田氏が登場している」という話題はあがっていた。同作では「ウドー(Botrick)」というNPCが岩田氏を彷彿とさせる外見で、かつ話かけるとサトリ山なる場所へと誘導してくる。岩田氏の名は「聡(さとる)」。「岩田氏らしきNPCがサトリ山を誘導する」という点で、小ネタとして仕込まれたのではないかと話題を集めた(Inverse)。真実はともかくとして、『ゼルダの伝説』シリーズにおいては、ユーザー間で「岩田聡氏の影」を見つけようとする動きが、毎作あるようだ。
『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』はNintendo Switch向けに発売中。