カイロソフト、「自社ゲームのソースコード」を東京ゲームショウにて大胆公開。自身も“前代未聞の試み”と認める

カイロソフトは9月26日から29日(一般公開日は28日から)まで開催の東京ゲームショウ2024に出展中。「自社ゲームソースコード大公開」が実施されている。

カイロソフトは9月26日から29日(一般公開日は28日から)まで開催の東京ゲームショウ2024に出展中。同社ブースにはゲーム試遊など、さまざまな展示が用意されている。その中では、イベント全体でもひと際異彩を放つ「自社ゲームソースコード大公開」が実施。一般公開日を待たずして、SNS上などでも注目が寄せられている。

カイロソフトは1996年創業の国内ゲームデベロッパーだ。同スタジオはシミュレーションゲームをPC/モバイルおよびコンソール向けに多数リリースしている。Steam向けにもリリースされたゲーム開発会社経営シム『ゲーム発展国++』などのほか、最近では国民的漫画・アニメ「ドラえもん」を題材とした『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』を手がけた。堅実なゲームづくりで根強い人気を誇る老舗デベロッパーだ。

カイロソフトは現在、東京ゲームショウ2024に出展中。ブースには、同社のマスコットキャラクターである「カイロくん」の着ぐるみが登場するほか、同社タイトルの試遊、ドット絵を手がけるアーティストのライブペイント、そして同社グッズを身に着けた者だけが入れる「ひみつの部屋」などが存在。ドラえもんやパーマンなどのキャラクターも訪れるという。しかし、その中でも異彩を放つ展示が「プログラム大公開」だ。

同展示では、カイロソフト開発タイトル『ゲーム発展国++』の本物のソースコードを、自由に見られるという。こうした展示はかなり異例だ。というのも、ゲーム作品にとってソースコードは、作品の具体的な設計や工夫が明らかになる、たとえるなら“秘伝のタレのレシピ”ともいえるもの。意図があってのオープンソース化といった方針がないかぎり、ゲーム会社は自社タイトルのソースコードを秘匿するのが通常だ。カイロソフト自身も「前代未聞の試み」と表現する異色の展示となっている。

『ゲーム発展国++』

こうした展示について驚いき、話題にする来場者がSNS上でも散見される。東京ゲームショウ2024の一般公開日は明日からであり、26、27日はビジネスデーだ。にもかかわらず、既に一定の話題となっているわけである。ビジネスデーだけに、開発者によるソースの内容についての感想などが見られる。

実のところ、カイロソフトが東京ゲームショウにソースコードを展示したのは初めてではない。同社は東京ゲームショウ2018においても、自社ブースにて『ゲーム発展国++』のソースコードを展示。その後も、Twitter(現X)にてソースコードを一部公開するなどしていた。また、2018年の出展時には“「プログラマーになりたいわぁ」と思っているお坊ちゃん、お嬢さん、産業スパイの方”に向けた展示としている。冗談めかしつつも、ゲーム制作に興味をもつ人に向けた熱意ある展示なのだろう。

なお、カイロソフトは2021年には、契約した中国パブリッシャーの契約違反を報告。契約料の未払や、カイロソフト提供のソースコードを無断流用されるといった被害を伝えていた(後に別のパブリッシャーであるLeiting Gamesと契約、関連記事)。そうした出来事があってもソースコードを公開する様子には、奇をてらう以上に、“ゲームの中身”を公開することでゲーム開発に興味をもってもらいたいとの強い意志もうかがえる。

カイロソフトは東京ゲームショウ2024に出展中。9月28日、29日は一般公開日となる。同社作品のソースコードを見たい方は、ブースを訪れてみるとよいだろう。

東京ゲームショウにてソースコードが公開されている『ゲーム発展国++』は、PC(Steam)およびNintendo Switch/PS4/Xbox One/Xbox Series X|SとiOS/Android向けに発売中だ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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