ゲーム向け総合サウンドミドルウェアCRI ADXではSound xRで手軽に“ASMR的”な表現も可能。展示デモもすごかった
技術の進歩によって表現は進化し続けており、音声でも新たな表現が生まれている。そんな中、CRI・ミドルウェアの提供するゲーム向け総合サウンドミドルウェア「CRI ADX」が、ヤマハの「Sound xR」を標準搭載。仮想立体音響ソリューションの組み込みによって、従来の機能に加えて手軽に立体的な表現が実現可能になったという。
6月28日に大阪で実施された「GTMF 2024」の会場では、そんな「CRI ADX」のデモが展示されていた。開発者に話を伺ってきたので、ちょっとしたリポートをお届けしよう。
──自己紹介をお願いします。
チョ氏:
CRI・ミドルウェアのチョです。2020年にCRI入社以来、主に「CRI ADX」のオーディオエフェクトなど、信号処理を中心とした開発を担当しています。
──今回出展されている製品について、改めて紹介をお願いします。
チョ氏:
「CRI ADX」は、UnityやUnreal Engine 5など、ゲーム開発環境のサウンド機能を拡張するサウンドミドルウェアです。ゲーム開発に必要なサウンド演出が手軽に実現可能です。立体音響の機能も搭載しており、特に3Dゲームでは没入感が得られやすいなどの評価を頂いてきました。そんな「CRI ADX」が、この度ヤマハさんの仮想立体音響ソリューション「Sound xR」を標準で組み込むことになり、画面を見なくても前後左右上下といった音の方向や距離感をつかめる音声表現が可能になっています。いわゆるASMR的な表現も手軽にできるようになっていまして、デモでは立体音響技術を人の声に適用することで、本当に近くで喋っているような感覚を与えられるようになったのです。
──試遊デモを触りましたが、スマホとヘッドフォンの場所が変わることで聞こえ方が変わる面白いデモでした。すごかったです。開発にあたって、エピソードなどがあれば伺わせてください。
チョ氏:
今回のデモは実験から始まったプロジェクトでした。CRI ADXを使っていわゆるシチュエーションボイスのように「耳元でささやかれているような表現」がどれぐらい簡単にできるか社内で試していたのですが、想定以上に少ない作業で高品質な音声表現ができました。我々も驚くくらいだったので、皆様にも試していただきたいです。
──「CRI ADX」と「Sound xR」の連携により、どういう体験ができるようになりましたか。
チョ氏:
立体音響というと、一般的に3Dゲームでの利用を想像されると思います。
しかし、2Dゲームでも、背の高いキャラクターの声は上から、背の低いキャラクターの声は下から聞こえるようにするなど、音を使った追加の表現が実現可能です。
──いわゆるASMR的なこともしやすいと。
チョ氏:
はい。スマートフォン向けの作品などのボイスコンテンツに適用することで、没入感が生み出せるのではないかと期待しています。「CRI ADX」を利用されている場合は追加料金なしで利用可能ですので、ぜひお試しください。
──ありがとうございました。
「CRI ADX」では、各プラットフォーム向け製品版の試用などが受け付けられている。