『メタルギア』公式「メタルギアを終わらせたのはお前たち」との批判意見を自ら公表。まずは痛烈な意見も受け止める
コナミデジタルエンタテインメントは6月28日、「METAL GEAR – PRODUCTION HOTLINE #01」(以下、PRODUCTION HOTLINE #01)と称して、『メタルギア』シリーズの最新情報を伝える番組を公開した。そのなかではアンケート結果なども紹介。ユーザーによる痛烈な批判も取り上げているなどとして、注目が集まっている。
「PRODUCTION HOTLINE #01」はYouTube上にて公開された情報番組だ。同番組には制作者として、『メタルギア』シリーズのプロモーション担当の大石次郎氏、シリーズ制作プロデューサーの岡村憲明氏、クリエイティブプロデューサーの是角有二氏が登壇。『メタルギア』シリーズについて、ユーザーとのホットラインになるべく制作者が自ら出演している。
番組内では、2004年に発売された『メタルギアソリッド3 スネークイーター』(以下、MGS3)のリメイク作品である『METAL GEAR SOLID Δ』の最新情報を公開。またアンケートによって視聴者から寄せられた質問への回答などを実施している。
動画内では、今年3月公開のプレ配信番組における、番組視聴後アンケートの内容を抜粋している。視聴者からの生の声に制作者が直接答えることを目的としているようだ。寄せられたユーザーの声の内訳としては、ポジティブな感想が全体の24%、ニュートラルな意見が全体の65%と比較的多く寄せられたそうだ。一方で、ネガティブな感想も11%の割合で存在していたとのこと。放送内でその内容をあけすけに公開したことにより、SNS上で反響を呼んでいる。
具体的には、「メタルギアを終わらせたのはお前たちだ(Metal Gear is dead, and you’re the one who killed it)」「新作を作れるとは思えないし、作らないでほしい」という痛烈なものも、包み隠さず放送で紹介されたのだ。これは、『メタルギア』の“生みの親”としてシリーズを手がけていた小島秀夫氏が、2015年にコナミを退社し、現在は制作にかかわっていないという事情もあると見られる。
『メタルギア』シリーズは、1987年にリリースされた初作より、小島秀夫氏を中心とした開発体制にて手がけられてきた。1998年にはシリーズ初となるフルポリゴン作品『メタルギアソリッド』が発売。その後も同氏が率いる開発チーム「小島プロダクション」から数々の作品が送り出され、いずれも高い評価を獲得している。しかし小島プロダクションは2015年におけるコナミの組織再編にともないコナミ社内から消滅、小島氏は同社執行役員から異動された。そして小島氏は、2015年12月にコナミを退社し、後に「KOJIMA PRODUCTIONS」を立ち上げ独立した。
また、そうした動きのさなかには、コナミによる小島氏への待遇が疑問視される出来事も起きていた。たとえば、2015年に開催された「The Game Awards」において、小島氏が手がけた最後の『メタルギア』作品となった『METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN』が入賞した。しかしこの際にコナミ法務部が小島氏の同イベント参加を許可しなかったと伝えられている。ほかには、同シリーズにてスネーク役を務めた大塚明夫氏が小島プロダクションについて「解散させられてしまった」と発言するなど、小島氏のコナミ離脱が円満とはいえないかたちだった様子が、各所発表や報道からうかがえた。そうした過去の出来事から、コナミそのものに良い印象を抱いていないユーザーもいるのだろう。
そうした背景もあり寄せられたであろう厳しい意見に対して、岡村氏は、まずはちゃんと受け止めると表明。すぐに意見に答えられない部分もあるとしつつ、ファンからの意見をちゃんと受け取っていると強調した。
小島氏不在となった後の『メタルギア』シリーズの展開については、同氏離脱時の処遇に関連して一部ユーザーの中には根深い感情も残っているようだ。『METAL GEAR SOLID Δ』開発陣としては、そうした意見もあえて正面から受け止めることで、ユーザーとのやり取りに透明性をもたせたいという狙いもあるのかもしれない。いずれにせよ、賛同意見ばかりでなく、手厳しい意見も取り上げる姿勢については、ユーザーから「誠実」との声も寄せられているようだ。
なお「PRODUCTION HOTLINE #01」では、『METAL GEAR SOLID Δ』の最新映像を含めた情報がさまざま公開されている。そのほかサウンドトラックや、部隊章をモチーフにしたグッズなどの情報も明かされている。詳細が気になる人は、動画を確認されたい。
『METAL GEAR SOLID Δ』はPC(Steam)/PS5/Xbox Series X|S向けにリリース予定。