『フォートナイト』国内iOS版、来年“再リリース”へ。「スマホソフトウェア競争促進法」制定を受け、約5年ぶりに復活へ
Epic Gamesは6月12日、Epic Gamesストアおよび同社が開発/運営を手がけている基本プレイ無料FPS『フォートナイト』について、2025年後半にiOSにて利用可能になることを発表した。これは同日6月12日に、参議院本会議で「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」が可決し、「スマホソフトウェア競争促進法」が成立したことによるものだ。
『フォートナイト』モバイル版については2020年、Epic GamesがApple やGoogleへの販売手数料支払いを避けるために、Epic Direct Paymentという独自の決済手段を導入。これを規約違反としたAppleとGoogle両社は『フォートナイト』をプラットフォームから削除する対応をおこなった。加えてAppleはEpic Gamesの開発者アカウントの停止/削除なども実施していた。
Epic Games側は、決済手段をメーカーに強制することなどは独占禁止法(反トラスト法)に違反しているとしてAppleとGoogleをそれぞれ米国にて提訴。Apple側の同訴訟の連邦地裁判決では、Appleは独占禁止法の定める独占企業とは認められないとする一方、上述のAppleによるメーカーへの規制は反競争的であると認定。同規制の排除がAppleに命じられ、App Storeでは条件付きで外部決済サービスの導入が可能となった(関連記事)。
そして今回、日本では『フォートナイト』iOS版の再リリースの目途がついたという。それは6月12日に参議院本会議において、「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案」が可決され、「スマホソフトウェア競争促進法」として成立したからだ。この法律には、スマートフォンの利用に特に必要なソフトウェア、つまりOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンといったソフトウェアについての競争環境を整備する狙いがあるとされている。この法律の制定により、日本でもEpic Gamesストアアプリと『フォートナイト』をiOSに向け、配信することが可能となるようだ。
公正取引委員会によれば、同法が制定されるに至った理由については、海外における、デジタル市場を念頭とした法案の成立や、法の運用開始などを挙げている。EUでは今年3月よりデジタル市場法(DMA)の運用を開始。これは条件を満たした大規模企業を「ゲートキーパー」と指定し、ゲートキーパーに複数の義務を守らせるものだ。なお、EUではiOS向けの『フォートナイト』が年内に再リリース予定となっている。またイギリスではデジタル市場・競争・消費者法(DMCC)が成立するなど、デジタルプラットフォーム事業者に向け公正な競争を求める動きが各国で加速している。
今回参議院本会議にて成立した「スマホソフトウェア競争促進法」も、先述の世界的な流れを鑑みて可決、成立へと至ったものだと思われる。なお先述したEpic GamesとGoogleの米国での裁判については、2023年12月にEpic Games側が勝訴(関連記事)。現在Epic Games側の要求を巡って、裁判所やGoogle側での検討がおこなわれている(The Verge)。Google Playでの『フォートナイト』の再リリースについても、今後の動向が注目されるところだろう。
【UPDATE 2024/6/13 21:36】
EUでの『フォートナイト』iOS版の再リリースに関する記述を修正。