Steamのアカウントはほかの人に「遺産相続」できないとの報告。遺言で決めてもだめ
Steamアカウントは、遺言などでほかのユーザーに相続することができないという。海外メディアArs Technicaが伝えている。
Steamでは、購入・配布で入手したゲームはすべてアカウントのライブラリに追加される仕組みになっている。そのため出先のPCなど別のデバイスからでも、自分のアカウントにログインすれば、自分のSteamライブラリから所有するゲームなどをプレイ可能だ。
今回、このSteamアカウントを「相続」できるのかという疑問をSteamのサポートチームに問い合わせたというユーザーが現れた。ユーザーが海外フォーラムResetEraに投じた報告では、サポートとのやり取りとみられるスクリーンショットが確認できる。
ユーザーは「もし自分が死んだ場合、遺言にもとづいてSteamアカウントを譲渡できるのか」と質問。サポートからの回答によると、そもそもSteamアカウントや所有するゲームを譲渡することはできないのだという。Steamサポート側ではアカウントへのアクセス権を所有者本人以外に提供したり、その内容をほかのアカウントに統合したりすることは不可能とのこと。そのため遺言でSteamアカウントを相続させることもできないそうだ。
この報告を受けてスレッド内のユーザーらは、SteamアカウントのIDとパスワードのメモを好きな家族の誰かに渡しておけばいいといった“代替案”を考案。先述のとおりアカウントにログインさえできればライブラリで所有されているゲームはプレイ可能なため、「相続」が可能という考えだろう。
ただしSteamでは利用規約にて、ユーザーのパスワードやアカウントについて第三者に口外したり共有したりすることなども禁じられている。そして故意または過失によりログイン情報が漏えいした場合、運営元のValveは一切責任を負わないことが明言されている。こちらはセキュリティ対策としての取り決めとみられるものの、「相続」を目的としてパスワードを共有する場合でも少なくとも規約には違反するようだ。
デジタル資産については各国で法整備や検討が進められている状況にあるとされ、現状ではSteamアカウントそのものを相続できるかどうかはValve側の判断に委ねられるところだろう。なおゲームがインストールされたデバイスについては相続が可能とみられるものの、所有ゲームの再インストールや一部オンラインサービスの利用にはSteamアカウントへのログインも必要。相続人がゲームをプレイするために故人のSteamアカウントを利用する場合、やはり規約違反とみなされる可能性はありそうだ。
ちなみにSteamでは3月19日より、クライアントベータの参加者向けに、新機能「Steamファミリー」を提供している(関連記事)。家族のSteamアカウントを最大5人まで招待してSteamファミリーを作成し、対応作品をファミリーライブラリにて共有できる。同機能が正式実装されれば、亡くなった家族のSteamでの所有ゲームを受け継ぐ手段となるかもしれない。