「新作ゲームが出ても、古いゲームがずっと遊ばれ続けている」との海外調査報告。プレイ時間の60%以上は「6年以上前」のゲームで占められている

Newzooは4月3日、「The PC & Console Gaming Report 2024」とする市場調査レポートを公開した。レポートでは、ゲーマーたちが新作よりも古めの作品に時間を費やしている傾向が示されている。

海外ゲーム市場調査会社Newzooは4月3日、「The PC & Console Gaming Report 2024」とする市場調査レポートを公開した。レポートでは、ゲーマーたちが新作よりも古めの作品に時間を費やしている傾向が示されている。


Newzooはオランダ・アムステルダムに本社を構える市場調査分析会社だ。ゲームやeスポーツ、モバイル市場といった分野をおもな対象とし、世界および国別データの提供をおこなっている。グローバルのゲーム市場を予想するレポート「Global Games Market Report」や、各地域、各国でのeスポーツにおける市場規模やオーディエンスなどのデータを掲載している「Global Esports Market Report」などを刊行、公開している。

今回同社から無料にて公開されたのは「The PC & Console Gaming Report 2024」だ。これは2024年のPCおよびコンソールにおけるゲーム市場や、プラットフォームごとのユーザーシェア、プレイヤーの動向といったさまざまな側面からのレポートが掲載されている。調査においては、同社が集計している世界各国のPC/コンソール市場における独自データが用いられているとのこと。

Image Credit: Newzoo


レポートによれば、2023年におけるプラットフォームごとの平均MAU(Monthly Active Users、月あたりのアクティブユーザー数)のトップ10にランクインしているゲームには、『Starfield』や『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』といった昨年の新作も少数ながらランクイン。一方でランキングでは、リリースから数年経ったタイトルが中心となっている。ラインナップの中には、『フォートナイト』や『Roblox』のような、ユーザー作成コンテンツのプラットフォームや『VALORANT』『League of Legends』といった基本プレイ無料の対戦ゲームなどが多くみられる。また『マリオカート8』や『マインクラフト』といった買い切り型作品もランクインしている。

こうしたゲームを見るに、ランキングのほとんどがライブサービスとして展開されている作品といえる。継続的なアップデートやシーズンや年次といった節目ごとに新たなコンテンツが提供されていることもあり、リリースから歳月が経っても1年を通してプレイヤーを呼び込み続ける力があるのだろう。加えて、基本プレイ無料作品も多くみられ、プレイに至るまでの取っつきやすさも、高い平均MAUの一因となった可能性もあるだろう。

そしてNewzooは、ユーザーがゲームに費やした時間について「3年以内にリリースされた作品」「3年から5年以内にリリースされた作品」「リリースから6年以上経った作品」に分け、それぞれのプレイ時間に占める割合の調査結果を公開。2021年ではリリースから6年以上経った作品の占める割合は45%となっていた。それが2023年にかけては、61%まで増加している。先述の平均MAUでもランクインしたような、長期展開をおこなっているタイトルのプレイ時間も関係しているのだろう。

*SteamDBにおける、本稿執筆時点での24時間以内の最大同時接続プレイヤー数ランキング


なお2023年12月にValveが「Steam年間レビュー2023」を公開した際にも、新作のプレイ率の低さが話題となった。というのもSteamユーザーの中央値としての“平均的ユーザー”では、2023年のプレイ時間において同年発売の新作が占める時間が9%にとどまっていた(関連記事)。またSteamDBの同時接続プレイヤー数ランキングを確認すると、『Counter-Strike 2』や『Dota 2』などといったライブサービス型ゲームは年間を通して高いプレイ人口を維持している傾向にある。多くのプレイヤーがライブサービス型ゲームに時間を費やした結果、新作ゲームがあまりプレイされない、あるいは相対的に新作ゲームのプレイ時間が少なくなるといった傾向はあるかもしれない。

とはいえ、ライブサービス型のゲームのほかにもリリースより年月の経った作品が遊ばれている可能性はある。たとえば弊誌による『龍が如く』開発者インタビューにおいては、チーフプロデューサーの阪本寛之氏が、Steamでは発売日に新作を遊ぶプレイヤーはそれほど多くないかわりに、開発規模に関わらずじっくり遊ぶ傾向があると発言していた(関連記事)。「新作だから」プレイするのではなく、興味をもった作品であれば遊ばれる傾向もあるようだ。

またSteamだけでなく各プラットフォームではダウンロード販売も主流化しており、各ストアでは季節ごとの大規模セールやテーマ別のセールも実施されている。“昔のゲーム”が購入されやすく、遊ばれやすい環境にもなっているだろう。

Image Credit: Newzoo


このほか近年各社では、過去の人気作のリメイクも盛んにおこなわれている。たとえばNewzooは『バイオハザード RE:4』の発表から発売にかけての、オリジナル版『バイオハザード4』の平均MAUを紹介。発表された2022年6月には平均MAUが57%増加したほか、リメイク版の発表前と比べると平均MAUは285%もの増加を見せている。リメイク発売に向けて、オリジナル版をプレイするユーザーの多さも垣間見えるデータといえる。

今回Newzooによって明かされた、プレイヤーの“過去作志向”。主な理由には、ライブサービス型ゲームが長期展開され、人気を博している状況があげられそうだ。またセールやリメイクなどによって改めて過去作に注目が集まるといった事情も考えられる。いずれにせよそうした複数の要因が重なって、新作よりも昔のゲームのプレイ時間が統計上長くなる傾向もあるようだ。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

Articles: 852