Nintendo Switch『サンバDEアミーゴ : パーティーセントラル』ではどの曲が人気なのか?15年ぶりのシリーズ新作を出す苦労や達成できたことなどを中村俊Pに訊いた

『サンバDEアミーゴ : パーティーセントラル』プロデューサーを務める中村俊氏にメールインタビューを実施。本作を現代向けに“立ち上げ直し”するにあたっての苦労や、プレイヤーを楽しませる工夫について訊いた。

『サンバDEアミーゴ : パーティーセントラル』はアーケードやドリームキャスト、Wiiでリリースされた初代作『サンバDEアミーゴ』の約15年ぶりの完全新作だ。サンバがテーマのリズムアクションで、Joy-Conをマラカスに見立て、画面中央から六方向に飛んでくる「リズムダマ」に角度とタイミングを合わせてシェイクしたり、指示によってポーズを決めたりダンスをしたりと、体を動かしながら遊ぶ。本作は昨年8月30日に、Nintendo Switch向けにリリースされた。


本作は初代作からコンセプトとして“バカ楽しい”を受け継ぎつつ、現代向けに新たな遊び方の追加やワールドワイドを視野に入れた選曲を実施。1人プレイから大人数でのパーティーゲームとして楽しめる仕上がりになっているという。今回、弊誌では『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』のプロデューサーを務める中村俊氏にメールインタビューを実施。本作を現代向けに“立ち上げ直し”するにあたっての苦労や、プレイヤーを楽しませる工夫について訊いた。なお同作のデジタルデラックス版が、4月22日(月)まで30%オフの4612円で発売中だ。

本作プロデューサー・中村俊氏


──改めてゲームについて紹介お願いします。『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』はどのようなタイトルでしょうか。

中村氏:
本作は、過去の『サンバDEアミーゴ』作品がもつコンセプト“バカ楽しい”を現代化させ、昔の人も、新しい人もとにかく“バカ楽し”んでもらおうとして、作ったタイトルになります。

たとえば、通常の音楽ゲームではおそらくやらないであろう「ハプニング」という要素は、音楽を楽しんでいる中、音楽に合わせて突如さまざまなゲームが登場します。このシステムによって、決まった譜面を叩くだけではない、通常の音楽ゲームと異なる部分を作り、そのアドリブ性により、笑いや笑顔を生み出したいと考えて作りました。

*プレイ中に起きる「ハプニング」の一例。同システムはON/OFFも可能だ。


こういった、通常の音楽ゲームと異なる体験ができ、そこで“バカ楽しめる”というのが『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』の特徴となります。


──『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』が発売され、どのような反響がありましたか。

中村氏:
今作でも、とにかくマラカスを振りまくり、一心不乱に踊る方から、スコアを求める方まで、さまざまなプレイヤーの方をSNSなどで見させていただきました。プレイする人によって、その様子はいろいろだったのですが、どの方も皆さん笑顔で遊ばれていて、「楽しんでいただけるゲームを作れてよかった」の一言に尽きます。

やはりゲームは、楽しむためにあるものだと思うんですよね。私自身も企画をする時から、過去マラカスを振って楽しんでいる方の笑顔を思い浮かべながら制作をしていたので、そういった部分を見ることができたのが非常によかったですし、作った甲斐があったなと思っています。

──『サンバDEアミーゴ』自体が長らく休眠していました。改めて立ち上げ直すことにおける苦労、現在における手応えはありますか。

中村氏:
苦労としては、やはり作り手もお客さんも、『サンバDEアミーゴ』を知っている人が少ないという点でした。当然、開発にあたって『サンバDEアミーゴ』における“当たり前のこと”も説明しないといけないし、その上で、時代が経ったことで価値観もいろいろと変わっているため考え直さないといけない部分もありました。そして、それをどういうメッセージで伝えるのか、お客様の生活様式や考え方も時代とともに当然変化している。そうしたところが、すごく考えて苦労した部分です。

手応えという点に関しては、各体験会や取り上げていただいたTV番組、そしてSNSでプレイしている方などの反応があります。本作コンセプトの“バカ楽しい”で笑顔を生み出すことができ、受け手によって伝わり方の差はあるものの、プレイする方にこのタイトルの魅力を改めて届けることができてよかったなと思っております。

──本作はどのような年齢層のプレイヤーに遊ばれていますか?

比較的幅広い年齢層の方にプレイされています。ただ、やはり過去タイトルを遊んでいただいた方に、より多くプレイしていただいているイメージです。過去の『サンバDEアミーゴ』の想い出とともに、ふたたびマラカスを持ってくれた方が多かったですね。


──順位付けは難しいと思いますが、本作における人気曲をいくつか教えてください。

中村氏:
人気というよりは、プレイしていただいた方が多い曲をあげさせていただくと「TiK Tok(Kesha)」「Pa’lla(Marc Anthony)」「Break Free ft. Zedd(Ariana Grande)」がベスト3になります。

楽曲自体の魅力やアーティストさんの魅力は、プレイヤーの皆さんそれぞれで大きく考え方が異なりますし、国によっても変わってくるのかなと思います。
前述の3曲は、まさに統計としてよく遊ばれていると出た曲ですので、まだあまりプレイされていない方がいれば、ぜひ今一度プレイして、魅力を再確認いただくとよいかもしれません。


──本作はかなり国際色が豊かなゲームという印象です。「特に本作の人気が高かった国」や「意外に感じた本作が人気な国」を教えてください。

配信国による状況の違いは、我々も詳細は認識していません。ですが今回、特にワールドワイドで発売することで、楽曲の選択は非常に難しくなりました。過去の『サンバDEアミーゴ』作品は日本のプレイヤーのために作って、それが世界に広がっていったのですが、今作では、最初から世界中の皆さんに届けようとしたので、本当に大変でした。

ただ、その甲斐あって「この地域だけで売れている」といった状況にはなっておりませんので、それは非常によかった点かと思います。


──過去作品と大きく異なる遊び方となる、「ワールドパーティー(バトルロイヤル形式の多人数対戦)」はどのように誕生したのでしょうか。

中村氏:
リズムゲームというと、どうしても“スコア”という概念が強く、そうなるとどうしてもベストな行為が一律になってしまって、おもしろみが薄いなと思っていたんです。ですので、対戦する相手がいるからこそ変わることや、それによってプレイの仕方が変わるようにしたいと思い、「ワールドパーティー」モードを作りました。

同モードにも順位という考え方はあるのですが、「状況によってどう自分がふるまうか?」という視点は、通常の音楽ゲームにはない点だと思うので、うまく遊び方として差別化できてよかったなと思います。対戦はやはり盛り上がりますよね!


──キャラクターのカスタマイズを含め、『サンバDEアミーゴ』らしい“おバカらしさ”を感じる部分が多くありました。

中村氏:
はい、やはりこのゲームのコンセプトである“バカ楽しい”を「現代化してゲーム全体にどう浸透させるのか?」が大事だと考えておりましたので、いろいろな場所にそういった要素を入れ込みました。

たとえば、アピールバトルという対戦モードでは、とにかくゲームとしてではなくパーティーツールとして遊んでほしいということで、ゲームをクリアし終わったらいわゆる“罰ゲーム”的な要素が現れて、それに従わないといけないというゲーム外での“バカ楽しさ”も入れ込んでみました。


これは開発チーム内でも「ゲームではないのでいらないのでは?」という意見もありましたが、このタイトルならではの“バカ楽しむ”ことでみんなに笑顔が生まれるというコンセプトでは、開発する必要があったんです。実際に私たちも、タイトル完成の打ち上げでこの機能を使って盛り上がりました!

──本作は国内のみならず、ワールドワイドで多言語による発売となりました。こうした展開にあたっての工夫や大変さはありましたか。

中村氏:
ワールドワイド向けへの開発は、我々が普段「ソニック」シリーズでしているものだったので「当たり前のように対応する」というスタンスで開発できたと思います。

他方、今回はVR(Meta Quest)やスマートフォン(Apple Arcade)といった新しいデバイスにも対応しましたので、言語以外の部分での対応にすごく苦労しました。

ただ、それぞれの特徴をデバイスに合わせて出しながら、うまく開発できたのではないかと思います。

──『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』にて、個人的に「一番技術面で頑張ったポイント」を教えてください。

中村氏:
そうですね。本作だけに限らないのですが、今回はできるだけ多くの方に遊んでいただくために、前述のようにさまざまなデバイスにチャレンジしています。通常だと、別ゲームとして開発するところを、それぞれのプラットフォームのお客様の姿を想像し、そのデバイスに合ったかたちでゲームを仕上げた点が、技術面で頑張った部分です。

開発チームメンバーの工夫で、それぞれのデバイスにすごく良いかたちでフィットさせることができたと思います。


──最後に、読者にむけて一言お願いします。

中村氏:
『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』を楽しんでいただいた方はありがとうございます。そして「ちょっと興味があるぞ!」という方は、ぜひさらにタイトルのことを知っていただき、『サンバDEアミーゴ』の“バカ楽しさ”に触れていただけるとうれしいです。

『サンバDEアミーゴ:パーティーセントラル』は、昨年8月に発売しましたが、さまざまなダウンロードコンテンツを用意してきました。昨年末にすごく流行した曲である「アイドル」や、世界で人気のBTSの楽曲、さらに、我々セガのサウンドチームがパーティーを楽しむ人に向けて作った「パーティーミュージックパック」など、さまざまなジャンルの楽曲がそろっています。

1人プレイでも楽しいですし、複数人でパーティーの時に遊べば、きっとパーティーに笑いを生み出すことができます。もっておくと役に立つタイトルなので、ぜひ今後とも『サンバDEアミーゴ』をよろしくお願いします!


『サンバDEアミーゴ : パーティーセントラル』はNintendo Switch向けに発売中。なお同作のデジタルデラックス版が、4月22日(月)まで30%オフの4612円で発売中だ。

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