Nintendo Switch『プリンセスピーチ Showtime!』はUE向けプラグイン「Kawaii Physics」を採用。ピーチ七変化衣装の「かわいい揺れ」を巧みに表現
任天堂は3月7日、『プリンセスピーチ Showtime!』体験版を配信開始した。同体験版のライセンス表記にて、過去に多数タイトルに採用例のある疑似物理演算プラグイン「Kawaii Physics」が採用されていることが判明。プラグインの開発者も反応を見せている。
『プリンセスピーチ Showtime!』は、ピーチ姫を主人公とする新作アクションゲームだ。たくさんの舞台が上演されているキラメキ劇場を訪れたピーチ姫だったが、突如現れたグレープ劇団の襲撃により、劇場が乗っ取られてしまう。そこでピーチ姫は、妖精ステラと共に劇場を救うために戦うこととなる。ステージ上の特別な場所では、ピーチが舞台にあわせた衣装に変身。剣士・探偵・忍者・パティシエ・カウガールなど、多彩な能力と姿に七変化するのだ。
そんな本作では、疑似物理演算プラグイン「Kawaii Physics」が採用されているという。「Kawaii Physics」は、Unreal Engine 4,5向けのプラグインだ。このプラグインは、髪の毛・スカート・リボンといったいわゆる「揺れモノ」の物理挙動を、「かんたんに」「かわいく」実装するために開発されたもの。ゲームキャラの動きにあわせて揺れるパーツは表現が難しく、自然な動きにするには、時には手作業による職人技のようなパラメータ調整が必要となる場合もある。そうしたパーツの表現を助けるのが「Kawaii Physics」なのだ。
同プラグインは採用例も枚挙にいとまがなく、『真・女神転生Ⅴ』『SCARLET NEXUS』『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER』『Tower of Fantasy(幻塔)』『なつもん! 20世紀の夏休み』『グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-』といった多数タイトルにて採用。髪からケモミミまで、「かわいく揺らしたいもの」を自然かつ省工数で表現することに一役買っていた(関連記事)。
『プリンセスピーチ Showtime!』では、前述のとおりピーチ姫がさまざまな姿を見せる。まずいつものドレス姿でも、スカートや髪の毛のふわっとした挙動はピーチ姫の雰囲気を醸し出すために重要なモーションだろう。また、ゲームプレイ映像などを確認するとほかの姿でも「揺れもの」が印象的。
たとえば剣士では服の裾が、忍者では長いスカーフが、怪盗では翻るマントがピーチの衣装を華やかにしている。ほかの衣装などについても「かわいい揺れ」は多数導入されており、こうした揺れを効率的・効果的に演出するために「Kawaii Physics」が利用されていると見られる。また、本作にてUnreal Engineが採用されている点も興味深い。
「Kawaii Physics」プラグインを開発したのは、「おかず」こと国内開発者の岡田和也(おかず)氏だ。同氏はカプコンを経て2016年にEpic Games Japanに入社し、サポートエンジニアとしてUE利用者のサポートをおこなってきた。昨年10月末にはレイオフの影響を示唆しつつ退職を報告。アクションゲーム『双腕のソルダート』制作に取り組む傍ら、現在もUEをはじめとする開発関連の情報発信や「Kawaii Physics」といった自作プラグインの開発も継続している。
上述のポストでは、ゲーム開発者からのライセンス表記発見報告に岡田氏が驚きを示している。また、ゲームスタジオIndie-us Gamesの中村匡彦氏も「祝・任天堂ゲームデビュー」と反応。レスポンスを見るに、岡田氏の把握している範囲でも初の任天堂作品における「Kawaii Physics」採用例となったようだ。