『The Last of Us Part II』は開発当初『Bloodborne』風オープンワールドゲームだった。「続編のコンセプトはすでにある」など公式動画でいろいろ明かされる

Naughty Dogは2月3日、『The Last of Us Part II』制作に関するドキュメンタリー動画を投稿。興味深い内容がさまざま明かされている。

Naughty Dogは2月3日、公式YouTubeチャンネルにて『The Last of Us Part II』制作に関するドキュメンタリー動画を投稿。同作の制作秘話が紹介されているほか、本作のクリエイティブディレクターやシナリオライターを務めたNeil Druckmann氏により「続編のコンセプトがある」との言及もおこなわれた。


『The Last of Us Part II』はサバイバルTPS『The Last of Us』の続編だ。舞台となるのは謎の感染爆発によって荒廃したアメリカ。前作の旅路から5年後、エリーとジョエルはワイオミング州ジャクソンにあるコロニーで生活を送っていた。平穏な暮らしのなか起こったとある出来事をきっかけに、エリーは旅に出発することになる。彼女の旅路はさまざまな正義や道徳との対立を生み出し、激化していく。

本作はPS4向けに2020年6月に発売。衝撃的なストーリー展開などはユーザー間で賛否を巻き起こしつつも、The Game Awards 2020のGame of the Yearをはじめ同年の数多くのアワードを受賞した。2024年1月19日には、新モード「No Return」やオリジナル版でカットされたシーンなどを含む『The Last of Us Part II Remastered』がPS5向けに発売された。

今回、開発元Naughty Dogの公式YouTubeチャンネルにて、本作の制作の裏側などを紹介するドキュメンタリー動画「Grounded II: Making The Last of Us Part II」が公開された。2時間にわたる動画では、開発当初にお蔵入りとなったコンセプトや続編の示唆など、興味深い内容もさまざま明かされている。なお動画には『The Last of Us Part II』のストーリーやゲーム内の映像も含まれているため、視聴の際は留意されたい。


お蔵入りになったコンセプトを明かしたのは本作でゲームディレクターを務めたAnthony Newman氏だ。同氏によると、Neil Druckmann氏は当初本作のゲームプレイを『The Last of Us』から大きく変えようとしていたそうだ。開発開始から最初の4か月~5か月間は『Bloodborne』風のオープンワールドゲームとして想定されていたという。同作はフロム・ソフトウェアが手がけ、2015年に当時のソニー・コンピュータエンタテインメントから発売されたアクションRPG。ソウルシリーズなどのゲームプレイを継承した、手強い調整の戦闘などが特徴の作品だ。

Anthony氏によれば当初の『The Last of Us Part II』は近接戦や格闘が中心のゲームプレイになっていたという。また本作リードゲームデザイナーのEmilia Schatz氏によると、戦闘だけでなく(マップの)構造やレイアウトも『Bloodborne』を参考にしていたとのこと。同作における探索すればするほどマップが広く感じられるような設計を目指していたという。しかしながらオープンワールドが「物語にあまり合わない」と判断され、そうした初期のコンセプトはお蔵入りになったようだ。


そして動画の終盤では、Neil氏により続編についての示唆もおこなわれている。まず同氏は過去に海外メディアインタビューにて「ジョエルの弟トミーが主人公となる『The Last of Us Part II』の後の物語を作った」と答えた点について言及。一部では「3作目の大筋」として報じられたものの、これは短めの話で単体の作品としては想定されていなかったという。また当時はスタジオ内で別の優先事項があったほか、開発工程や(スタッフの)生活のバランスも見直す時期にあったという。そうした状況もありトミーが主人公の物語もまた、お蔵入りになったそうだ。とはいえ同氏いわく、ゲームか実写ドラマかは分からないものの「いつか日の目を見るとは思う」とのこと。

またNeil氏は、トミーが主人公の物語とは別に、続編のコンセプトを考えているという。Neil氏は『The Last of Us Part II』の物語について「『The Last of Us』の続編としてきれいに締めくくれた」と述べており、長年続編のコンセプトも思い浮かばなかったそうだ。しかし最近になって“変わった”といい、次回作について「まだ物語はないがコンセプトはある」と発言。これまでの2作品と同じくらい“刺激的(exciting)”で、独立しつつも3作を通して繋がっているコンセプトであると説明している。そして同氏は「きっとこの物語はもう1章あるんだろう」と述べ、動画は締めくくられた。


『The Last of Us Part II』、そしてその続編の可能性に関して、さまざまな興味深い内容が伝えられた今回の動画。2時間にわたる長編ながら、公式に日本語字幕も用意されているため、興味のある人はチェックしておくといいだろう。

なおNaughty Dogは昨年12月、制作中であった『The Last of Us』シリーズのマルチプレイ作品について開発中止を発表(関連記事)。開発規模が巨大になったため、Naughty Dog全体がライブサービスゲームを運営するスタジオとして方針転換するか、それともこれまでのようにシングルプレイヤーゲームを手がけるスタジオで居続けるかの選択を迫られたとされる。結果としてシングルプレイヤーゲームに注力する道が選ばれたかたちだ。今回コンセプトの存在が明かされた『The Last of Us』シリーズの続編を含め、今後も同スタジオからは新たなシングルプレイヤーゲームが打ち出されていくことだろう。

『The Last of Us Part II』はPS4向けに発売中。また『The Last of Us Part II Remastered』はPS5向けに発売中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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