『サイバーパンク2077』有料拡張パックは“時期外れのリリースだったが成功した”と販売担当喜ぶ。装着率は約23%
CD PROJEKT RED(以下、CDPR)は1月5日、『サイバーパンク2077』の大型拡張パック「仮初めの自由」が売上500万本を突破したことを報告した。またCD PROJEKT Groupの共同CEO・Michał Nowakowski氏によると「本編所有者のうちの購入率が『ウィッチャー3』の拡張パックと肩を並べている」という。『サイバーパンク2077』では本編発売から2年半以上を経ての拡張パック発売となったものの、社内的にも成功と見なされているようだ。
『サイバーパンク2077』は2020年12月発売のオープンワールドアクションゲームだ。舞台となるのはサイバーウェアと呼ばれる技術による肉体改造が一般的になった近未来。プレイヤーは主人公V(ヴィー)となり、巨大都市ナイトシティにて生存をかけた戦いに身を投じる。本作に向けては2023年9月に大型拡張パック「仮初めの自由」が発売。壁で外部と隔絶されたドッグタウンと呼ばれる独立地区にて、スパイスリラーをテーマにした新たな物語が描かれた。
今回、CDPRは2023年内に「仮初めの自由」が500万本を売り上げたことを報告。さらに今月よりCD PROJEKT Groupの共同CEO に就任したMichał Nowakowski氏により、本編所有者のうち約23%が拡張パックを購入していることが明かされた。
なお11月28日の投資家向け発表で「仮初めの自由」は430万本を売り上げており、本編所有者のうち約20%の購入率であると伝えられていた。その後12月5日には本編と「仮初めの自由」をセットにした『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』が発売。各ストアの冬季セールやホリデーシーズンもあってか、さらに売り上げを伸ばしたかたちだ。
Nowakowski氏は投稿において、「仮初めの自由」の売れ行きをスタジオの前作『ウィッチャー3 ワイルドハント』(以下、ウィッチャー3)の2種類の拡張パックと比較。それぞれ発売後3か月時点で拡張パック「無情なる心」を本編所有者のうち22%が購入し、「血塗られた美酒」を24%が購入していたそうだ。『サイバーパンク2077』では「仮初めの自由」が唯一の拡張パックとなったが、同程度の期間でちょうどその中間程度の購入率となったそうだ。
そのため「仮初めの自由」は本編所有者内の購入率自体は『ウィッチャー3』の「血塗られた美酒」にわずかに劣るものの、本編発売後から拡張パック発売までの期間を考えると特筆すべき売れ行きを見せているようだ。たとえば『ウィッチャー3』では本編が2015年5月に発売されたのち、「無情なる心」は2015年10月に発売され、「血塗られた美酒」は2016年5月に発売された。両拡張パックの展開が約1年でおこなわれていた。
一方『サイバーパンク2077』においては本編が2020年12月に発売されたのち、2年半以上の期間を経て「仮初めの自由」が2023年9月に発売。本編発売からかなり期間を空けた拡張パックの展開であり、Nowakowski氏によればシングルプレイゲームとしてはやや常識外れ(counterintuitive)の決断だったという。拡張パックやDLCは、本編発売後に熱が冷めないうちに発売するといった判断がビジネス的には一般的なのだろう。異例のタイミングでのリリースとなったものの、好調な売れ行きを示すかたちとなったようだ。
ちなみに先述の11月28日時点のCD PROJEKT Groupの売上発表においてはObsidian Entertainmentにてディレクターを務めるJosh Sawyer氏が反応。同氏によると、通例では本編発売後数か月以内にリリースしたDLCであっても、売上率の見込みは本編所有者のうち25%程度にとどまるという。そのため2年半以上もの期間を空けたにもかかわらず、好調な売上を見せている「仮初めの自由」は非常に印象的だとして称賛していた。
またNowakowski氏も今回の投稿にて「仮初めの自由」の好調な売上は「人々が満足できる堅実なコンテンツを用意することが目指すべき方針であると証明している」とコメント。シングルプレイ作品として本編発売からの異例の長期間を経た拡張パックリリースとなったものの、この判断は社内的にも成功とみなされたようだ。
なお『サイバーパンク2077』は2020年12月の発売当初、数々の不具合やコンソール版の最適化不足から批判を受ける結果となり、アップデートによるブラッシュアップを重ねていた。こうした背景から、拡張パックのリリースも遅くなったかたちだろう。一方でアップデートを重ねるなかではユーザー評価も持ち直しを見せていった。2021年9月にはNetflixにてアニメ「サイバーパンク エッジランナーズ」が配信され、あわせて無料コンテンツアップデートがリリース。拡張パック発売までに新展開やサポートが続けられてきたことが、売上に繋がったのかもしれない。
なおCDPRでは開発に用いられるゲームエンジンを内製のREDengine 4からUnreal Engine 5に移行。技術的な理由から、本作に向けては「仮初めの自由」以降の拡張パックが用意されないことが明言されている。また大規模アップデートについても12月5日に配信されたアップデート2.1が最後になるそうだ(関連記事)。チームは続編となる「Project Orion」の開発に本格的に移行していると見られ、続報が注目されるところだろう。
『サイバーパンク2077』拡張パック「仮初めの自由」は、PC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中。また本編と「仮初めの自由」をセットにした『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』ダウンロード版がPC/PS5/Xbox Series X|S向けに発売されている。同エディションはPS5向けにはパッケージ版も2024年2月15日に発売予定だ。