大きな期待受けたサバイバルTPS『The Day Before』開発スタジオ、突然閉鎖を発表。早期アクセス配信開始からわずか4日で開発中止へ
『The Day Before』の開発元FNTASTICは12月12日、スタジオを閉鎖すると発表し、同作の開発を中止することを告知した。同作はPC(Steam)向けに12月8日に早期アクセス配信開始されたばかり。品質面のさまざまな課題点が指摘されており、本稿執筆時点でSteamユーザーレビューの評価ステータスは「圧倒的に不評」となっている。
『The Day Before』はオープンワールドサバイバルMMOと謳われ、PC(Steam)にて12月8日に早期アクセス配信開始された。舞台となるのはパンデミック後のアメリカ東海岸。本作の世界には、血肉に飢えた感染者が徘徊しており、生存者たちはウッドベリーと呼ばれる安全なコロニーを構築している。プレイヤーはコロニーの新たな住民となり、生存者コミュニティの再建に取り組んでいく。
本作は12月8日の早期アクセス配信開始後にすぐさまSteamユーザーレビューにて5000件以上を集めたものの、評価ステータスは好評率13%にとどまる「圧倒的に不評」。本稿執筆時点でも約1万9000件中好評率17%となっており同様の評価ステータスになっている。さまざまな課題を抱えたままの早期アクセス配信開始となった。
今回、開発元FNTASTICはスタジオを閉鎖することを発表した。『The Day Before』が収益的に失敗しており、運営継続のための予算が不足しているためだという。開発を継続する資金がないため、『The Day Before』に向けて計画されていたというパッチのリリースも中止になったとされている。なお本作で得た収入はすべてパートナーへの負債の返済に充てられるとのこと。
また声明でFNTASTICは、『The Day Before』の開発期間中には一般のユーザーから資金を一切得ていなかったと強調。予約受付やクラウドファンディングキャンペーンを実施していなかったとしている。そうしたなかで5年間にわたって、本作の開発に努力し続けてきたと主張されている。
しかし、スタジオは全力を尽くしたものの、自分たちの能力を見誤ったとも言及。期待を裏切られたユーザーに対して謝罪が綴られている。なお声明発表時点では『The Day Before』および同スタジオが手がけた『Propnight』について、先行きは不透明ながら、サーバー自体は稼働し続けるとのことだ。
『The Day Before』は2021年1月に発表され、Steam DBにおけるSteamウィッシュリスト登録者数で1位になるなど多くの注目を集めてきた。一方で発売延期が繰り返されてきた。そうしたなかで本作は、ユーザーから開発状況への不信感を抱かれることも少なくなかった。たとえば本格的なゲームプレイ映像がなかなか公開されず、公開されても物足りない内容だったり、あるいは開発を“ボランティア”に頼っていることが明らかになったりといった過去もあった。また「The Day Before」の商標が他者に先行取得されたことで、Steamストアページが削除されるというドタバタも見られた。
こうした背景もあり、発売直前には販売元Mytona Fntasticが声明を発表。本作の映像公開などのマーケティングは良いやり方ではなかったといった反省のほか、本作が詐欺的な作品であるといった指摘について事実ではないと否定していた(関連記事)。
紆余曲折を経て早期アクセス配信開始された本作は、サーバー問題や品質面などの課題を数多く抱えていたことから不評が寄せられる結果となった。「MMO」と標榜されていた一方で実際のゲームプレイが脱出型PvPvEシューターとなっている点や、39.99米ドル(国内向けには4500円)と早期アクセスとしては強気の値段設定である点も批判を呼んでいた。そうした波乱の早期アクセス配信開始からわずか4日後のスタジオ閉鎖および開発中止発表であり、今後の動向が注目される。