『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ディレクター、「シーカー族の技術は役目を終えて消滅した」と明かす。新たな遊びのために思い切った決断

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では「古代シーカー族の技術」が姿を消した。前作と今作の間に何が起こったのかを、ディレクターの藤林秀麿氏が明かしている。

ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』では、前作における各種シーカーアイテムをはじめ「古代シーカー族の技術」が姿を消した。前作と今作の間に何が起こったのかを、前作および本作のディレクターを務める藤林秀麿氏が明かしている。


『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』(以下、ティアーズ オブ ザ キングダム)は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、ブレス オブ ザ ワイルド)の続編にあたる。新作においては、ハイラルの地が突如として天変地異に見舞われる。城は宙へと浮かび上がり、空からは謎の遺跡群が降り注ぐ。大地と大空が広がった世界にて、“右手”に力を宿したリンクがハイラルの異変に立ち向かう。

『ブレス オブ ザ ワイルド』においては、古代シーカー族の遺した「シーカーストーン」が登場。ウツシエのほか、マグネキャッチやビタロックといったシーカーアイテムを利用可能であった。一方で『ティアーズ オブ ザ キングダム』ではシーカーストーンが類似の端末プルアパッドに置き換わるかたちに。プルアパッドにもウツシエやマップ機能は備わっている一方で、シーカーアイテムは姿を消した。また同じく古代シーカー族が遺した兵器「ガーディアン」や、各地に点在した塔「シーカータワー」なども消失している。

『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』

では前作から『ティアーズ オブ ザ キングダム』の間に、古代シーカー族の技術はどうなったのか。海外メディアThe Telegraphのインタビューに対し、前作および本作のディレクターを務める藤林秀麿氏がその答えを明かしている。藤林氏によると、『ブレス オブ ザ ワイルド』にて厄災ガノンが封印されたあと、古代シーカー族の技術は消滅したのだという。

藤林氏いわくハイラル中の人々がその様子を目撃したものの、なぜ消えたのかのメカニズムを知る者はおらずゲーム内世界でも謎とされているそうだ。またハイラルでは不思議な出来事が日常茶飯事であり、人々はそうした現象の理由をシンプルに考えているとのこと。古代シーカー族の技術は厄災ガノンの封印という役目を終えると消えるように作られていたと考えられており、それ以上仕組みを探ろうとする者はいなかったそうだ。

なおインタビューにおいて藤林氏は、前作プレイヤーに新たな体験を提供することが『ティアーズ オブ ザ キングダム』開発当初の課題であったと語っている。そうした中で同氏は、オブジェクトを繋げる遊びを考案するに至ったようだ(関連記事)。同氏はこうした要素で前作以上にクリエイティブな遊びができると判断。そしてそうした遊びは、新たなマップよりも見知ったマップでおこなう方が楽しいことに気づいたという。前作で渡りにくかった場所に橋を架けるといった、新たなアプローチの閃きが持ち味として想定されていたようだ。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』

そういった背景もあり、前作のシーカーアイテムに置き換わるかたちで、ウルトラハンドやモドレコといった新能力で新たな遊びがふんだんに用意されたかたちだろう。また藤林氏はインタビューにて、古代シーカー族とゾナウ文明という、前作と新作に関わる文明がまったく違う点にも言及。それぞれの文明にマッチしたコンセプトでゲームが開発されていたことを明かしている。古代シーカー族の技術がハイラルから姿を消した背景には、続編としての開発方針もありそうだ。

リンクの冒険における心強いアイテムとして、あるいは脅威として登場し、『ブレス オブ ザ ワイルド』の肝になっていた古代シーカー族の技術。一方で今作『ティアーズ オブ ザ キングダム』では前作プレイヤーへの新たな体験を重視するため、マップを大きく流用しつつも前作における舞台設定を消失させるという思い切った決断がおこなわれたかたちだろう。

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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