ボクセル鉄道構築ゲーム『Station to Station』開発者インタビュー。日本&機関車ラブなディレクターに、こだわり抜いたポイントをどっぷり訊いた

ブリッシャーのPrismatikaは10月4日、『Station to Station』を発売する。クリエイティブディレクターのJoost van Donge氏に、本作の魅力である列車のディティールや、日本の鉄道網についての思いなどを訊いた。

パブリッシャーのPrismatikaは10月4日、『Station to Station』を発売する。対応プラットフォームはPC(Steam)。定価は税込1980円で、リリース記念セールとして10月11日まで10%オフとなる税込1782円で販売中だ。

『Station to Station』はボクセルグラフィックで描かれた世界で鉄道を構築していくゲーム。プレイヤーは閑散とした土地の施設に線路を敷き、鉄道を走らせることで発展させていく。ボクセルグラフィックで描かれた美しいアートワークと、ディティールにこだわった蒸気機関車が魅力の作品だ。今回、弊誌では、開発元であるGalaxy Groveの創設者でクリエイティブディレクターのJoost van Donge氏にインタビューをおこなった。本作が何に影響を受け作られたのか、本作の魅力である列車のディティールや、日本の鉄道網についての思いなどを訊いた。

──自己紹介をお願いします。

Galaxy Groveの創設者で、『Station to Station』のクリエイティブディレクターのJoost van Dongenです。かつてはRonimo Gamesの共同創設者として『Awesomenauts』、『Swords & Soldiers』や『 De Blob』といった作品のテクニカルディレクターを務めていました。私個人でも『Proun』、『Cello Fortress』や『Robo Maestro』といった実験的でヘンテコなゲームをいくつか作っています。

──スタジオの環境やチームメンバーについて教えてください。

Galaxy Groveはオランダのユトレヒトにある新興スタジオです。現在10人が在籍していて、デビュー作を制作中です。私たちの目標は、人目を引くビジュアルとユニークなゲームプレイを備えた高品質のマネジメントゲームを作ること。『Station to Station』がその最初の実例になります。一年前、スタジオは私一人でしたから、急速に成長しました。最初に雇ったのは有名なボクセルアーティストのDimaでした。Dimaのアートスタイルは『Station to Station』のビジュアルに大きく貢献しています。


──本作はどういったところからインスパイアを受けた作品でしょうか?ゲームや映画、もしくは実際の景色などいろいろとインスパイア元を教えていただけたら幸いです。

最大のインスピレーションとなったのは、私たちが大の鉄道ファンで、なかでも古い蒸気機関車が好きだという点です。オランダ鉄道博物館がスタジオと同じくユトレヒトにあり、私以上の鉄道ファンである5歳の息子とよく訪れていました。ゲーム面でのインスピレーションは、『Islanders』のシンプルさ、『Dorfromantik』の雰囲気、そしてもちろん『トランスポートタイクーン』や『レイルロードタイクーン』のような「タイクーン」シリーズの名作たちです。

──本作を遊んだ感想として、デジタルゲームというよりも、ボードゲームで遊んでいるかのような感覚に近かったです。そういった手触り感のあるようなデザインは意図的なのでしょうか。

特にボードゲームのようなものを作ろうとしたわけではありませんが、時間の要素がない、とてもリラックスできる作品を作ろうとはしました。監視しなければならないような経済シミュレーション的要素はありません。これは意図的で、大規模なマネジメントゲームにありがちなグラフやスプレッドシートから距離を置きたかったからです。それよりも、純粋にリラックスできて楽しい体験を作りたかったのです。

──列車のビジュアルへのこだわりや、SNSの投稿を見ていると、蒸気機関車に関してかなり熱意を持っていることが伺えます。機関車ののよさや好きなところなど、いっぱい語っていただきたいです!

私にとって、初期の蒸気機関車は人類の創造力の代表例です。蒸気機関車と産業革命で近代は幕を開けました。それらによって、十分に知恵と技術を進歩させれば不可能はない、という新しいマインドセットがもたらされたのです。

なかでも鉄道は多くの人々の世界を広げました。鉄道が存在する前は旅にかかる時間があまりに長く、隣町に住む友人を訪ねるのは大変なことでした。鉄道が発明されたことで、より早い方法で、より便利なかたちで、目的地に訪れられるようになりました。「さようなら」だけではなく、「またね!」と言えるようになったのです。


──日本の東京には地上と地下、たくさんの線路が行き交う複雑な鉄道網があるのですが、こういった複雑な鉄道網には興味はありますか。また、そういった都会的な鉄道を作品に落とし込む考えなどはありますか。

東京には行ったことがありますし、鉄道網も好きです。特に新幹線は凄かった!『Station to Station』の場合においては、もっと昔のシンプルな、生活がゆっくりしていた時代を取り入れたいと思いました。そちらの方が、私たちが目指している穏やかでリラックスした雰囲気に合っていると感じたためです。一方でゲーム内では、東京の密集した鉄道網のように、たくさんの列車が並走したり、お互いの上や下を通ったりする鉄道網も作れます。特に一番小さめのマップでは、狭いエリアにたくさんの電車が走っていて、この雰囲気をうまく捉えられています。

──本作のボクセルアートはかなり細かいところまで作られていると感じました。ボクセルアートで作品を手がける上での苦労などを教えてください。

ありがとうございます!私たちはボクセルアートが大好きで、私達ならアートを一段階上のレベルに引き上げられると感じていました。ですので、ほかのどのゲームよりも小さなボクセルにしました。『マインクラフト』のボクセルは際立って大きいです。『Teardown』のような、ワールドの描写がきめ細かい作品でも、カメラが非常に近いため画面上のボクセルはまだ大きい印象です。『Station to Station』では俯瞰視点で画面上のボクセルを小さく、きめ細かく感じられるように工夫しました。画面上でレンダリングしなければならないポリゴンの総量は大作AAA級ゲームに近く、技術面では多くの苦労をしました。特に多くの労力を注いだのは、遠景での描写のディテール量をそれと分からないように下げる、といった工夫でした。


──とても素敵なアートスタイルですが、機関車に乗ったり自由な視点で景色を眺める機能があればと思うのですが、いかがでしょうか。

素晴らしいアイデアですね!ローンチ時にその機能は無いですが、新コンテンツも含んだ無料アップデートを何度かリリースする予定なので、追加要素のアイデアとして覚えておきます!

──本作はアートワークこそ穏やかなものの、ボーナスを狙うとかなり難易度が高くシビアなプレイが求められるような印象です。うまくプレイするコツなどを教えてください。

ゲームデザインとしては、一生懸命プレイしなくてもリラックスしてプレイできる設計になっています。難しいチャレンジをするかは、すべてプレイヤー次第です。すべてのメダルを獲得して、最高得点を目指したい人は、大きなスタックボーナスを見つけることが一番重要だと思います。たくさんのリソースが同時に飛び交うように建物を上手い順番でつなげられれば、さらに高い報酬が得られます。そこに重貨物列車のカードを組み合わせれば、莫大なスコアを得られます。このコンボは楽しいし満足感がありますよ!

──リリース後は本作のさらなる追加コンテンツや続編を手がけるのか、もしくは新作を手がけるのかが気になります。

まずは『Station to Station』をできる限りサポートするところから始めます。11月には最初の無料アップデートを予定しています。このアップデートでは、まったく新しい地域を始めとする、いくつかの要素が追加されます。他にも無料アップデートやコンテンツの追加を計画しています。

将来作ろうと考えているマネジメントゲームのアイデアはたくさんありますが、まだ語るには時期尚早だと思われます。私たちのスタジオはマネジメントゲームと建築ゲームに注力しているので、新作を展開するとしても似たジャンルのゲームになると思います。ただ、コンセプトは異なると思いますが。どのゲームを遊んでも、驚きと喜びを感じてもらえるようがんばります!

──最後に、日本のプレイヤーたちに向けてメッセージをお願いします

私たちは日本が大好きです!数年前に妻と日本を訪れて非常に気に入りました。美しい風景、親切な人々、そしておいしい食べ物!どのくらい日本を気に入ったかというと、「妻に結婚を申し込むならここが理想的だ」と思いプロポーズしたほどです。プロポーズに彼女はイエスと言ってくれて、それ以来ずっと夫婦です!素晴らしい国でいてくれてありがとう、そしていつの日かまた日本に訪れるのを楽しみにしています!

──ありがとうございました。

どういたしまして。インタビューありがとうございました!


『Station to Station』は、PC(Steam)向けに10月4日配信予定。定価は税込1980円で、リリース記念セールとして10月11日まで10%オフとなる税込1782円で販売中だ。

Tamio Kimura
Tamio Kimura

エンタメ大好き系ゲーマー。COOPゲームが大好き、クライム系だったらなおよし。

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