『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』ロケット推進力高める“新たな物理法則”が見つかったとの報告。まだまだ進歩するハイラル物理学
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』にて、ユーザーがロケットの推進力についてある発見をした。それは、進行方向に対して垂直に設置するのではなく、角度をつけて設置するとなぜか推進力が上昇する、という現象である。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』は、Nintendo Switch向けに発売中のアクションアドベンチャーゲームだ。本作では、リンクの右手に宿る「ウルトラハンド」の能力によって、多数のものがビルドできるようになっている。国内外問わず、SNSやコミュニティサイトで日夜制作物が共有されており、海外掲示板Redditでは特に「r/HyruleEngineering」などで盛んに披露されている(関連記事1、関連記事2)。魔物討伐用から、単に挙動が面白い装置など、その種類はさまざまだ。また、ゲームの仕様や奇妙な挙動を利用したハイラルならではの“物理法則”も見出されている。
そんな同コミュニティにおける“研究開発”の一環だろうか。ゾナウギアであるロケットに関して、奇妙な現象が報告されたのである。24GamingYT氏によって投稿された動画によると、ロケットを進行方向に対して垂直に設置するより、斜めに設置した方が「より飛距離を稼げる」というのだ。
動画内では、台車にロケットをつけて上昇させる実験をおこなっている。地面に対して垂直にロケットをつけ、台車は上昇していく。ただ、ここでロケットを斜めに接着し、再度上昇させてみると、垂直にロケットをつけるよりも高く上昇したことがわかる。やや見づらいが、右下のミニマップを見る限りでは、垂直に設置したときは811m、斜めに設置した時は851mほどまで上昇したようにみえる。斜めに設置することで40mも高く上昇したのだ。
現実的に考えれば、台車に斜めにロケットをつけると、推進力は真横に進む力と真上に進む力のふたつに分解されてしまう。そうすればいうまでもなく真上向きの推進力は減少し、垂直に設置した時より上昇することはないはずだ。しかしハイラルの地では、そういった物理法則が働いて動いているわけではなさそうだ。また、上述の斜めの配置例ではバランスを取るためにロケットをふたつ設置している。「単純にロケットが増えたため高度が稼げたのでは」と直感的に思ってしまうところだ。しかし、同動画ではロケットの4個斜め設置でも実験。「斜め2個でも斜め4個でも、最終到達高度はさほど変わらない」との結論を出している。つまり、単純にロケットの個数が増えたから高度が稼げたわけではなさそうだ。
24GamingYT氏の投稿には、このようになった原因について考察したユーザーが、興味深いコメントを残していた。lucygracenelson氏によると、ロケットが向いている方向に内部的な“上限速度”が定められており、ロケットはこの速度を超えないようになっているのではないか、と考察していた。
斜めにロケットを設置すれば、ロケットが向いている方向と、実際に進んでいる方向はずれることになる。ここで、ロケットが向いている方向の速度はまだ上限速度に達していないので、速度が上昇しつづける。つまり、ゲームの内部処理上の“速度制限”を誤魔化せるという推察となる。このことにより、ロケット垂直に設置するよりも速いスピードで台車が進み続け、結果としてより高く上昇したという見解だ。
この“学説”を検証すべく、さらに浅い角度でロケットを飛ばす実験をおこなったユーザーも現れた。divlogue氏は垂直、斜め45度の検証に加え、さらに地面に対して平行に近い角度にロケットを設置して上昇の実験を実施した。学説によれば、進行方向に対して横向きに近い角度でロケットを設置すれば、ロケットが向いている向きにはほとんど速度がないとみなされる。そのため内部的な速度制限に達することがなく、より速度を稼げるという目論見だろう。実際に斜め45度の角度より、浅い角度の方が高く上昇した。実験の結果より、学説は裏付けられたとするのが現時点では有力なようだ。
実際に本作がそうした仕様を意図して実装しているかどうか、なぜこうした挙動になっているかは不明だ。ただコミュニティ内ではこの新たな“ハイラル物理法則”が納得とともに受け入れられつつあるようだ。
なお、divlogue氏は浅い角度でロケットを取り付ける方法についての動画も投稿している。台車とロケットに加え、杭と巨大なレンガを使って絶妙な角度でロケットを取り付けている。気になった方は実際に試してみて、ハイラル物理学の世界に足を踏み入れてみてもいいかもしれない。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』はNintendo Switch向けに発売中だ。
※ The English version of this article is available here