『Stardew Valley』PC版NPCに“AIの頭脳”を与えて自由会話可能にするMod登場。ペリカンタウンのみんなが生々しく喋る
人気ライフシム『Stardew Valley』にて、NPCたちに“AIの頭脳”を与えるModが登場している。導入すると、ユーザーが自由にテキストを入力して、NPCたちと会話できるという。
『Stardew Valley』は、PC/PS4/Xbox One/Nintendo Switch/モバイル向けに向けに配信中の牧場経営シミュレーションゲーム。舞台となるのは、スターデューバレーと呼ばれる辺境の自然豊かな土地。都会暮らしの主人公は祖父の牧場を受け継いで、同地のペリカンタウンに隣接した、荒れ果てた牧場を立て直すことを目指す。
本作には多数の個性豊かなNPCたちが存在し、それぞれが自分のスケジュールにしたがって活動している。好感度が上がると特別なイベントが発生したり、条件が合うNPC住民に対しては婚姻を結んで共に牧場をもり立てたりも可能。NPCたちの奥深い人間模様や交流も、『Stardew Valley』の魅力のひとつなわけだ。
そんな本作に向けて、NPCたちに「AIの頭脳」を与えるModが登場したという。開発したのは、ゲーム用のAIプラットフォームを提供する企業Inworldだ。本Mod「Talk to Inworld’s AI Villagers」は、その名の通りInworldの提供するAIテクノロジーを活用した設計。これを導入すると、スターデューバレーに住まうNPCたちに対して、プレイヤーがテキストを自由に入力して会話することが可能になる。
Inworldにより、同Modが実際に動作している様子も上述の動画にて公開されている。同動画では、魔法使いやパムといった住人たちが、本来のゲーム内でのテキストよりもはるかにバリエーションの多い表現で会話している様子がわかる。また、会話の内容を見てみると、キャラクターの設定や性格までも反映されていることがわかる。こうしたテキストがプレイヤーの自由な語りかけにあわせて、AIによって生成されるのだという。
同Modでは、33人のNPCたちにそれぞれ「頭脳(Brain)」を与える設計でこれを実現しているそうだ。NPCたちにはそれぞれ、Inworld Studioと呼ばれるAI編集ツールにて、独自の設定や性質を調整・保存された頭脳を割り当てられているという。さらには、この頭脳はプレイヤーが新たに作り出すことも可能。つまり、カスタムNPCをペリカンタウンに新たに住まわせるようなことも可能なようだ。また、既存NPCの性格を“調整”したりも可能な様子である。交流が大きな魅力となる本作において、好きなNPCと自由に会話できるModは一部プレイヤーにとって垂涎となりそうだ。ただし、このModは英語でのみ作動するという。
またこのModは、Inworld自身が開発するものとして、テクニカルデモやプロモーションのような側面もありそうだ。Nexus Modsの同Modページでは、Inworld AIを使った個性あるAIキャラが設計可能なことや、コーディング不要で利用できる点、調整の自由さ、会話の自然さなどがアピールされている。
Inworldがゲーム内NPCとの会話Modに利用されたのは今回が初めてではない。『The Elder Scrolls V: Skyrim』に向けて、Mod制作者がInworld AI利用のNPC会話Modをリリースしている(関連記事)。こちらでも、キャラ設定や世界観を理解したかのような自然な会話の自動生成が注目を集めていた。Inworld AIはそうしたキャラクターの構築に強みをもつテクノロジーとして設計されており、ゲームNPCを演じることに向いているのだろう。
なお、『Stardew Valley』に向けては現在アップデート1.6が開発中。そちらの配信をもって、ゲーム開発元ConcernedApeは新作『Haunted Chocolatier』の開発に注力するそうだ。しかし、同アップデートでは新コンテンツの追加のほか、Modサポートも強化される予定とのこと(関連記事)。本稿で紹介したような本作のModは、今後もさらに発展していくことだろう。
『Stardew Valley』は、PC/Xbox One/Nintendo Switch/モバイル向けに配信中。「Talk to Inworld’s AI Villagers」は、Nexus Modsにて配信中だ。