『龍が如く』と『ゴッド・オブ・ウォー』“どちらの主人公が勝つか議論”が加熱。伝説の極道vs戦の神なら、「極道が勝つ」派が多め

『ゴッド・オブ・ウォー』のクレイトスと『龍が如く』シリーズの桐生一馬が闘うと、どちらが勝つのか。そうした素朴な疑問が、海外ゲーマーたちを中心に議論を呼んでいる。

ゴッド・オブ・ウォー』のクレイトスと『龍が如く』シリーズの桐生一馬が闘うと、どちらが勝つのか。そうした素朴な疑問が、海外ゲーマーたちを中心に議論を呼んでいる。神話の戦士と伝説の極道、人気キャラの夢の対戦カードに多くのファンが妄想をたくましくしている。

*『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』トレイラー

『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズは、“スパルタの亡霊”の異名をとる戦士クレイトスを主人公とするアクションゲームだ。開発はSIE(旧SCE)サンタモニカスタジオが担当。初期3部作では、ギリシア神話の世界を舞台にクレイトスが大暴れ。邪魔する者なら人物・怪物・神々の別け隔てなく、躊躇なく惨殺するそのキャラクター性が強烈な印象を残した。リブート版兼続編である2018年の『ゴッド・オブ・ウォー』からは、北欧神話の世界を舞台にクレイトスと息子アトレウスとの旅が描かれる。同作は続編『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』とあわせて高い評価と人気を獲得した。クレイトスはSIEのファーストパーティー人気作品の主人公ということもあり、「PlayStationの顔」的な存在。シリーズ作品のなかではゲームタイトルどおり戦の神となったり、戦闘力も神話級の人気キャラだ。

『ゴッド・オブ・ウォー(2018)』

*『龍が如く 極』トレイラー


一方の『龍が如く』シリーズは、“伝説の極道”の異名をとる桐生一馬をメイン主人公としていたアクションゲームだ。開発はセガおよび、途中からは同社内チームである龍が如くスタジオが発足し手がけている。桐生一馬は初代『龍が如く』からの主人公であり、暴力団である東城会直系堂島組の組員という背景をもつ、いわゆるヤクザだった(ゲーム中ではほぼ組織から破門ないしは離脱している)人物だ。「堂島の龍」「伝説の極道」との異名をとり、正義感や侠気に溢れる性格と人間離れした強さで、作中キャラやファンから大いに愛される存在だ。また、そのコワモテに反したお茶目な行動も人気であり、桐生がしっとりと切なくカラオケを歌い上げる様子は国外を中心にネットミームにもなっている(関連記事)。『龍が如く7』からはメイン主人公の座を春日一番に譲ったものの、最新作『龍が如く8』からはダブル主人公として復帰が告知。桐生一馬は、世界的人気を誇る伝説の男だ。

『龍が如く6』


スパルタの亡霊・クレイトスと、伝説の極道・桐生一馬が闘うとどちらが勝つのか。そんな疑問が現在、海外ゲーマーを中心に、SNS上で議論を呼んでいる。発端と見られるのは、とあるユーザーが1月4日に投稿した何気ないツイートだ。同ユーザーは「クレイトスとほかのゲームキャラを戦わせる」というテーマのもとにさまざまな対戦カードを列挙。そのなかで「クレイトス対桐生一馬」という組み合わせが提案されたかたちとなる。同ツイートには数多くのユーザーが反応。「戦神クレイトスに、桐生一馬が勝利する」と予想する声が目立つ状況だ。

https://twitter.com/CreshMaguire/status/1610470659313881088

「桐生勝利派」によって根拠としてよくあげられているのが、桐生一馬がもつ多彩な戦闘テクニックである。たとえば、「桐生が自転車を持ち上げたら勝つ」といった分析だ。というのも、『龍が如く』シリーズには道端に落ちているものを拾って敵を殴りつけるシステムがあり、自転車は範囲・威力ともに優秀なことで知られている。『龍が如く』の道端の自転車は、クレイトスのブレイズ・オブ・カオスに比肩しかねない必殺武器なわけだ。また、同作ではポーズメニューから隙なく回復が可能。全回復アイテムも多数準備でき、実写映画版「龍が如く」でも演出として使われるほどの瞬時回復ができるため、回復能力ではクレイトスより桐生の方に軍配があがりそうである。

一方で、「クレイトス勝利派」も見られる。文字通り神の一柱であり、人間を遥かに超越した戦闘力をもつクレイトスに対して、一応ただの人間である桐生一馬が勝てるわけがないとの論調だ。たしかに、クレイトスの致死的な攻撃は、人間離れした桐生一馬といえどまともに食らって耐えられるかは微妙なところ。しかし、「桐生勝利派」はある桐生の技を根拠にして、神と人の差がひっくり返ると反論している。それが「虎落とし(Tiger Drop)」だ。

https://twitter.com/Zer0Minds/status/1610508106471018496

虎落としとは、『龍が如く』シリーズでお馴染みの技。敵の攻撃にあわせたカウンター技であり、敵の攻撃を無効化しつつ強烈な一撃を叩き込むことができる。作品によってバランス調整は異なるものの、基本的には中盤~後半でアンロックする技となっており、その分強力。作品によっては、少しの練習であらゆる局面を打破できるほどの異常性能を誇る。一連のSNS投稿のなかでは「クレイトスが桐生を簡単に倒すだろう」とするユーザーに対して、「虎落としはあらゆるダメージを無効化する」として反論。「スパルタン・レイジを発動したクレイトスなら倒せるでしょ?」との質問にも「虎落としはあらゆるダメージを無効化する」と繰り返し回答している。虎落としへの信頼感は強いようだ。

「無敵高威力のカウンター攻撃」というシステムだけで考えれば、桐生一馬は虎落としでクレイトスを倒せるかもしれない。一方で、クレイトスも多彩かつ強力な攻撃手段を備えており、「設定上の自然さ」という観点では桐生の敗北は自然にも思える。ただし、ゲームのバトル中の桐生は足元で手榴弾が爆発しようがショットガンで何発撃たれようが、高級栄養ドリンク1本で帳消しにする怪物である。何より桐生一馬は、どんなに不可能に思えることでも信念と気合とめぐり合わせで解決・実現してしまう男である、というのがファンの間での共通認識だ。桐生はストーリー上で“きちんと”撃たれた際や、大爆発に巻き込まれた際も生き残っている。そういったヒーロー的キャラクター性も加味してファンたちは、半ば冗談・半ば本気で「桐生が勝つ」としているのだろう。

ただし、クレイトスが冒険するのは北欧神話に基づいた別世界である。一方で桐生一馬がいるのは、日本の歌舞伎町など各都市をモデルとした町。それぞれほぼ接点がない地域に居住している。作品としても、将来クロスオーバーの可能性もなくはないものの、両者が相まみえる可能性は低そうだ。それでも、桐生一馬とクレイトスの闘いは、一部ファンにとって妄想や議論が捗る対戦カード。強者を尊重する両者にとって、案外よき出会いとなるかもしれない。また、「闘ってほしくない、一緒にカラオケにいってほしい」と願うユーザーも見られるなど、一連のSNS投稿からは両キャラのいずれも高い人気を誇る様子が見られる。

『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』はPlayStation 4/PlayStation 5向けに発売中だ。

そしてシリーズ最新作『龍が如く8』は2024年発売予定。桐生一馬にフォーカスするスピンオフ作品『龍が如く7外伝 名を消した男』は2023年発売予定。さらに別のスピンオフ作品リメイク『龍が如く 維新!極』は2023年2月22日発売予定だ。いずれの作品も、対応プラットフォームはPC(Steam/Windows)PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|Sとなる。




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Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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