『原神』アップデート3.0を前に、“ビビる”リーク者たち。法的リスクと偽情報で身動き取れずか

『原神』にまつわるリークは、運営元miHoYoおよび同作コミュニティを悩ませる問題だ。しかし昨今において、リーク者たちは情報流出に及び腰。その背景には、法的リスクと偽情報への懸念があるようだ。

miHoYoが手がけるオープンワールド型アクションRPG『原神』。多くのユーザーが遊ぶ人気作だけに、来たる大型アップデート3.0に関する期待は、ファンの間で膨らんでいることだろう。一方でアップデートにおいて危惧されるのは事前情報流出(リーク)である。しかし昨今において、リーク者たちは情報流出に及び腰のようだ。GamesRadar+が伝えている。


『原神』にまつわるリークは、運営元miHoYoおよび同作コミュニティを悩ませる問題だ。新アップデートでの実装キャラなど、門外不出のはずのテスト情報が流れることもしばしば。miHoYoもそうしたリークには厳しい対応を取ってきた経緯がある。しかし、ここへ来てリーク者たちのなかには情報流出の実行に及び腰、すなわち“ビビっている”ような動きが見られるようなのだ。たとえば、リーク情報を扱っていたコミュニティが参加者に“リーク箝口令”を敷くような例だ。

リーク者たちが及び腰になっている原因の一つには、まずリークのソースとなる情報の不確かさがあるようだ。というのも、本作は人気作だけに偽情報も多く流布してしまう様子が見られる。そういった偽情報の中には、公式のデザインと銘打ってファンアートが無断で使用されることもしばしば見受けられるという。そのため、多くのリーク者が“リーク情報”に対して懐疑的になっているそうだ。

しかしリーク者たちが及び腰になっている理由はそれだけではない。GamesRadar+はもう一つの理由として、訴訟を提起されるリスクに対する危惧だろうと報じている。miHoYoは過去に、中国動画サイト大手のbilibiliに対して情報開示が目的と見られる訴訟を提起したり(関連記事)、『原神』のリーク者たちに対して約890万円の賠償請求を求めたりするなど(関連記事)、リークに対して厳粛な姿勢を貫いてきた。その厳粛なる姿勢の結果が表れた例もある。中国大手ポータルサイト「Baidu」の掲示板にて、リーク者の一人であったUncle Truly氏が「miHoYoとの示談に応じた」とコメントしたのだ。

Uncle Truly氏はコメント内で「miHoYoの提示した賠償請求額は約1000万円だったが、約200万円の示談で決定した」と伝えた。また示談に応じてくれたmiHoYoに対して「生きる道を与えてくれた、深く謝罪し、感謝している」とも伝えている。こうした対応を見ると、今後もmiHoYoはリーク者に対して厳粛な態度を取っていくと思われる。こうしたmiHoYoによる法的措置リスクも、リーク者たちを怯えさせる要素のひとつだろう。


miHoYoはbilibiliにおいて、リーク者をほとんど名指して批判した過去もある。その際、「開発チームは美術、音楽、すべての分野において情熱をもって製作しており、すべての旅人(プレイヤー)が素晴らしい第一印象を得られるように、違反者には法的措置を検討していくつもりです」とコメントしていた。

一連のリーク取り締まり強化を受けてか、『原神』のリーク情報の出回る大手Discordサーバーでは、リークに関する情報のやり取りを禁ずる旨が通達されたとのこと。また、Twitterなどで情報流出をおこなっていた複数のリーク者たちも、直近のリーク情報を扱わない旨を表明しているそうだ。無法地帯のように各所でリーク情報が発信されていた頃と比べれば、リーク者たちの弱気は明らかだろう。


『原神』は現在アップデート2.7「虞淵に隠されし夢魘」を公開中。序章である「モンド」、第一章である「璃月」、そして第二章である「稲妻」が幕を閉じ始めている。そして、過去の公式情報からは新たな舞台として「スメール」が期待される状況だ。少なくとも第六章までが予定されている超人気作品だけに、今後もこういったリーク者が現れてしまう可能性はあるかもしれない。miHoYoが今後もリーク者に対して厳粛な姿勢を取り続け、『原神』の新たなる世界を“自らの目で”目撃することを心待ちにする旅人(プレイヤー)たちの期待に応え続けてくれることを願いたい。

Mayo Kawano
Mayo Kawano

豪州在住の薬剤師およびにゲーム翻訳者。サバイバルクラフトゲームを主食として、ステルスゲームはデザートとする。

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