SWAT体験シューター『Ready or Not』Steamストアページが消える。商標権侵害のおそれのため
タクティカルシューター『Ready or Not』がSteamから姿を消しているようだ。海外メディアNMEが伝えている。
『Ready or Not』は、VOID Interactiveが手がけるタクティカル一人称視点シューターだ。プレイヤーは警察特殊部隊SWATの一員となり、チームと共に犯罪現場に突入。人質の保護や犯人の無力化など、状況に応じた任務を遂行する。本作は2021年12月より早期アクセス配信が開始。ピーク同時接続プレイヤー数は1万9000人を突破するなど、人気を博した作品だ(SteamDB)。
そんな『Ready or Not』のSteamストアページが、現在閲覧できなくなっている。ストアのURLに遷移すると、Steamストアページのフロントにリダイレクトされてしまう状態だ。『Ready or Not』の公式Twitterは6月17日、本件に言及。現在『Ready or Not』のSteamストアページが“MIA(生死不明)”の状態にあると認め、追って最新の状況を伝えると告知した。Steamのコミュニティページでも説明があり、VOID Interactive開発者Kaminsky氏がユーザーからの問い合わせに回答。Steamのバックエンドに何らかの問題があり、ストアページが取り下げられているとしつつ、『Ready or Not』は現在もSteamプラットフォーム上に存在すると伝えた。
開発者の説明によれば、『Ready or Not』のストアページが取り下げられているのは、システム上の問題であるとされている。一方、海外メディアNMEは『Ready or Not』のコンテンツに問題があったのではないかと推測を立てている。NMEによれば、『Ready or Not』は6月12日、あるステージを追加していたという。そのステージとは、ナイトクラブを舞台とするミッション。ナイトクラブはテロリストの攻撃を受けた後であり、大規模な銃乱射がおこなわれた形跡が見られ、マップには多くの遺体があったという。
NMEは、6月12日が実際に現実世界で起きたナイトクラブの銃乱射事件と同日であると指摘している。2016年6月12日、フロリダ・オーランドのゲイナイトクラブで銃乱射事件が発生。男が店内で自動小銃を乱射した後、立てこもった。事件発生から3時間後、SWATが突入し容疑者は射殺。容疑者を含む50名が死亡し、53名が負傷する事態となった。『Ready or Not』にナイトクラブのステージが追加されたのは、オーランド銃乱射事件からちょうど6年となる日だったという。
『Ready or Not』のSteamストアページ取り下げが単純にシステム上の問題なのか、それともコンテンツに問題があったためなのか、正確には分からない。ただし同作は、昨年にもゲーム内コンテンツが問題となった例がある。2021年12月、VOID Interactiveの開発者が今後『Ready or Not』に「学校での銃乱射事件」がコンテンツとして含まれる可能性があると言及。そののち、当時パブリッシング契約を結んでいたTeam 17との契約が解除されるとの一幕があった(関連記事)。VOID Interactiveは学校での銃乱射事件とパブリッシング解除の関連を公式に否定しつつ、「現実に銃乱射事件に遭遇した被害者の悲劇を、過小化することなく描くことで、被害者への敬意を払う役割を果たしたい」と伝えていた。 『Ready or Not』で取り扱われる事象のセンシティブさが浮き彫りとなった一件であった。
銃乱射事件に関連してSteamストアページが消失した事例としては、2018年にFPS『Active Shooter』がSteamから取り下げられたケースが存在する(関連記事)。同作は学校内で銃を乱射できるという内容から、広く批判を集めることに。ほどなくしてValveは、「開発者の素行不良」により同作をSteamから削除していた。いずれにしても、銃乱射事件をゲームで取り扱う際には慎重な判断が求められるようだ。
VOID Interactiveは『Ready or Not』のストアページが復旧し次第、続報を伝えるとしている。
【UPDATE 2022/06/18 13:38】
VOID Interactiveは6月18日13時ごろ、6月16日より『Ready or Not』のSteamストアページが取り下げられている件について声明を発表した。あわせて本文のタイトルを変更した。
VOID Interactiveによれば、直近のアップデートの一部として実装されたナイトクラブのマップにおいて、商標権侵害が認められたという。VOID Interactiveは商標権について重く受け止めており、問題となった素材を『Ready or Not』本編やソーシャルメディアなど、すべての発表物から取り除くことを決定したという。
『Ready or Not』はこれらの変更が完了次第、Steamストアページを復旧するとのこと。VOID Interactiveは今月公開した、ゲーム内のAIのアップデートを伝えるビデオについても一時的に非公開としており、一連の編集が完了次第復帰させると伝えている。
『Ready or Not』内に登場するナイトクラブは、「Prysm」という店名の設定であった。現実世界のシカゴにも同名のナイトクラブ店舗が存在しており、今回の一件に関与しているかもしれない。
【UPDATE 2022/06/20 10:50】
開発元VOID Interactiveは6月18日、本作ストアページの復活を告知した。