Activision Blizzard重役が「労働組合に入るなら慎重に考えろ」と従業員に通達。“労組潰し”であるとの批判受ける
ゲーム開発者Jessica Gonzalez氏は12月11日、Activision Blizzard重役からの労働組合加入に関する社内メールを公開した。同社は現在、セクハラ訴訟問題に端を発する告発や抗議運動に直面している。先ごろには、従業員たちによる労働組合結成の動きも活発化していた。
Activision Blizzardは、『Call of Duty』シリーズや『オーバーウォッチ』を手がける米国有数のゲーム企業。同社は今年7月に国家機関よりセクハラ問題で訴訟された。以降も元・現従業員による告発や抗議運動が相次ぎ、社内および株主はおろかコミュニティや業界企業からも批難の的となっている(関連記事)。そして12月4日には、同社参加スタジオであるRaven Softwareがレイオフを実施。同スタジオ従業員などからレイオフの不当な側面が伝えられ、従業員たちによる労働組合結成の機運が高まる結果となった(Kotaku)。
そして今回、Activision Blizzard重役から従業員向けに、組合加入に関する内部メールが送られたようだ。メールを公開したのは、同社にて抗議活動の中心メンバーとなっていた元従業員のJessica Gonzalez氏。同氏は先ごろ、現地時間12月10日づけでActivision Blizzardを辞職する旨を明らかにしていた(関連記事)。つまり、奇しくも辞職最後の日に今回のメールを受け取ったことになる。メールの内容について、同氏は「組合潰し」であるとの見解を示している。
公開されたメールは、文章は同社CAO(最高総務責任者)であるBrian Bulatao氏の名で綴られている。まず同氏は、Activision BlizzardはNLRA(米国の全国労働関係法)に基づき、組合加入について従業員の権利を尊重すると強調して伝えている。一方で、同社従業員たちと連携を取るCWA(アメリカ通信労働組合)についても言及。「CWAと契約する前に、どのような結果となるかよく考えてほしい」と伝えている。理由としては、CWAと契約すれば、会社との交渉の権利をすべて同組織に譲渡することになると指摘。外部の組合組織を抜きにして従業員と会社で協力した方が、早急によい結果が生まれるとの見解を示している。
CWAについては、前述のGonzalez氏と共に抗議主要メンバーを務めた従業員Valentine Powell氏が言及している。同氏によれば、従業員たちは先ごろCWAが推進するIT業界向け組合化推進プロジェクト「CODE-CWA」との連携を進めていたという。今回のBulatao氏によるメールは、そうした動きを受けて送られたものだろう。少なくとも、Activision Blizzard上層部が労組結成の動きを脅威と見ているのかもしれない。
Activision Blizzardでは、現在でも従業員によるストライキなどの抗議運動が活発化の一途を辿っている。本稿で紹介したような内部メールや重役陣の動きも、すぐさま従業員から外部に明かされるのが常態化している。四面楚歌の状態に、同社上層部は今後どのような動きを見せるだろうか。