『ポケモンユナイト』でスコアが表示されないのは“キレ落ち”を防ぐためだった。同作開発者が語る
MOBA系ゲーム『ポケモンユナイト』のスコア告知方法について、同作プロデューサーの星野正昭氏が語っている。一部のプレイヤーに物議を醸した仕様は、プレイヤーに試合を最後まで諦めない姿勢を促すためのシステムだったようだ。
『ポケモンユナイト』は、5対5のアリーナ対戦アクションゲーム。いわゆるMOBA系に属する本作は、『League of Legends』などの同ジャンル作品と同じく、チームの連携とキャラの特性および戦局に合わせた行動が勝利の要だ。MOBA系の作品では「相手チーム本拠地の破壊」をもって勝利とする場合が多い。一方で、『ポケモンユナイト』は相手チームのゴールに多くポイントを決めた方が勝利となる、やや珍しいシステムを採用している。
そして、ポイント制にもかかわらず試合中に具体的なスコアが表示されないのも本作の特徴だ。試合中にプレイヤーが得られるのは「リードしてるぞ!」「苦しい戦いだ……!」など、おおよその趨勢を知らせるアナウンスのみ。具体的なスコアの数値については、試合が終わり勝敗が決するまでは表示されない。スコアが気になるプレイヤーにとっては歯がゆいこの仕様について、『ポケモンユナイト』プロデューサーの星野正昭氏が、海外メディアKotakuに向けて語っている。
「10分間の試合時間のなかには逆転のチャンスもありますから、プレイヤーには試合終了まで諦めずにプレイしてほしいと思っています」と星野氏は伝えた。つまり、スコアが表示されないのは、プレイヤーが失意に飲まれて試合を投げ出す、いわゆる“キレ落ち”を緩和するためだったのだ。事実、『ポケモンユナイト』は大逆転のチャンスをシステムに盛り込んでいる。試合終盤にフィールド上に登場するポケモンであるサンダーは、倒したチームに大きなアドバンテージを与える。さらに試合時間残り2分からは、ラストスパートとしてゴール得点数が2倍になる。かなり不利な試合運びでも、サンダーさえ倒せば大量得点のチャンスが手に入り、大逆転勝利に繋がるケースも珍しくない。
ほかに試合放棄を防ぐシステムとして、本作にはプレイヤーの素行を数値化するシステムである「フェアプレイポイント」が存在している。試合放棄などの行為はポイントの減算を招き、一定ポイントまで減算されたプレイヤーにはランクマッチ参加禁止などのペナルティが与えられる(関連記事)。また、試合を正当にやめる方法としては「降参」システムが存在する。プレイヤーが味方に対して降参を提案し、一定数が賛成するとその時点でマッチ終了し敗北となる仕組みだ。降参についてはよほどの大差でない限り発生しづらい。スコア告知方法と逆転可能なシステム、そしてフェアプレイポイントによる抑止によって『ポケモンユナイト』は試合放棄を防いでいるのだ。
今回の星野氏の言葉では、最後まで試合を諦めない姿勢を促す工夫が示された。ほかのMOBA系作品にくらべて敷居を下げ、低年齢層や比較的練度の低いプレイヤーにも門戸を開く本作にとって、最後まで諦めなくていいシステム作りは優先課題だと見られる。スコア告知方法についても、数字を仔細確認したいプレイヤーにとってはやや歯がゆい点ではあるものの、ゲーム体験全体の向上に一役買っているのだろう。
『ポケモンユナイト』はNintendo Switchおよびモバイル(iOS/Android)向けに配信中。現在同作ではハロウィンイベントを開催中だ。ゲーム内アイテム「カボチャ」を集めて、新ポケモン「ヨクバリス」ユナイトライセンスやアイテムと交換できる。