『Apex Legends』海外一部コミュニティで「品質向上シーズン」案が議論を呼ぶ。新コンテンツではなくバグ修正やバランス調整を求める声

新シーズン「エマージェンス」が開幕したばかりの『Apex Legends』。『Apex Legends』コミュニティの一部から、今後のアップデート方針を問う動きが起こっているようだ。追求すべきはゲームの基礎か、それとも新コンテンツ追加か。

新シーズン「エマージェンス」が開幕したばかりの『Apex Legends』。現在、同作コミュニティの一部から、今後のアップデート方針を問う動きが起こっているようだ。追求すべきはゲームの基礎か、それとも新コンテンツ追加か。難しい命題が議論を呼んでいる。
 

 
Respawn Entertainmentは8月4日、『Apex Legends』にて新シーズン「エマージェンス」を開幕した(関連記事)。シーズン開幕にあたり、同作には新レジェンドであるシアや新武器ランページLMG、マップの一部改装やアリーナにおけるランクマッチモードの実装など、複数の新コンテンツが追加されている。もちろん、作品ファンにとって新コンテンツの実装は喜ばしいことではある。しかし一方で「次期シーズンは新コンテンツではなく別のところに注力してほしい」という意見が提示され、一部コミュニティで議論が過熱している。

話題の発端となったのは、とあるユーザーのTwitter上における投稿だと見られる。ユーザーkherzii氏は8月9日、「『Apex Legends』次期シーズンでは、新コンテンツ追加よりもバグ修正や武器、レジェンド間のバランス調整に注力してほしい」という旨のツイートを投稿。このツイート自体も少なくない反応を呼び、リプライ欄では熱心な議論が交わされている。やがてこのツイートは海外掲示板Redditの『Apex Legends』コミュニティ、/r/apexlegendsに紹介され、議論を呼ぶこととなった。
 

https://twitter.com/Kherzii/status/1424684046865600513

 
上記ツイートを紹介したReddit上のスレッドは、本稿執筆時点で2万1000のUpvote(高評価)を超えるという大きな反響を呼んでいる。この注目の背景には、多くのプレイヤーが抱える『Apex Legends』に対する多様な不満点があったと思われる。例としては、それぞれ性能の違うプレイアブルキャラクター、レジェンドのバランス調整の問題が挙げられるだろう。最近では新レジェンドであるシアが強すぎるとする意見がコミュニティ上で散見され、開発者がファンとの質疑応答スレッドにて早期の調整予定を知らせる一幕もあった(関連記事)。シアに限らず、特定のレジェンドが「弱すぎる」または「強すぎる」という議論は、つねにコミュニティのなかに存在する関心事となっている。

そして、同作はゲーム内に存在するバグについても多くのユーザーから指摘や批判を受けている。よく知られているものとしては、さまざまな状況で足音などの音声が消失する「オーディオバグ(音バグ)」が存在。こちらは開発側も認識しており、修正を予定している(関連記事)。ほかにも、特定条件をクリアすることで入手できる勲章である「バッジ」が、条件をクリアしても入手できないなどのバグが報告されている。

また、サーバーの安定性もプレイヤーの懸念事項のひとつだ。直近では8月9日に欧米圏にて、8月10日には国内での大規模サーバー障害が起こった様子が見られる。先月7月4日には『Apex Legends』そのものがハッキング被害を受けるなどの出来事もあった(関連記事)。本作は多数プレイヤーが集う大規模ゲームであり、システムの健全性を保つのは一筋縄にはいかないとはいえ、不安をもつプレイヤーも少なくないだろう。
 

 
前述のRedditスレッドに爆発的な反響が集まったのは、こうした多様な懸念のあらわれであると考えられる。スレッド内にはさまざまな意見が見られ、「新コンテンツより基礎に注力を」という意見に単純に賛同するものや、「意見には同意するものの、開発チームには修正や調整ではなく新コンテンツ制作に特化した人材も存在しており、全部門が基礎に注力するというのは現実的ではない」と指摘する意見もある。

そうした意見のほかに多く見られるのが、他ゲーム作品との比較だ。特に取り沙汰されているのが『レインボーシックス シージ』における施策「Operation Health」だ。これは新コンテンツの追加を控えて1シーズンを丸ごとゲームの品質向上に充てるという計画で、今回の提案の実施例ともいえる(関連記事)。しかし、少なくとも同スレッド内の一部ユーザーにはこの「Operation Health」は失敗だったと捉えられているようで、「品質向上シーズン」を実施しても良い結果が得られない可能性に懸念を示す意見が多数見られる。また、そこから派生して『レインボーシックス シージ』の現状についての激論にまで発展しているようだ。
 

 
大人数がプレイする長期運営型のゲームにおいては、バグ修正やサーバー保守だけでも多大な苦労となる。さらに、キャラクターのバランス調整は大規模なメタデータ分析や、プレイヤーそれぞれの好みや印象も絡む非常に難しい分野だ。新コンテンツ追加を控えてゲーム品質向上に注力しても、劇的に改善する保証はない。しかし、ゲームを安心してプレイできるよう、プレイヤーたちが基礎部分の改善を求める感情もあって然るべきものだ。

現時点では、一連の意見についてRespawn Entertainmentからの公式な見解は示されていない。しかし、コミュニティの意見に反応することも多い同スタジオが、大きな話題となった「品質向上シーズン」要望に何らかの答えを返す可能性はありそうだ。

Sayoko Narita
Sayoko Narita

貪欲な雑食ゲーマーです。物語性の強いゲームを与えると喜びますが、シューターとハクスラも反復横とびしています。

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