『FF14』プレイヤー殺到のため、自動ログアウト機能の実装。こまめなログアウトの呼びかけに、光の戦士たちのモラルが問われる

『FINAL FANTASY XIV』にて、プレイヤー数急増に対処するための処理が追加されている。光の戦士たちのモラルが問われる。

スクウェア・エニックスは7月20日、『FINAL FANTASY XIV』(以下、『FF14』)のパッチ5.58を公開した。既存コンテンツの難易度緩和が中心の比較的小さなパッチだが、ここ1か月ほどでのプレイヤー数急増に対処するための処理が追加されている。追加された処理はサーバーの混雑を回避するためのもので、30分間操作のない状態が続いたキャラクターは自動的にログアウトされるというものだ。『FF14』は現在、海外を中心に異常なほどプレイヤー数を伸ばしており、多くのワールドでピークタイムを中心にログイン待ちが発生している。

パッチと同日にプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏は「プレイヤーの増加傾向および、それに伴うワールド内の混雑やその対応状況について」と題したコメントを掲載。特に北米および欧州におけるプレイヤー数は想定をはるかに超えて上昇していることを説明し、ログインや新規キャラクターの作成に困難が生じていることを謝罪した。現在の『FF14』の混雑状況はサーバー内の同時ログインキャラクター数の上限ギリギリの状態で、「誰かがログアウトしないと、他のプレイヤーがログインできない」とのこと。つまり、ゲーム内で長時間放置されているキャラクターがいると、ログイン待ちの列を解消する妨げとなってしまうのである。これふまえて吉田氏は掲載したコメント内で、「プレイが一段落した際には、ログインしたままの放置は避け、できるだけ小まめにログアウトしていただけますと大変助かります 」と呼びかけた。また、混雑を緩和するため自動ログアウト処理をおこなうことについて説明している。

操作がおこなわれない状態での30分経過による自動ログアウト処理は、拡張パッケージの発売直後など、アクティブプレイヤーが増加してサーバーの混雑が想定される時期に実施されている。直近では拡張パッケージ「漆黒のヴィランズ」の発売直後や、プレイヤーが密集する可能性があるコンテンツ実装時の一部エリアでこの処理が適用されてきた。今回は特に新たなコンテンツの追加がないタイミングでの実施のため、プレイヤー数の増加が尋常ではない勢いであることが改めて理解できよう。


30分も放置できないとなると、わずらわしさを感じるプレイヤーもいるだろうし、できることなら自動ログアウトを回避したいという方もいるはずだ。ご飯を食べてからプレイを再開したい。少しお風呂に入りたい。そんなちょっとした用事から帰ってきたときにはキャラクターはログアウトしており、画面にはオープニングムービーが流れている。自動ログアウト処理が適用されると、少しの離席にも面倒くささがついてまわる。この処理は混雑シーズンの風物詩とも言える措置で、それなりに長く光の戦士をやっていれば、回避する方法を知っている方もいるかもしれない。しかし、そうした方法を用いることでさらに『FF14』が窮屈になる可能性があるということは認識しておきたい。

拡張パッケージ「紅蓮のリベレーター」が発売された2017年6月にも、サーバーの混雑緩和のために自動ログアウト機能が実装された。しかし、特定の手段を用いてこの自動ログアウトを回避するプレイヤーが増加した結果、混雑状態の緩和には至らなかった。その対応として何がおこなわれたかというと、1日1回の定期一斉ログアウト処理の実施である。1日1回のタイミングで、コンテンツの攻略が佳境であろうと、めったに釣れないヌシが現れる時間であろうと、全員が問答無用で強制的にログアウトされる処理だ。事前に時間の告知はあるものの、30分放置による自動ログアウトと比較すると、はるかに厳しい処置である。「紅蓮のリベレーター」発売時の混雑は2017年6月28日から始まったこの処理によって徐々に改善していき、翌月7月10日にすべてのワールドにおいて定期一斉ログアウト対応は終了した。

「紅蓮のリベレーター」での定期一斉ログアウト対応は、プレイヤー数の増加があくまで一時的のものであることが明らかであった。拡張パッケージで新たに追加された大量のコンテンツを寝る間を惜しんで遊んでいたプレイヤーも、時間が経ち、ある程度コンテンツ攻略が落ち着けば、大半は普通の生活に戻っていく。だからこそ2週間弱で定期一斉ログアウト対応は終了できたと考えられるし、以降の混雑状況発生時も対応は自動ログアウト処理だけで済んだ。しかし、今回のプレイヤー増加の『FF14』にとって前代未聞のパターンである。海外のストリーマーが火付け役となった『FF14』の一大ブームはいまだ終わりが見えず、ストリーマーたち自身も『FF14』をはじめたばかりで、彼らの目の前には山ほどのコンテンツがあるからだ。

このブームを牽引している海外ストリーマー・Asmongold氏はパッチ2.X時代の高難易度レイド「大迷宮バハムート」に挑戦し、「下限アイテムレベル」「超える力なし」という当時の難易度をできる限り再現できる設定で攻略をおこなった。7月19日に「大迷宮バハムート:真成編」を踏破した際の配信は総視聴者数160万人を超え、ストリーマーと視聴者が一体となって『FF14』を楽しんでいた。


ひとつのレイドをクリアしたとはいえAsmongold氏がプレイしていないコンテンツはたっぷりあるし、戦闘コンテンツ以外にも視聴者とゴールドソーサーでミニゲームを楽しむなど、どんどん『FF14』にのめりこんでいっている。彼に限らず、海外の有名ストリーマーが『FF14』に熱中すればするほど、現在の『FF14』ブームは続いていくだろう。現状のアクティブプレイヤー数が落ち着くタイミングは拡張パッケージ発売時の混雑よりも読みづらく、拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」発売の11月までこの状況が継続する可能性すらある。

自動ログアウトを回避するプレイヤーの対策だった定期一斉ログアウト対応は、2017年の実施時は2週間弱で終了した。しかしこれは前述のとおり、拡張パッケージ発売による混雑緩和にかかった期間で、アクティブプレイヤー数の波が一時的なものであることはわかっていた。今回の混雑は先が読めず、場合によっては数か月続く可能性もある。自動ログアウト処理に加えて定期一斉ログアウト対応によるさらなる不便は味わいたくないし、新たに『FF14』の世界にやってきてくれた光の戦士に、快適なハイデリンライフを送ってほしくはないか。自動ログアウト処理回避の方法を知っていてもなるべく使わず、プレイしていないときはこまめにログアウトするよう心がけてほしい。

ここ1か月ほどで加速する混雑状況の緩和策として、プレイヤーの自動ログアウト処理対応が実装された『FF14』。この処理で混雑状況が緩和されれば良いが、効果が芳しくなければ2017年のように、定期一斉ログアウト対応に発展してしまう可能性もある。新たに『FF14』を楽しんでいるプレイヤーのためにも放置している時間はなるべく減らし、離席の際はこまめなログアウトを心がけたい。


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Aki Nogishi
Aki Nogishi

ポストアポカリプスとドット絵に心惹かれます。AUTOMATONではFF14をメインに担当します。

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