ストレスを与える作品は『フォートナイト』『CoD:MW』で、ストレスのない作品は『The Sims』など。ビーズソファメーカーが調査したゲームとストレスの関係性
ビーズソファメーカーのComfy Sacksは自社製品プロモーションの一環として、ゲーマーに関するある調査を発表した。その名も「もっともストレスを与えるゲーム ゲームが与えるストレスに対するゲーマーの知覚についての探査」。プレイヤーがゲーム中に感じてしまうイライラについて、さまざまな調査結果が発表されている。
調査は1007名を対象に行われた。回答者の属性としては、293名が「ときどきゲームをする」、356名が「ほとんど毎日ゲームをする」、358名が「毎日ゲームをする」と答えている。全体の58.4%が女性、41.3%が男性、1%未満がその他の性別と伝えられる。
まず注目したいのは「もっともストレスを与える作品」のランキングだ。1位の『Call of Duty: Modern Warfare』を筆頭に『Call of Duty: Black Ops 4』、『フォートナイト』とオンラインマルチプレイゲームがずらりと並んでいる。ほか、『World of Warcraft』や『ファイナルファンタジーXIV』といったMMORPGがランクイン。『Mortal Kombat』シリーズや『ストリートファイター』シリーズ などの格闘ゲームも肩を並べた。
「もっともストレスを感じるジャンル」においては1位がFPS、2位がMOBA、3位がサバイバルゲームと続く。ほか格闘ゲームとMMORPGもランクインしており、「もっともストレスを与える作品」の順位をほぼなぞる結果といえるだろう。おおむね、対人戦で腕前を競うゲームがストレスを与えやすいといえそうだ。こうして見ると、「もっともストレスを与える作品」に1人用ゲームとしてランキング入りした『バイオハザード2(※RE:2か?)』は異色といえるかもしれない。タイラントが与える恐怖はオンラインの殺伐にも匹敵するストレスなのだろう。
続く調査では「ゲームでストレスを感じる要素」という質問が出ており、それに対して「コンテンツの難しさ」そして「オンラインのプレイヤー」が回答の大多数を占めている。切羽詰まったゲーマーの生態がよりよくわかるのが、「ゲームでストレスを感じた結果」についてのグラフだ。約半数ものプレイヤーが「思わずほかのプレイヤーや友人にどなってしまう」と告白。ほか「コントローラーを壊す」「壁ドン」「絶交」といった破滅的行為が並ぶ。
なお男性は女性の約2倍コントローラーを破壊する傾向があるという。怒りのあまりクラッシャーと化す気持ちは理解できるが、かつてそれで実害を被った有名配信者もいるため程々にしたいところだ(関連記事)。一方で、女性が「特定の人に対してどなってしまう」割合は男性のそれを13%上回るという。そして全体の79.8%のゲーマーが、「ストレスで行動した結果を後悔する」とのこと。
では逆に「もっともストレスを感じないゲーム」は何か。上記のランキングでは1位に『The Sims』が君臨。続いて『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『マインクラフト』といったオープンワールドゲームが浮上している。広大なマップを自由に旅する経験はリラクゼーションをもたらすのか、前述2作と比べてヘビーな作風の『The Elder Scrolls V: Skyrim』も4位に並んでいる。同時に「ストレスを与える作品」でもランクインした『Madden NFL 20』がこちらでも5位に並ぶのは興味深いポイントだ。ほか『ポケットモンスター』シリーズからは3作品がランキング入りを果たしている。「ストレスを感じないジャンル」については「パズル」「RPG」「シミュレーション」などが並び、じっくりひとりで遊べるジャンルの人気がうかがえる。
ちなみにこの調査、何ゆえビーズソファメーカーが実施したのか。その答えは続く調査で示されている。Comfy Sacksは「ゲームから感じるストレスはコンテンツだけでなく、遊んでいるときの快適性にも左右される」と説明。「きわめて快適な環境で遊んでいるプレイヤーは、ストレスを感じる割合が2分の1になる」との結果を示し、インテリアの快適性とゲーミングのストレスの相関関係を説明。また快適なインテリアとして「ゲーミングチェア」に続き「ビーズソファ」が支持されているアンケート結果を示し、自社プロダクトのプロモーションにつなげているというわけだ。
Comfy Sacksはその目的上「いかにストレスのないゲームプレイを実現するか」という結論に着地しようとしているが、ストレスはゲームにとって不可欠の要素でもある。そうでなければ「もっともムカつくゲーム」とされる『Call of Duty: Modern Warfare』が発売から3日間で全世界売り上げ6億ドルを突破するわけがない。
ともにゲームデザイナーであるケイティ・サレンとエリック・ジマーマンが著した書籍「ルールズ・オブ・プレイ ――ゲームデザインの基礎 《ユニット3/4 遊び》」では次のように記されている。「ゲームの可能性の空間は、(中略)プレイヤーの感情と欲求の感覚が、巧みな操作と抑圧、からかいとそそのかし、不満と報酬とを味わう空間なのだ」。抑圧や不満を感じさせられるからこそ、それを乗り越えた成功の喜びが身をもって味わえる。つまり、名作はときに極上のストレスによってこそ生み出されるものなのだ。
今回の調査はターゲットが約1000人と少なく、やや信頼性に欠ける点は否めない。また最新作が反映されていない。とはいえプレイヤーが普段、何にいらだたされながらも作品に没頭しているのか、ゲーミングライフの一面が垣間見える興味深い例として捉えられそうだ。ただでさえストレスが多い昨今、プレイ中のイライラと上手に付き合いながらゲームを楽しみたいものである。