死にゲーアクションRPG『トライブナイン』「30時間」特盛クローズドβテスト先行プレイ感想。「おい!トラナイしようぜ!」そう叫びたくなるエクストリームなゲーム

アカツキゲームスは、『トライブナイン(TRIBE NINE)』のクローズドβテスト、通称「死遊テスト」を開催した。の感想をお伝えしたい。ちなみにクローズドβテストを一通り遊んだ結果、30時間かかった。えげつないボリュームである。

アカツキゲームスは、8月9日から15日にかけて、死にゲー×アクションRPGゲーム『トライブナイン(TRIBE NINE)』のクローズドβテスト、通称「死遊テスト」を開催した。筆者は幸運にも、Steam上で開催された『トライブナイン』クローズドβテスト、通称「死遊テスト」に参加させていただく機会を得た。ちなみに筆者は『トライブナイン』を立ち上げ時から追いかけ続け、ゲームを楽しみにしてきた人間のひとり。もともとファンであったという属性を踏まえ、その感想をお伝えしたい。ちなみにクローズドβテストを一通り遊んだ結果、30時間かかった。えげつないボリュームである。

まずはゲーム概要を説明しよう。『トライブナイン』は死にゲーアクションゲームだ。対応プラットフォームはPC(Steam)/iOS/Android。基本無料プレイでゲーム内課金あり。世界同時配信を目指しているという。


本作は『ダンガンロンパ』シリーズを手がけた小高和剛氏率いるトゥーキョーゲームスとアカツキゲームスの共同プロジェクトで、小高和剛氏は世界観原案を担当している。その他にも音楽は『ダンガンロンパ』シリーズの楽曲を手がけた高田雅史氏、『スプラトゥーン』シリーズなどで作曲を担当した永松亮氏、キャラクターデザインにはトゥーキョーゲームス所属のクリエイター、小松崎類氏、しまどりる氏が担当している。

今回試遊できたのは、物語のプロローグとなる「0章」、そして冒険の始まりとなる「1章」だ。0章及び1章のストーリー、キャラクターには少し触れているが、初プレイに支障が出るような描写はない。……筆者的には。プレイを検討されている方も本稿を読んで、ワクワクと想像を膨らませながら配信開始日まで待機していただきたい。

基礎となる世界観

まずは世界観をかいつまんで説明しよう。舞台となるのは20XX年のネオトーキョー国。2021年1月に放送していたアニメ『トライブナイン』の時間軸から2年後の世界となる。ネオトーキョー国では「XB(エクストリーム・ベースボール)」という野球に似た決闘方法が、司法に代わり国の根幹を担っているという。若者たちはXBに熱狂。仲間内でトライブと呼ばれるチームを組み、各シティで活動をしていた。

そんなエクストリームながらも平和な日常が続いていたある日、突如「ゼロ」と呼ばれる謎の人物が空に浮かぶ要塞「24シティ」と私設部隊を率いて襲来。ネオトーキョーを制圧。
そして「XB」の代わりに「XG(エクストリーム・ゲーム)」というデスゲームを施行し、ネオトーキョーの統治を開始した。


主人公となるXBプレイヤーの青年、「黒中 曜」は、とある事情があり記憶を失いながらも、その状況を打破するために立ち上がる。奪われたXBを取り戻すため、奪われてしまった思い出を取り戻すため、仲間と共に戦いに身を投じる。

──というのが、このゲームの基本的な世界観およびストーリーの触りとなる部分である。事前情報もほどほどに、さっそくゲーム内容を紹介していこうと思う。

全体の流れ

まずゲーム的な手触り、探索や戦闘の要素を紹介していこうと思う。本作『トライブナイン』は戦闘に重きを置いているが、それ以外の「ストーリー」や「探索」、「キャラクター育成」のボリュームもすごい。ではどうすごいのか。まとめて説明すると分かりにくくなってしまうので、それぞれの要素を分けて紹介をしていきたいと思う。

まず、このゲームは全体の流れを説明すると、以下のとおりとなる:

ストーリーで次何をするのかを提示される

パズルやギミックがあるマップを進み、道中にいるエネミーとエンカウントしてバトル

エネミーに阻まれ目的地に到着できなければ、レベリングをしたり装備、スキル振りを見直す
目的地に到着できればストーリーが進み、次の目的地が示され、そこに向かう。

と、いった流れでゲームが進んでいく。下地に冒険の動機となる「ストーリー」があり、その上に舞台となるシティの探索。そしてメインとなる戦闘がさらに乗っかっている形だ。

とても淡白な紹介をしたが、肉の詰まったキャラクター同士の会話劇が随所に挟まれ、退屈はしない。
マップのそこらかしこに点在する宝箱やギミック、クリアすると素材やガチャに使う石を得られるサブクエストなどもあり、少し面倒だと感じる部分もあるが探索をして損することはまずない印象だ。

そして、マップ探索や特定のお題を達成すると、第二スキルやレベル上限が解放されるようになっている。その他にも探索では素材、ストーリーを優位に進めるアイテムなどが手に入るため、しっかりやっておかないと困ったことになる。急がば回れ。本筋を効率よく進めるには、本筋から少しそれて違う要素に触れてみることも大事ということだ。


そうしてストーリーを進めていくと、各章のラストでは事前情報で触れた「XB」をプレイすることになる。

野球x学級裁判なXB

XBは通常の戦闘とは違う、野球によく似たシステムで進行する。相手の主張と自分たちの主張をぶつけ合い、どちらの主張が正しいのか、というのを戦いで決めるゲーム内ゲームだ。XBは現実世界の野球によく似た形で進行していく。というか相手を殴ったり蹴ったりする必要があるという違いがあるだけで、かなり野球だ。


互いの主張をぶつけ合うということで、議論のような形でゲームが進行していく。ようするに『ダンガンロンパ』でいう、学級裁判チームにあたるわけだ。この議論もといXBで勝つためには、相手の主張を打ち崩しそうな言葉を選ぶ必要がある。相手の言葉の急所がどこなのか探り、理論武装の甘い箇所に投げ込む、打ち込むといったことが必要となってくる。

相手の反応を見ながらどういうコースの球を投げるか考え、その選択肢を間違えれば敗北する可能性もある。敗北が意味することはつまり、ネオトーキョーの腐敗と、主人公らの死だ。自分たちの全身全霊をかけたXBによる対決。ストーリーの締めに相応しい、手に汗を握り、緊張がもっとも高まる瞬間だと言えるだろう。

ストーリーの最終局面でゲーム性が変わるのは、ストーリーに重きを置く『トライブナイン』独自の要素だ。多少ダレることは否定しないが、スタイリッシュさと濃密な会話劇を両立させる表現をしていて、とても満足度が高い。

引き込まれるが語れない、本記事を悩ませるストーリー

次に紹介するのは、このゲームで触れなくてはならない要素、ストーリーについてだ。
メインストーリーは読み物に近い作りとなっている。ADVやノベルゲームのようにキャラクターの立ち絵が動作を行いながらセリフを話し、それを聞く形式だ。

主人公の目線となって物語を体感するため、主人公の独白などはあるが地の文などがあるわけではない。キャラクター達のテンポの良い会話、セリフがベースとなって話が展開していく。メインストーリーはフルボイスなので、キャラクターの動作、声の演技も相まって聞いているだけで楽しい。起用された声優らも、名前を聞けばピンとくるほど有名な人々が多く、大変豪華だ。

シナリオについては小高和剛氏が携わっているということもあってか、こだわりを持って制作されており、とても上手く作られていて骨太だ。かなりの分量があって、シナリオの読み応えもすごい。

ただし、ストーリーを語るということは種明かしをするようなものなので、ここで語ることはできない。非常に悩ましいが仕方がない。詳しいことは製品版で知ってもらうとして、筆者が言えることはただ一つ。このゲームのシナリオは、非常に面白いということだけ。配信者のプレイ動画などもある。本作が気になって、かつネタバレなどを気にしない方は見てみるといいかもしれない。

ヒリつきが加速するスリル満載な戦闘

ゲームというのはシナリオも大切だが、メインとなる要素もそれと同じぐらい大切にしなければならない。シナリオ攻略と、『トライブナイン』のメインとなる要素である「死と生を往復するような、限界ギリギリの戦闘」。どちらも進んでやりたくなるほど面白い。

戦闘について、公式の謳い文句である「死にゲー」というアピール通りの内容だったと筆者は感じる。同レベル帯の敵でも、装備の見直しや構成が甘かったり戦闘中にミスを重ねれば、即座にやられてしまうこともある。時には自分たちよりも多くの敵の、四方八方から迫り来る攻撃を捌く必要もある。そんな敵たちの動きを読み、適度に回避を織り交ぜて攻撃し続けなければならない。いわゆるソウルライクレベルに難しいわけではないが、運営型ゲームの戦闘としてはスリルがある方だろう。


またしても淡白な紹介をしてしまったが、このゲームは殴る、スキルを出す、回避する、それを繰り返すだけの単純なゲームではない。戦闘に深みを出し、面白くする概念が存在する。特定の攻撃によって敵に付与できる状態異常「トリガー」と、それをきっかけに発生する仲間の連携技「チェインスキル」だ。

まず、敵に「トリガー」を付与することによって味方が呼応し、「チェインスキル」なる追撃が発生する。「チェインスキル」を敵に当てると、確定で「トリガー」を付与し、付与されたトリガーで、またチェインスキルが発動できる。
その名のとおり、「トリガー」が引き金となり、キャラクター達が連続して大技を放つことが可能となるのだ。

そして、チェインスキルを当てまくると、「テンション」がブチ上がるのだ。プレイヤーのテンションがとかではなく、ゲーム中の「テンション」と呼ばれるゲージが大幅に増加する。


テンションはチェインスキル以外でも、攻撃を当て続けても上がっていく。テンションを上げていけば、テンションカードと呼ばれる装備品の効果を得ることが可能だ。攻撃をうまく当て続ければテンションカードによってステータスが向上していく。しかし敵の攻撃に当たればテンションが下がって弱体化。分かりやすく嚙み砕かれていながらも、1歩間違えれば即座にピンチとなる危機管理が必須の駆け引きは、初心者の参入のしやすさ、アクション上級者も楽しめる出来になっていると筆者は感じた。

しかし、戦闘に少し不満な点もあった。スキルや通常攻撃のターゲットが、狙っていた敵とは別の敵に吸われたり、一度倒れると起き攻めでなす術なくはめられ死亡したり、味方が攻撃を避けず死ぬ、一部キャラが、溜めが必要なスキルを多用し攻撃に当たりまくるといった、少しストレスの溜まる場面も存在した。気を張り続けなければ即座にゲームオーバーとなる高難易度というのが持ち味のゲームなので、どこまでが仕様かは分からないが、まだ調整の余地があると感じる要素も多かった。

不満点がありながらも、通常攻撃、回避、二つのスキルという、戦闘中にできることがシンプルながらも、敵との駆け引きがしっかりとできる。一気に敵を掃討できた時は気分爽快。それだけは確かである。

キャラカスタマイズ、成長要素

本作はキャラクターなどのカスタマイズがかなり自由にできる。

上記で軽く触れた「テンションカード」と呼ばれる装備品もそうだ。テンションフェーズごとに解放されていき、戦闘に影響を及ぼす。

エネミーの攻撃を自動で回避する効果のあるカード、操作キャラクターがジャスト回避をすると周囲の時間が遅くなるカード、パーティが3人、フルメンバーが揃っていると攻撃力、守備力に強力なバフを得られるが、その代わり1人でもノックアウトされれば重いデバフがかかるカードなど、種類は豊富にある。

これらを5枚組み合わせて、自分だけの戦略を組み立てるのもこのゲームの魅力だ。カードの種類もさまざまで、死遊テストを体験したプレイヤーごとに違った戦法が取られたと推測できる。筆者はボスに挑む際、「タンクの火力を底上げしてサブアタッカーとしつつ、ヒーラーとアタッカーを敵から守りながら殴り続ける」という戦法を取ったが、カード構成を変えれば同じキャラクター編成でも「タンクやアタッカーに敵のやり取りを任せながら、回復力とスキルクールタイム減少を積んだヒーラーで回復やバフを付与しまくる」ということが可能となる。


そして、キャラクターカスタマイズにおいてはふたつ要素がある。素材を消費してキャラクターの「ランク」を上げると手に入る「ポテンシャルポイント」というスキルポイントを割り振る方法と、「コンパチブル・モンスター」という装備を付け替える方法だ。

「ポテンシャルポイント」は、攻撃力など各種ステータスに割り振り可能だ。いつでも無料で振り直すことができる。そしてコンパチブル・モンスター、略してパチモンも重要である。
頭・身体・装備の三つの部位があり、それぞれを組み合わせてキャラクターの能力を強化できる。

テンションカード及び上記二つのキャラクターカスタム要素により、同じキャラクターでも千差万別の使い方が可能となる。回復要因のキャラでも、回復効果を強める、防御力やHP上限を増やしタンクとして運用する、あえて火力に振って回復しながら敵をボコボコにするなどといったことも可能で、できることが幅広い。

プレイヤーの遊び方に合わせてさまざまなパターンに変えることができる柔軟性の高さは、本作の魅力だろう。

「テンションMAXの際にステータスに補正がかかるカード構成にし、なるべくそれを維持できるようトリガー付与率を高めるカスタマイズをキャラクターにする」「パリィをすると火力が出せるカード構成と火力一点振りカスタマイズをして、とにかくパリィしまくって敵に何もさせず一方的に殴り続ける」「アルティメットを強化するカードやカスタムを積みまくり、攻撃を耐え忍びつつ高威力のアルティメットを用いて一気に敵の体力を削る」など、使用するキャラクターが同じでも、テンションカードやキャラクターカスタムで複数の戦略を立てることができる。製品版になってカードが増えれば、取れる戦略もどんどんと増えていく。今から期待大だ。

こういったゲームでお馴染みのガチャで排出されたキャラクターを重ねることで強くなるといった要素も存在する。

ガチャ

CBTでは、操作キャラクターと装備のガチャが混ざっているパターンであった。装備と操作キャラクターが同時に揃うという利点はあるのだが、どちらか一方だけ欲しい場合すり抜けると困る。欲しいキャラなどを狙っている場合、沼と化す危険性がある。このへんは製品版にならないとわからないが、欲しいキャラが出やすい仕組みであると良いなと願っている。

統括

筆者は0章と1章をクリアし終えるのに30時間かかった。素材を集めたり探索したりなど、ゆっくり進めていたというのはあるのだが、ここからさまざまな要素を回収するにはどれぐらいかかるのだろうか。この時点でボリュームはすさまじそうに感じた。

ストーリーや世界観は、『ダンガンロンパ』を彷彿とさせるシリアスさとジャンキーさ、コミカルとシリアスが複雑に、かつちょうど良い塩梅に混じり合っており、ファンとしてはたまらない出来だ。キャラクターの個性も爆発しており、記憶喪失の生真面目な青年、元気がよく少し天然な幼馴染、笑顔を絶やさないながらも腹の底の読めない青年、仁義と腕っぷしの強さを兼ね揃える兄に憧れを抱く少年、多くを語らない元傭兵、金銭第一な小物セレブなど、こうして端的に説明すればよく見る設定だ。


だが、会話や掛け合い、表情差分や戦闘中モーションのユニークさや、テンションカードのストーリーによる掘り下げによりかなり新鮮な味わいを感じる。身近さと目新しさを同時に感じることができた。そして、一人一人がバランスよくとても丁寧に描かれている印象もある。運営開始されればそれぞれのキャラの描写に差が出ることもあろうが、少なくとも現時点では、マイナー気味のキャラを好む傾向にある筆者としては本当にありがたい。全員のグッズをいっぱい出してほしい。

戦闘は適度なストレスによる溜めと、派手な演出や火力による解放のバランスがちょうどよい。キャラクターカスタマイズやカード構成の要素は作業になりがちな戦闘の味変が可能だ。

だがしかし、今回試遊ができたのは0章と1章。物語のほんの序盤でしかない。ここからもっと難しく、もっときつい「死にゲー」に進化していくのかもしれない。初心者もクリアできて、かつ猛者も満足できるようなゲームバランスというのは少し難しいかもしれない、だがクローズドβテストのバランス感は筆者にちょうどよかったこともあり、期待したいところだ。

XBの部分は独自性、シナリオの締めの空気感があって、緊張しながらもとても盛り上がった。絶望を覆すような熱すぎる展開に、手汗と興奮が止まらなかった。だが、通常の戦闘がスリル満点のアクションである分、提示された選択肢の中で正解を選び進行していくという「ADV」形式になるというのは少し毛色が変わりすぎかもしれない。

そしてXBはゲームシステムが変わり、全体的にテンポが悪く感じてしまうこと、何がダメで何が良いのか明確になっていない部分などがある。製品版で改善されるのを期待する。

総じて、さまざまな要素に細かい不満点はあるものの、筆者としては好きな要素がそれらを覆うほど多く、終始楽しい。製品版になればもっとたくさんプレイができるのだ。楽しみで楽しみで仕方がない。

『トライブナイン』はPC(Steam)/iOS/Android向けに配信予定。基本無料プレイで、世界同時配信を目指しているとのこと。『トライブナイン』の魅力に惹かれた方は、ぜひウィッシュリスト登録をしていただきたい。

Sen Ito
Sen Ito

シミュレーター系や作業系のゲームをしたり、絵を描いたり小説を書いたりなどしています。『トライブナイン』の辰沼龍斗がとにかく好きです

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