とあるモバイル向けゲーム、「無関係な『エルデンリング』の映像をそのまま広告に使っている」と指摘される。ほかにもどんどん出てくる疑惑の広告

『Flame of Valhalla』

中国の乐牛科技(Leniu Technology)が手がけるモバイル向けゲームについて、「無関係なゲームの映像を勝手に広告に利用している」とのユーザー指摘があがっている。『Flame of Valhalla』では、フロム・ソフトウェアの『エルデンリング』『ゼノブレイド』の映像・画像が使われているとされたほか、別タイトルでは『PSO2:NGS』『Grim Dawn』などの画像使用が指摘されている。

『Flame of Valhalla』は、中国の广州乐牛软件科技有限公司(Guangzhou Leniu Software Technology Co.,Ltd./以下、Leniu)が手がけるモバイル向けMMORPGだ。対応プラットフォームはiOS/Androidで、すでに海外向けには配信開始されているようである。北欧神話をベースにしたオープンワールド世界で、強大なボスを相手にプレイヤーと共闘したり、時に競い合ったりするゲームプレイが楽しめるとされる。

『Flame of Valhalla』


本作について8月19日、「無関係なはずの『エルデンリング』の映像を、広告に勝手に利用しているのではないか」との指摘がユーザーからなされている。RedditユーザーのKINGVIMTO氏が映像無断使用広告であるとして投稿したのは、YouTube Shortsで流れていたと思しき広告映像だ。

動画を確認してみると、『エルデンリング』の王都ローデイルであると一目でわかるロケーションなど、同作のプレイ映像が編集されている内容が確認できる。しかし、動画で広告されているのは無関係なはずの『Flame of Valhalla』グローバル版。たしかに、『Flame of Valhalla』の宣伝に『エルデンリング』の映像が無断利用されているように見える。


『Flame of Valhalla』についてはほかにも、『ゼノブレイド』の公式画像を加工して利用しているとの指摘も受けている。こちらは公式配布壁紙を流用し、ロゴや目玉の画像を合成したもの見られる。『ゼノブレイド』にせよ『エルデンリング』にせよこうした利用を権利元が許可するとは思えず、これら広告が実際に配信されたものであれば、盗用の可能性が濃厚だろう。

さらに、Leniuが手がける別作品『Divine W: Perfect Wonderland』についても、Google Playストアページにて「『PSO2:NGS』の画像を利用した広告が、Facebookにて配信されていた」とのユーザー報告が寄せられている。筆者が実際に本作Meta配信広告ライブラリを確認してみると、動画・画像盗用が疑われる広告が散見された。なお、広告主ページ管理団体についても、「Guangzhou Leniu Software Technology」と登録されている。

『Divine W: Perfect Wonderland』


たとえば、とある画像広告は『Grim Dawn』のスクリーンショットに『Divine W: Perfect Wonderland』のロゴを追加しただけに見える。部分的なアセットの切り抜き・流用も散見。『アナザーエデン 時空を超える猫』のキャラクター画像を切り抜き、刀を持たせただけに見える画像広告や、『Black Myth: Wukong』の主人公・天命人のキービジュアルをそのまま流用したと見られる画像広告も存在した。

『Divine W: Perfect Wonderland』広告

『アナザーエデン 時空を超える猫』公式投稿

『Divine W: Perfect Wonderland』広告

『Black Myth: Wukong』公式Xより


さらには、人気バンドであるリンキン・パークの楽曲「New Divide」を無許可で使用していると思われる動画広告も。また、ゲームプレイ動画なのにUIのミニマップが微動だにしなかったり、グラフィックの印象が『Divine W: Perfect Wonderland』と乖離していたりと、怪しげな動画広告が多数公開されている。もはやどれが本当のゲームプレイ画面かわからない有り様だ。タイトルロゴについてもNCSOFTによるMMORPG『リネージュW』と類似しているように見受けられる。

こうした広告が多数作られた経緯は不明なものの、各権利元から許諾を受けているとは考えづらく、『Flame of Valhalla』『Divine W: Perfect Wonderland』いずれの疑わしい広告についても盗用と見られる。

『Divine W: Perfect Wonderland』


なお、ゲーム広告における無関係な他作品アセットなどの盗用は過去にも例がある。『ドット勇者~三時のおやつと昼寝付きの冒険~』の場合には、『スーパーマリオUSA』『ショベルナイト』などのアセット盗用が指摘され謝罪に至るも、無関係なVTuberのファンアート盗用を指摘されふたたび謝罪するに至っている(関連記事)。

ほかにも、『スティールダイバー サブウォーズ』などの映像が『戦艦ファイナル~ステート.io』の広告に無断使用されたケースもある(関連記事)。コーエーテクモゲームズのゲームシリーズ『信長の野望』および『太閤立志伝』については、広告向けにアセットを盗用されたとして同社が中国大手ゲーム会社YOUZUを相手どる訴訟を提起するに至った(関連記事)。こうした問題の頻発を見るに、一部メーカーにて、こうした盗用がポピュラーな広告手法として横行していると考えられるだろう。