Epic GamesのCEO「タイトル独占販売はあまりうまくいかない」と明かす。でもゲーム無料配布はいいことずくめ


Epic GamesのCEOであるTim Sweeney氏は今週、海外メディア向け会見をおこなった。Tim氏はその中で、Epic Gamesストアにおけるゲームの無料配布は「魔法のようだ」とし、戦略が成功している旨を回答した。一方でEpic Gamesでのタイトル独占販売は、多額の資金を費やしたものの、うまくいかなかったと評している。海外メディアPC Gamerなどが報じている。

Epic Gamesストアでは、2018年からゲームなどの期間限定無料配布を実施している。たとえば現在は、8月23日午前0時まで『Death’s Gambit: Afterlife』および『World of Warships』のDLC「スターターパック: Albany」が配布中だ。過去には『ドキドキ文芸部プラス!』や『Ghostwire: Tokyo』、『デス・ストランディング』などが配布されたことがある。こうして配布されるコンテンツは無料配布期間中にライブラリに追加することで、配布期間終了後も保有しプレイ可能となる。


こうしたEpic Gamesの無料配布戦略については、2018年12月から2019年9月までの9か月の期間だけでも、1160万ドル(約17億円)以上が費やされているとされる。しかしながら、Tim氏はこの施策について、「非常に経済的(very economical)」なユーザー獲得プログラムであると認識しているようだ。

その理由として、FacebookやGoogleの広告に比べ安価にユーザーを獲得できることをあげている。具体的には、4分の1ほどの価格で済むという。加えてTim氏によれば、広告のためにではなく、開発者に対してお金を払うことができることも利点だという。開発元をサポートした上で、新規ユーザーを低コストで呼び込むこともできるとの見解だ。また、ゲームを無料配布すると開発元の別作品の売れ行きも伸びるのだそうだ。


またEpic Gamesストアにおけるユーザー獲得施策では、ほかにもタイトルの独占販売がある。しかしTim氏いわく、こちらの結果は芳しくない模様。同氏は「いくつかの独占販売は大成功した」としつつ、多くの独占販売契約については「いい投資ではなかった」と振り返っている。

Epic Gamesにおけるタイトル独占契約については、Epic Gamesから契約先メーカーに報酬が支払われているとされる(関連記事)。また2023年には、作品発売後の6か月間をEpic Gamesストアにて独占販売とすることにより、メーカー側が利益を100%受け取れる「EPICファーストランプログラム」などが発表された。

しかし、Tim氏が述べたように、Epic Gamesストアにおけるタイトル独占販売については苦戦がうかがえる報道もあった。たとえば、Epic Gamesとの係争のなかでAppleによって出された報告では、Epic Gamesの独占契約の赤字について指摘。2020年までに投資した独占契約金について、最低でも3億ドル(約44億円)の赤字が出ているのでは、と試算されている。

また、PC向けにはEpic Gamesが独占している『Alan Wake 2』の開発費が回収できていないといったニュースが報じられるなど、ゲームの無料配布ほどの効果をあげるには至っていないようだ(関連記事)。

『Alan Wake 2』


今回Epic GamesのCEOを務めるTim氏により、同社のユーザー獲得施策について明かされた。「独占販売がうまくいっていない」とのことで、今後のEpic Gamesストアにおける方針の転換もおこなわれるのか、動向にも注目したいところだ。