デベロッパーのLarian Studiosは8月7日、『バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3)』において、プレイヤーが選んだ選択肢の統計情報を公開した。その中ではプレイヤー総数のわずか34人しかたどり着かなかった最もレアなエンディングがあることも明かされた。さらに、このエンディングにはデータ上にしか存在しない隠されたバージョンが存在しているという。海外メディアGamesRadar+が伝えている。なお本稿にはエンディングの内容を含む本作のネタバレとなる要素が多分に含まれるため、留意されたい。
本作は、RPG『Baldur’s Gate』シリーズのナンバリング最新作だ。本作の舞台となるのはファンタジー世界「フォーゴトン・レルム」。プレイヤーはこの地を、仲間と共に自由度高く冒険することになる。ファンタジー・テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の第5版ルールをベースとしており、TRPGのメカニクスをゲームに落とし込んだいわゆるCRPGとして展開されるゲームプレイが特徴だ。
本作の開発元であるLarian Studiosは8月7日、発売一周年を記念したポストを投稿。この発表では、本作を遊んだプレイヤーが選んださまざまな選択について、それを選んだ人数や比率といった統計内容が明かされている。
投稿された内容は、物語における特定の選択肢や、選んだオリジンアバターの比率、そしてロマンスの結果やそのエピローグなど多種多様に渡る。本作は膨大な選択肢とそれによるストーリーの分岐を特徴とするRPG。そのすべてを網羅することはおおよそ不可能に思えるほどの膨大な分岐とそれに伴う結果が存在しているため、本作をプレイ済みのユーザーにとっても、今回の発表では見たことがない、存在すら知らなかったという選択肢が多いのではないだろうか。
その中には本作のエンディングに関する項目も存在。本作はマルチエンディングを採用しており、選んだ主人公の出自や選択肢によってエンディングも多種多様な分岐条件で変化する。その中におけるとあるエンディングは、発売から一年経ったのちもたった34人のプレイヤーしか到達していないという。本作における最もレアなエンディングといえるだろう。
大まかにその内容を伝えると、まずギスヤンキの戦士であるレイゼル(Lae’zel )をオリジンキャラクターとして主人公にしてプレイ。そして彼女の種族のギスヤンキの女王ヴラーキス(Vlaakith)に昇天(Ascension)を拒絶され、自殺を選ぶというエンディングとなる。
このエンディングに到達するには、主人公であるレイゼルが終盤の選択肢でギスヤンキの宿敵であるマインドフレイヤーの姿に変異している必要がある。そして物語を通してギスヤンキの女王であるヴラーキスに忠誠を誓い続け、彗星の王子オルフェウス(Orpheus)を殺す必要があるという。
統計では、オリジンキャラクターとしてそもそもレイゼル以外を主人公にするプレイヤーが多いというデータが示されている。また本作のストーリーの描写上、ヴラーキスとは敵対するプレイヤーが多いのだろう。長きにわたる冒険の最後の場面で自殺を選ぶというのもエンディングの選択肢としてはあまり選びたいものではない、という心理もあるかもしれない。そういった条件が重なっているのもあり、たどり着いたプレイヤーが最も少ないエンディングとなっているようだ。
さらにこのエンディングについては、データ上にのみ存在する、本来であれば見ることができない別バージョンがあるという。上記のYouTubeユーザーのSlimX氏がその別バージョンの動画を投稿している。内容としては、前述した最もレアなエンディングにおいて、マインドフレイヤーに変異せず、レイゼルの本来の姿のままプレイヤーが自害を選ぶというものとなっている。
同氏によると、通常のゲーム内でも主人公がマインドフレイヤーに変異しない状態で、このレアなエンディングに至るまでのエピローグに到達することは可能である。それにはストーリー上でオルフェウスを殺さないでいる必要がある。しかしオルフェウスをマインドフレイヤーに変異させずに生存させた場合、そもそも昇天を拒絶される一連の流れが発生しないため、自害を選ぶことはできないという。そしてオルフェウスをマインドフレイヤーに変異させて生き残らせた場合においても、最後に昇天を拒否されることあるものの、その後プレイヤーが自害をする前にオルフェウスが自害をしてしまう。そのため、“レイゼルの姿のままプレイヤーが自害を選ぶ“ということは通常のゲーム内ではできないようになっている。
しかしSlimX氏によると、通常アクセスできない本作のコードと思わしきものにある変更を加えることで、レイゼルの姿でこの自殺エンディングに到達することができるという。その場合は昇天を拒否されたのちに、マインドフレイヤーではなくレイゼルの姿で自害することになる。これは発売後一年間で34人しか到達していない最もレアなエンディングの、さらに別バージョンということになる。
前述した通り、このエンディングはゲーム内における通常の方法では見ることができないものとなっている。しかし本来想定されている状況とは異なる状態においても選択肢が存在し、そのまま進行することができるという点は興味深い。本作に用意されているという多数のエンディングや、物語の分岐の底知れなさを感じるエピソードともいえるだろう。もしかしたら、今回紹介したエンディングのほかにも、誰も存在に気づいていないエンディングが用意されているかもしれない。本作をプレイ済みのユーザーも、普段選ばない選択肢を選びつつ、別の結末を見届けるため、改めてプレイしてみるのもよいかもしれない。
『バルダーズ・ゲート3』はPC(Steam)および国内PS5向けに発売中だ。