『ドラゴンボール Sparking! ZERO』では、原作で強いキャラはとにかく強い。eスポーツ的“じゃない”からこそできる「ドラゴンボール」体験

バンダイナムコエンターテインメントは、『ドラゴンボール Sparking! ZERO』を2024年10月10日に発売する。「Sparking!」シリーズ久々の新作が出るということで、8月上旬にジョーシン日本橋店(大阪)で行われた体験会に潜入しプロデューサーの古谷純氏に話をうかがった。

バンダイナムコエンターテインメントは、『ドラゴンボール Sparking! ZERO』を2024年10月10日に発売する(Steam版は10月11日)。対応プラットフォームはPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)。『ドラゴンボール Sparking! ZERO』は、「Sparking!」シリーズ久々の新作となる。

「Sparking!」シリーズは三人称視点の3D対戦アクションゲームとなっており、シリーズキャラたちが3Dフィールドを飛び回りバトルを繰り広げる。3D空間でありながら対戦ゲームであり、キャラ数の多さや自由度の高いバトル、3Dでのリッチな演出など、「ドラゴンボール」ゲームの中でもシリーズとして根強い人気を誇る。17年の時を経てそんな「Sparking!」シリーズ久々の新作が出るということで、8月上旬にジョーシン日本橋店(大阪)で行われた体験会に潜入しプロデューサーの古谷純氏に話をうかがった。

──自己紹介をお願いします。これまでのキャリアについても軽くご紹介いただければ幸いです。

古谷純氏(以下、古谷氏):
『ドラゴンボール Sparking! ZERO』プロデューサーの古谷純と申します。これまでのキャリアとしては、他社さまのIP作品の制作アシスタントなどをやらせていただいていたり、『ドラゴンボール ファイターズ』の運営などに携わらせていただきました。


──『ドラゴンボール Sparking! ZERO』の発表、改めておめでとうございます。6月の発表、ユーザーの反応はいかがでしたか。

古谷氏:
お客様から大変温かい声をいただき、喜んでいただいているようで、本当に嬉しい限りです。新作を出すにあたっては長くシリーズとして期間が空いてしまったので、そのご期待に応えられるようにより一層頑張っていきたいなと気持ちを引き締めました。

──本作の開発テーマやモットーとなるワードのようなものはありますか。

古谷氏:
ふたつほどありまして、ひとつめが「なりきり体験」です。「Sparking!」シリーズは、キャラクターらしく遊ぶことをお客様に楽しんでいただいていると思っています。たとえば、「相手がベジータでギャリック砲を撃ってきたら、避けずにあえてかめはめ波で撃ち返す」といった、「ドラゴンボール」らしい演技のような遊びが、このシリーズを好きになっていただいたポイントであると開発側としても思っていまして。そういう体験を深めていただけるよう、大事に作っております。

もうひとつは、「正統進化」です。今作は17年ぶりのシリーズ新作であり、かつ「Sparking!」シリーズはもともと多くのお客様から愛されているということで、しっかりシリーズの正統進化、つまりこれこそが「Sparking!」だといっていただけるようなゲーム性や「なりきり体験」を意識して作らせていただいております。

──本作の開発は、過去シリーズと変わらずスパイク・チュンソフトが中心になっていると発表されております。今の開発チームの強みは何だと思いますか。

古谷氏:
『ドラゴンボール Sparking! ZERO』でご一緒させていただいている開発スタッフのみなさまからは、「ドラゴンボール」や「Sparking!」シリーズへの愛情を深く感じています。お客様が「ドラゴンボールならこういうことができると嬉しいよね」と感じるだろうということを、形にするのがとてもうまくて。環境や技術の進化にともなって、今だから実現できるようになったリアルタイムな表現をうまく具体化されているので、素晴らしいなと感じています。


──ハードウェアの進化によって今だからこそできる表現があり、過去作を超えられるようになったことも、『ドラゴンボール Sparking! ZERO』の開発のきっかけだそうですね。ハードウェアの進化によって表現できるようになったことを、具体的に教えてください。

古谷氏:
単なる技術で超えるのではなく、その技術をどう「ドラゴンボール」らしく活かすかを、我々としては大事にしています。もちろん、前作に比べると画面上にあるエフェクトの量であったり解像度が上がっていたりはします。ただ、それらをどう使うかが重要で。そういう表現が「ドラゴンボール」としてどう気持ちいいか、ですよね。

高速で移動するドラゴンダッシュアクションを繰り出して、その際に土埃が立ったり、岩がドカンと壊れたり。悟空は超パワーをもっているので、気を溜めるだけで草木が揺れたり。そういうところをリアルタイムに表現できるのは、今だからこそできるのだと思います。そういったものが「ドラゴンボール」らしい表現として、つまりキャラクターになりきる体験を深めていることに貢献しているのではないかなと。

──なるほど、ハードウェアの進化は「ドラゴンボール」体験を深めていると。そのほか過去シリーズでは表現が難しかったものの、本作で表現できるようになったことを教えてください。

古谷氏:
今作はUnreal Engine 5を採用しているので、破壊表現がより自然で、決められた壊れ方ではなく状況に応じて壊れるといった表現を作り込むことができています。またスパーキングモードでは、気を溜めきってさらに気を溜めると天気がゴゴゴと変わっていったりもします。ほかにもいろいろありますが、上のようなポイントが今作だからこそできることなのかなと思います。


──ところで、『ドラゴンボール Sparking! ZERO』の発表タイミングでは、「本作は『ドラゴンボール ファイターズ』のようなeスポーツゲームではない」とコメントされていました。本作はどのような立ち位置なのでしょうか。

古谷氏:
eスポーツゲームというと、キャラクターごとに公平性をもって、競技性の高いバトルを楽しむタイプの作品という認識です。一方で本作はあくまで「なりきり体験」にフォーカスしており、「ドラゴンボール」が少しでも好きならば必ず楽しんでもらえるようなゲームにしたいと思っています。なので、eスポーツ的というよりは「ドラゴンボール」らしい体験を尊重しております。

たとえば、ゴジータはめちゃくちゃ強いと認知されていると思いますが本作ゲーム内でもとても強いです。なかなか作中に苦戦を強いられやすいサタンなどは本作でもゲーム内でも同様に苦戦しやすいです。作中で強いキャラならば圧倒的に強い、そういったところを含めて「ドラゴンボール」らしい体験をこのゲームでは楽しんでほしいと考えております。なので、eスポーツ的でもなければ、パーティーゲーム的でもなく……しいていえば「ドラゴンボール」的とでもいいましょうか(笑)そういうところに帰結したいなと思っています。

ただ、DPといわれるコスト性を導入しているのでキャラの合計コストを決めることで全体の強さを統一していますし、公平なバトルは楽しんでいただける仕組みは作らせていただいております。

──対戦ゲームだけれど作中に苦戦を強いられやすいキャラは、強いキャラに勝ちづらいと。面白いですね。

古谷氏:
シンプルにいうと、そういうことになると思います。ただもちろんダメージが通らないなんてことはないですし、ゲームなので共通したアクションは全キャラ使えますし、うまくテクニックを駆使していただければ、キャラに関係なく強敵を倒していけるようにもなっています。それはそれでひとつの楽しみなのかなと思っています。そのキャラに愛情を注いで、そのキャラだから使いたいというところを楽しんでいただければと。


それとパーティーゲームではないですが、カジュアルなお客様が楽しめるようなシステムも用意しています。過去作にないものとしてはアシスト機能みたいなものが入っており、PS5でいうと□ボタンを連打していれば気持ちいいコンボが最後まで決まるようになっていたりだとか。得手不得手違う方でも一緒に遊べるような作りにはなっています。そういう意味では、パーティー感覚で遊んでも楽しめるかなとも思っています。

──eスポーツ的でも、パーティーゲーム的でもない、「ドラゴンボール」的、思想として納得できました。

ちなみに、「ドラゴンボール」はグローバルIPで、欧米で巨大なファンダムが存在します。開発する上ではこうした欧米ファンを意識したりしますか。

古谷氏:
どこかの特定の地域を意識するというのはなく、ワールドワイド全体で見させていただいております。ただ、ひとつ大きな変更はしていまして。

──変更?

古谷氏:
「Sparking!」シリーズは、これまで海外では『Dragon Ball Z: Budokai Tenkaichi』という名前で展開しておりました。今回時を超えて「Sparking!」という名前で統一させていただいたんです。

──存じ上げていて、気になる点でした。理由を教えてください。

古谷氏:
これは実はかなり悩み、深い葛藤がありまして……。『ドラゴンボールZ Sparking! METEOR』など過去作は日本と海外で発売時期が違っていたんですよ。そういう経緯もあり日本では「Sparking!」シリーズ、海外では「Budokai Tenkaichi」シリーズとして展開していました。ただ昨今では地域を超えてお客様の間でコミュニティができていて、情報交換したり仲良くなったりといったことが当たり前の時代になってきて。今作は世界同時で発売させていただくので、名前が違うよりも同じ名前で、共通言語で話をしていただけるかなと思った次第です。で、その上でなんの名前にするかとなった時に、「Sparking!」が原点の名前であると感じたので、「Sparking!」という名前に統一しました。

ただ「Budokai Tenkaichi」シリーズという名前に愛着をもって親しんでいただいている方々も大勢いらっしゃることは認識しています。なので、PVの動画の最後や演出に「Budokai Tenkaichi」シリーズという文言を入れています。このゲームは「Budokai Tenkaichi」シリーズの新作であるという共通認識をもっていただくことは意識してプロモーションはしています。

 


※ いずれもBANDAI NAMCO Europeから公開された英語版トレイラーのキャプチャ


──『ドラゴンボールZ Sparking! METEOR』は、日本でも評価は高いですが、欧米では「Best Dragon Ball simulator ever(最高のドラゴンボールシミュレーター)」といった表現をされることも多いです。こうした評価は認識されていますか。そしてこうした期待にどのように応えていきますか。

古谷氏:
そういった熱い声をいただいていることは我々も認識していますし、嬉しいとも思っています。一方でその期待に応えなければいけないとも思っています。「最高のドラゴンボールシミュレーター」という表現は、これまでお話した「なりきり体験」に近いところだと思いますし、前作ではそれができていたということでもあるかなと。先程話した「ギャリック砲を撃ってきたら、あえてかめはめ波で撃ち返す」といった暗黙のルールなどでも楽しまれていたことは同作を遊びこんだプレイヤーからもお聞きしています。

17年ぶりの新作となりますが、操作感はシリーズのものを踏襲しつつ過去作の良いところをしっかり再現させていただき、丁寧に作り込んでいます。そうしたところがファンのみなさまに受け入れていただく大事なポイントだという風に思っています。そこから表現の進化やより「ドラゴンボール」らしいアクションとしての新しいシステムであるリベンジカウンターや、超見極めアクションを入れたりしています。

それこそ、普通に避ければいいんですが、あえて弾いちゃうとか!そういう、一見すれば無駄にも見えるアクションをやることこそが、「ドラゴンボール」体験を楽しむということだと思っており、そうしたことを楽しんでプレイしていただくために、これまであったものに新しいものを加えて進化させてきました。そういった部分を楽しんでいただけるのではないかなと思っています。


──「Sparking!」の魅力は「なりきり体験」であり、その部分を本作の開発コンセプトに据えていることこそが、ある種のシリーズファンの期待へのアンサーとも言えそうですね。発売、楽しみにしています。

『ドラゴンボール Sparking! ZERO』は、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)向けに10月10日(Steam版は10月11日)発売予定で、現在予約受付中だ。
気になる方は公式サイトをチェックしよう。 公式サイトはこちら: https://dbsz.bn-ent.net/

※画面は開発中のものです。
©バードスタジオ/集英社・東映アニメーション
©Bandai Namco Entertainment Inc.

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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