World of Warships: Legends』(以下、WoWS: Legends)は、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中の基本プレイ無料海戦オンラインゲーム。本作では8月29日に大型アップデートが実施され、戦艦「武蔵」が実装された。武蔵といえばかの有名な「大和」の姉妹艦だ。PC向けの『World of Warships』およびモバイル向けの『World of Warships Blitz』には「プレミアム艦」として実装されたものの現在入手困難となっている、半ば“幻”的存在。大艦巨砲主義を体現する特殊艦である。

武蔵実装の節目に、筆者はWargamingから同艦などを体験できるテストプレイの機会をいただいた。とはいえ、筆者は本作初心者である。そこで、まずは通常アカウントで予習をして本作になじみ、その後テストで無事武蔵の魅力を味わうことを計画した。結論からいえば、初心者でもその手触りに心奪われるほど、とにかく武蔵はすごかった。というわけで、本作未経験者が瞬く間に本作にのめりこんだ経緯を、本稿でお伝えしたい。


『WoWS: Legends』は、プレイヤーが軍艦をあやつり、敵味方それぞれ最大9人のチームに分かれて戦うマルチプレイヤーオンラインゲームだ。最大18人が入り乱れ、艦隊戦をおこなうことができる。マッチルールとしては敵陣地の占領もしくは敵全滅を狙う「通常戦」や、敵艦撃沈や各所の陣地占領で必要なポイントを集める「制圧戦」がある。なお、筆者のプレイにおいては、武蔵などプレミアム艦について、いずれもAIと戦ういわば練習モードで感触を確かめている。


とりあえず現実のスペックからすごい「武蔵」

まず、今回のアップデートの目玉である武蔵について紹介しておきたい。大和型2番艦として建造された武蔵は歴史上、大和と並び、建造当初世界最大級の戦艦だ。口径46cmの巨大主砲が9門も搭載された、日本が世界に誇った大艦巨砲主義の極みである。主砲の諸元についてはさまざまなデータがあるものの、徹甲弾を放ち垂直に着弾すれば、30km離れたところから厚さ40cm前後の装甲板をも撃ち抜く威力をもっていたとされる(NavWeaps)。

その姿は本作内でも忠実に再現されており、巨大な艦体にふさわしい最強の艦砲を積んだ、ロマンあふれる戦艦である。たとえ艦艇に詳しくなくとも、その勇ましく重厚な姿を見ただけで圧倒され、あこがれを抱いてしまう戦艦だ。




武蔵目指し、初心者が『WoWS: Legends』を恐る恐るプレイ。すぐハマる

とはいえ、初心者の筆者にとって、いきなり高Tier(ランク)の武蔵に乗るのはハードルが高い気もした。艦艇のTierが高まれば、性能も基本的に向上。また、比較的練度の高いプレイヤーとマッチングする可能性が高まるからだ。そこで、“某擬人化艦戦シム”ファンの筆者はまず、初心者でも安心の対AIや低Tierでの戦闘で、いわゆる“推し艦”や比較的著名な艦艇たちに触れてみることにした。それからメインディッシュとして、武蔵の魅力をぞんぶんに味わおうという寸法だ。

手始めに、通常アカウントにて『WoWS: Legends』の世界に飛び込んだ。筆者としては、最初に選べる艦艇のなかでも、ほかの作品でも思い入れのある日本艦をどうしても使ってみたい。というわけで、ここで選ぶのはもちろん、日本艦の入り口となる巡洋艦の「筑摩」だ。

はじめまして、巡洋艦「筑摩」

巡洋艦は、基本的に安定した火力と機動力をもつバランスの取れた艦種である。それぞれに特化した戦艦や駆逐艦には一歩およばないものの、臨機応変に立ち回ることができる。なかでも筑摩は高速艦隊を編成する計画のもとでつくられた歴史があり、ゲーム内でも一定の機動性のある艦艇として実装されているようだ。実際に動かしてみると、左右にグイグイ舵をきってもすぐさま反応してくれる、レスポンスのいい艦艇という印象。ほかの艦と比較するのは後のこととなるが、初心者のメチャクチャな操舵にも素直にしたがってくれる、とてもいい子だと感じた。


筑摩は火力も申し分なく、ビギナーにも「敵艦を撃沈させる楽しさ」を存分に味わわせてくれる。とにかくこの『WoWS: Legends』というゲームの楽しさは、敵艦を撃沈させたときの爽快感にある。派手な水しぶきをあげて沈んでいく敵の姿をみたときの、気持ちよさといったら、思わずガッツポーズをしたくなるほどである。

ほかの艦艇によっては、魚雷や飛行機の操作など、並行して複数の攻撃動作をおこなわなければならないのだが、筑摩にはそれがない。そのため、とにかくガンガン主砲を撃って敵を攻撃することに集中できるのだ。また、人型のキャラクターなどを相手にする対戦シューターと比較すると、本作の“マト”は狙いやすい。このゲームの敵は艦艇であり、距離にもよるものの、狙うべき対象自体は大きいためだ。そしてマトの動きは、歩きまわる人間を狙うときよりはゆるやかだ。また、状況に応じて目標のロックオン機能も役立つ。そのため、初心者やシューターに不慣れでも、よく狙って撃てば砲弾を当てること自体は難しくなく、はじめたばかりのプレイヤーでも活躍するチャンスがある。操作方法もそれほど複雑ではないため、筆者のように「すばやく照準をさだめるのが苦手」なタイプでもじゅうぶんに楽しむことができた。


ピーキー駆逐艦「島風」


通常アカウントである程度経験を積んだのち、テストアカウントをお借りする機会をいただいた。まず操作するのは、駆逐艦の「島風」だ。島風は特殊艦とよばれる艦艇で、ゲーム内では特別なミッションをクリアすることで手に入れることができる。

駆逐艦は、小回りのきく性能をいかして味方のサポートをする艦種だ。といっても火力が低いというわけではなく、とりわけ日本の駆逐艦はすぐれた魚雷攻撃も持ち味としている。史実での島風は、撃沈された武蔵の乗組員たちを救援したというエピソードがあり、今回の主役である武蔵とも縁のある艦艇である。

島風の売りは、なんといっても魚雷攻撃の強力さだろう。魚雷の発射数の多さと、発射後の推進速度が高めなおかげで、これをよけるのは至難の業である。そのかわり射程は短めなので、かなり近づいてから撃たなければならない。一撃が非常に強力なタイプの、接近戦ファイターといえる。さいわい機動力と隠蔽力(敵からの発見のしづらさ)も高いので、相手にギリギリまで忍び寄り、魚雷を発射。反撃を受ける前に離脱するという忍者のような立ち回りで、敵をかく乱するのもよさそうだ。


筆者の“推し艦”「龍驤」


続いて筆者の個人的に思い入れのある艦艇として「龍驤」という空母に触れた。空母とは、艦体から飛行機をとばして攻撃や偵察をおこなう艦種である。龍驤は歴史上、さまざまな事情から、船体が完成したあとにツギハギのような工事がなされ、独特なシルエットをもつ艦艇となった。

なかでも特徴的なのは、あとから一段重ねてつくられた二階建ての格納庫である。そのせいで艦体じたいのバランスが非常に悪くなり、転覆の危機にあったり、海水面から上に出ている部分が非常に低く波しぶきが悩みのタネになったりと、現実での逸話にも事欠かない。しかし、クセのある子ほど可愛いと感じられるのもまた事実。筆者の大の“推し艦”である。


ゲーム内でも龍驤の喫水の高さは再現されており、後ろから見ることでその様子がより分かりやすくなっている。最後尾の部分など特に低く、波しぶきがかかるという話も納得である。また上に行くほど広がるような逆三角形のシルエットが、先述したバランスの悪さの原因となってしまっている。ただ、このなんともいえぬ姿が龍驤の魅力でもあるだろう。


『WoWS: Legends』では艦艇だけでなく、搭載された飛行機を操縦することもできる。空母を選んだ場合は、艦載機で敵に近づき、爆弾もしくは魚雷を投下するのが主な攻撃手段だ。初心者には当てるのが難しいと感じるが、そのぶん命中したときの喜びは大きい。なにか問題があるとすれば、それは飛行機を操縦しているあいだ筆者は龍驤の姿をいっさい見られないことぐらいか。とはいえ、攻撃をしては龍驤のもとへ戻る、という行動を繰り返すのも悪くはない。何度でも“推し艦”の姿を見たときの喜びが味わえるからだ。


ついにお出まし、戦艦「武蔵」


さて、これまで触れてきた艦艇たちのおかげで、だいぶ本作の戦いにも慣れることができた。というわけで、いよいよ大トリとなる「武蔵」に乗り込む覚悟を決めた。戦闘せずとも、ただ海に浮かんでいる姿を見るだけでわかる、圧倒的な重量とスケールの大きさだ。

戦艦は、強力な攻撃と厚い装甲を特徴とする艦種だ。射程も長いため、味方チームの攻撃のかなめとなる。今まで筆者が触れた巡洋艦や駆逐艦と比べると、やはり舵はききにくいと感じるが、欠点を帳消しにしそうなほどの火力と装甲の頑丈さである。魚雷には弱いため過信は禁物だが、適切な角度をつけてやれば多少の敵の攻撃ならものともせず、そのままこちらからの砲撃を続けることができる。

主砲を撃ったときの音の迫力も尋常ではない。ビリビリとしびれるような振動や、音そのものがもつ揺れの大きさが伝わってくるようだ。巨大な主砲はそれだけ旋回させるのにも時間がかかるため、よく敵を見定めてからドカンと撃ち込んでやろう。一度でごっそりと敵の体力が減るのをみたら、筆者のような初心者でも病みつきになってしまう。

なお、PC向けの『World of Warships』およびモバイル向けの『World of Warships Blitz』における展開と同じく、『WoWS: Legends』においても武蔵の入手期間は限られているとのこと。乗りたい人は今すぐ『WoWS: Legends』をはじめるとよいだろう。武蔵は比較的Tierが高く、チーム戦力としても重要。まだまだ初心者の筆者は対人戦を控え、AI戦にて武蔵に触れていた。しかし、いつかは対人戦であの巨砲を鳴り響かせたい。武蔵は、そうした憧れを湧かせる艦だ。


艦の“気持ち”感じる、海戦の魅力

今まで筆者がプレイしてきた艦艇をあつかうゲームといえば、艦艇の擬人化作品が主であった。一方、『WoWS: Legends』は実際の艦艇をもとに3Dグラフィックで再現したゲームである。当然ながら、人型のキャラクターが描いてあるわけではない。しかし本作をプレイしていると、艦艇たちの個性が、不思議とある種の人格やキャラクターとして見えてくるのだ。たとえば最初に紹介した筑摩のことを、筆者は「初心者のメチャクチャな操舵にも素直にしたがってくれる、いい子」だと表現したが、筑摩のあの鉄でできた艦体がなんとなく呆れつつも付き合ってくれているような、そんな感じがしたのである。

「兵器相手になにを」と思われるかもしれないが、日本には「付喪神(つくもがみ)」という考えかたもある。どんな物にも使い続けていると魂が宿るという考えのことだが、愛用しつづけている物にはだんだんと表情が見えてくるような気がするものだ。もちろん物自体は変化しないのだから、これは見る側の人間の心理でしかない。しかし丁寧にあつかえば嬉しそう、粗雑に使えばかわいそうというように、まるで人に対して接するような愛着がわいてくるのだ。自分のプレイミスでお気に入りの艦艇を撃沈されてしまえば、なんだかその艦に申し訳ないとさえ思えてくる。出港するときは、また一緒にがんばろうという気持ちになる。「本当かな」と思った方は、ぜひ一度『WoWS: Legends』をプレイしてみてほしい。きっとあなたにもお気に入りの艦艇が見つかるはずだ。


ここまでさまざまな日本艦を使ってプレイしてきたが、なかには「名前だけは聞いたことがある」艦艇もあったのではないだろうか。日本艦の名前は国内にある山や川が由来のものも多く、もしかしたらあなたの地元でよく見る名前があるかもしれない。そう思うと、なんだか身近に感じられるというものだ。まずはそうした親近感のある艦艇を目指してはじめるのもいいだろう。性能面の傾向としては、日本艦は機動力があり、初心者でも扱いやすいものが多い印象だ。艦によって防御面はひかえめで少し打たれ弱いところもあるが、不利な状況を相棒の艦艇とともに切りぬけられたときこそ、きっと日本艦たちへの愛着も増しているはずだ。


びっくりコラボレーションなど、多彩な魅力も

なお、『WoWS: Legends』の艦の魅力は、リアルな再現ばかりではない。積極的に広いジャンルの作品とのコラボレーションを行っており、ユニークな艦艇や艦長が多く実装されている。過去には「トランスフォーマー」や「アズールレーン」、「蒼き鋼のアルペジオ」などとのコラボレーションを実施し、キャラクターをイメージした艦艇スキンや、キャラクター自身が提督として登場することもあった。そのほかに、史実として建造計画や設計図まではあったものの、おしくも実現には至らなかった艦艇なども存在する。そうした艦は史料をベースとしつつ、『WoWS: Legends』のオリジナリティが発揮された艦艇でもあるので、ぜひゲームをプレイしてその姿をチェックしていただきたい。

なお、上述の「トランスフォーマー」コラボについては、9月1日から第3回目の開催が発表されている。今回はキャラクターや迷彩などの新規追加はなく、第1、2回目コラボアイテムの再販が中心となる。一方で、過去に実装されたコラボ迷彩などが、新たに高Tier・レジェンダリー艦艇向けにも登場するようだ。また、今回も「トランスフォーマー」キャラたちがコラボ艦長として、さらにキャラをイメージした艦艇用コラボ迷彩としてもゲーム内に登場する。オートボット陣営からはバンブルビー、ホットロッド、ランブル、オプティマスプライム。ディセプティコン陣営からはメガトロン、グリムロック、サウンドウェーブ、スタースクリームが登場予定。コラボアイテムは、ゲーム内ストアでダブロンを使用し、購入することで入手が可能だ。


おわりに

ここまで、初心者である筆者が日本艦たちに乗って感じたそれぞれの魅力、そして『WoWS: Legends』の面白さをお届けしてきた。しかし、筆者が気づかなかった魅力を、大海へと出撃したあなたが発見することもあるだろう。あなただけの推し艦に出会うことだってあるはずだ。さまざまな期待を胸にいだきつつ、大海原に漕ぎ出そう。

『World of Warships: Legends』は、PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに配信中。「武蔵」はキャンペーン「武士道」の全マイルストーンをクリアすると、最終褒賞として入手が可能。最終褒賞の受領にはゲーム内通貨「ダブロン」での海事支援(バトルパス)入手が必要だ。ただし、海事支援を入手せずとも、キャンペーン進行でさまざまなミッションクリア報酬が受け取れるほか、ダブロンを消費して一気に武蔵をゲットすることも可能だ。キャンペーン開催期間は約5週間と限られているため、注意されたい。