SFソウルライク『Dolmen(ドルメン)』の恐怖体験がえげつない。死と隣合わせの未知探索

SFソウルライク『Dolmen(ドルメン)』の内容を紹介。『Dolmen(ドルメン)』を起動し待ち受けていたのは、想像をはるかに凌ぐ困難の連続と、過酷で恐ろしい世界だった。

Prime Matterは5月20日より『Dolmen(ドルメン)』を発売中だ。対応プラットフォームは、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)で、価格はPC(Steam)版が4100円、各コンソール版は4950円(税込)。PS5/PS4向けにはパッケージ版も発売される。

本作はSFとコズミックホラーをベースにした超高難易度のアクションRPGだ。では、何が超高難易度なのか。それは本作が難しくかつ、恐怖で精神的に追い詰められるゲームデザインであることに端している。では、どう怖いのか。どう難しいのか。そのへんが気になる人もいるだろう。本稿ではKoch Mediaより提供いただいたPC(Steam)版でのプレイ体験をもとに、王道でありながら惹きつけられるSF世界観をもつ、『Dolmen』の内容と魅力について紹介する。なお筆者は、『ダークソウル』シリーズを含む、ソウルライクゲームはある程度プレイしている。


作品概要

まずは作品概要について述べていこう。『Dolmen』の舞台は、宇宙飛行テクノロジーと環境適応を目的とした遺伝子操作を活用し、人類が複数の星系を植民地化したSF世界。主人公はドルメンと呼ばれる、謎のクリスタルのサンプルを回収する任務に就き、敵対生物がはびこる惑星レヴィオン・プライムを訪れる。プレイヤーは複数あるクラスからひとつを選び、近接武器と遠距離武器を巧みに使いわけながら、多彩な戦闘システムを駆使して強敵たちと戦う。険しいダンジョンをかいくぐりながら、手強い敵とバトル。死ぬと経験値を落としてしまう、といった特徴をもつソウルライクなゲームシステムとなっている。

作中で一貫して重要なキーワードとなるのは、別次元に干渉できるほどの強大な力をもつ謎のクリスタル、ドルメンだ。ドルメンは宇宙探索に革命をもたらすだけでなく、世界の在り方を変えてしまうほどの可能性を秘めているのだという。主人公はドルメンを巡る戦いに身を投じながら、惑星レヴィオン・プライムで起きた出来事とドルメンの謎へと迫っていくことになる。しかしプレイヤーを待ち受けていたのは、想像をはるかに凌ぐ困難の連続と、過酷で恐ろしい世界だった。


常にプレイヤーへと這い寄る、さまざまな恐怖

プレイヤーは敵対勢力を排除しながらマップを探索し、深部に待ち受けるボスを撃破して新たなエリアへと進んでいく。各エリアには細かくチェックポイントが設置されており、一度解放した地点は自由に行き来することが可能だ。ロケーションも複数あり、同じ惑星内でもエリアによってはまったく景観が異なる。共通しているのは、ホラー映画ならば襲われること間違いなしの“不気味なスポット”であるということだ。ロケーションが、静かにプレイヤーの恐怖を掻き立てる。

たとえば、何者かに襲撃され、戦闘の爪痕や血痕が至るところに残る基地。巨大な原生生物が徘徊し、謎の卵が植え付けられたおぞましい洞窟。死体の山が積まれ、人体実験とおぼしき研究データが残された研究所。紹介したのは探索できるエリアの一部にすぎないが、それ以外のエリアも不穏な雰囲気を醸しだしている。探索では薄暗いエリアを進むたびに、どこかから物音が響き渡ってくる。建物が軋む音の場合もあれば、謎の生物が発する音の場合もある。暗闇や物陰に潜んでいるかもしれない敵の存在に怯え、無音で背後から迫る敵に驚愕しながら進んでいくことになる。本作の探索パートでは、何が起こるかわからない、いつ襲われるかわからないという危機感と、死への恐怖が常に本能へと訴えかけてくるのだ。

当然ながら本作の恐ろしさは雰囲気だけに留まらない。対峙する敵は総じて一筋縄ではいかないことが多いのだ。最序盤で登場する原生生物でさえ、しっかりと動きを見極めた上で戦闘をおこなう必要がある。具体例としては、ガードできない攻撃を繰り出されたり、一切怯まないタイプの敵はもちろんのこと、離れた場所から縮地のようなダッシュ攻撃や、遠距離攻撃を吸収したり反射するバリアを生成する敵もいる。個人的にもっとも手強いと感じたのは、触手を回転させて射撃を無効化するシールドを展開しながら、近づけば今度は触手をムチのようにして素早い攻撃をおこなう敵だ。攻守ともに隙がなく、一部のボスよりも手強いと感じてしまうほどだ。

後述する属性という概念も相まって、初見の敵には苦労させられること必至だ。当然だがソウルライクな本作は死んでしまえば、戦闘で得た経験値と回収したドルメンの欠片を、その場にすべてロストしてチェックポイントからの再開となってしまう。回復アイテムも使用できる回数が限られており、道中での消費は極力避けたい。そういった理由から本作では探索中の雑魚戦であっても極力、一対一の状態をつくりだして戦うことが推奨される。しかし、そのような考えを安直だとあざ笑うかのように、マップ構造といやらしいエネミー配置がさらなる妨害をしてくるのだ。


触れると体力が減少するトラップゾーンや、動作が緩慢になる酸の沼、プレイヤーを発見すると接近して自爆してくるドローンといった搦め手も豊富に待ちかまえている。徘徊していた敵と遭遇し、戦闘していると壁を挟んだ向こう側から、物音や流れ弾に反応した敵がさらに襲撃してくる。砂の中に隠れていたり、敵の物音に気づいて身構えていると、突然背後で爆発音がして別の敵が乱入してくることもある。狭い場所で複数体に囲まれてしまえば、あっという間に倒されてしまうことだろう。

プレイヤーの恐怖心をさらに煽る要素として、遭遇する敵の多くはおぞましい姿をしたクリーチャーたちだ。生理的嫌悪感を抱いてしまう巨大な虫に、会話する余地もなく襲いかかる無骨な戦闘アンドロイド。人体実験の過程で生みだされた異形の人間や、高い技術力と軍事力をもった侵略者の異星人も登場する。視覚的にもいやらしい敵たちが、視界の外から猛突進してきたり、戦闘中に卵から孵化して襲いかかってきたりする。距離をとれば執拗に追いかけてくる敵と、離れた場所から攻撃を飛ばしてくる敵の同時攻撃に苦汁をなめさせられることもある。袋小路で退路を断つようにして敵が出現することも多く、挙句の果てには突然その場に現れる敵もいる。

孤立無援の状況下で一進一退の戦いを繰り返しながら、ひたすら神経を研ぎ澄ませて進む焦燥感は、これだけソウルライクゲームが出ている現在でも、なかなか得られないゲーム体験だ。プレイヤーの恐怖心を煽る要素がここまで徹底されていると、さながらパニックホラーを体験しているようである。惑星にたった一人で降り立ち、単独で任務をこなさなければならないということは、それだけ危険で恐ろしいのだという事実を、本作では嫌というほどに突きつけてくる。本作における戦いとは、敵との戦いであり、恐怖との戦いでもあり、己との戦いでもあるのだ。狩る側だと思っていたはずが、狩られる側だったのではないかと錯覚してしまわないよう、くれぐれも用心して探索に望むべきだ。


大切なのは、恐怖に打ち勝つ術を覚えること

さて、本作で待ち受けるさまざまな困難について紹介してきたが、本作が純粋なホラーゲームと異なるのは、プレイヤー側には恐怖に飲み込まれず、打ち勝つための術が用意されている、という点だ。まず第一に、ソウルライクの例に漏れず、トライアル&エラーによるプレイヤー自身の成長が大きい。

初見では回避不可能な攻撃も、予備動作や攻撃の間合いといったものを覚えることができれば、無敵の回避アクションとガードを駆使することでやり過ごすことができるようになる。ジャストガードを任意で発動させることができるようになれば、相手の動きを崩してそこから反撃の起点をつくることも可能だ。ありがたいことに本作ではガード不可の攻撃は、すべて敵の頭上にマーカーがつく仕様となっている。攻撃の構えとマーカーの有無をしっかりと見てガードするべきか、回避するべきか判断できるようになっている。くわえて一部の武器による強攻撃やジャンプ攻撃は、相手の動きを崩してダウンを取ることができる。素早い弱攻撃との使いわけが攻略では非常に重要になってくるといえる。

攻撃手段も豊富で、本作では近接武器と射撃武器を同時に装備可能になっている。近接武器はスタミナ、射撃武器はエナジーというリソースを消費する仕様になっているので、交互に使うことも可能だ。射撃武器はダメージ自体は低いものの、初めて遭遇する敵ならば距離を取って動きを観察しながら戦う、といった手段もとれる。陽動として特定の敵を攻撃して、離れた地点に誘い出すといったこともできるので、非常に頼りになる存在だ。時間こそかかるものの、射撃武器で安全に倒していくというプレイスタイルもいいだろう。

武器にはそれぞれ種類があり、近接武器ならば振りの素早いハンドアクス、一撃のダメージと攻撃範囲に優れた大剣、連撃に優れた攻防一体の双剣や両手ドリルといったものがある。本作は敵の動きが素早いため、振りが遅い武器は扱いに難があるものの、それぞれに強みはきちんと用意されている。一例として、大剣ならば強攻撃が非常に優秀で、素早い踏み込みからの切り上げという俊敏な動作と、相手の動きを崩すことができる副次効果がある。この崩しは一部のボスにも有効であるため、活用できれば戦いにおいて優位に立つことができるだろう。


射撃武器はハンドガン、ライフル、ショットガン、マシンガンといった種類がある。本作独特の特徴としては、それぞれに固有の強攻撃があり、同じ銃種であっても使い勝手が異なるという点だろう。弱攻撃と同時に追撃をおこなってくれる銃身に、浮遊する弾を展開させるライフルは瞬間的なダメージに秀でており、あらゆる場面で活躍できる。得意なレンジや敵に対応できるよう、弱攻撃はマシンガン、強攻撃はショットガンに切り替わるものもある。さらに射撃武器の弱攻撃には、一定確率で特殊効果が発動する仕様がある。短時間の間だけエナジーを消費せずに攻撃できるようになったり、強攻撃をリソースなしで発動できるようになったりする。

もう一点、射撃武器は物理攻撃ではなく属性ダメージという部分について触れておきたい。本作には炎上、氷結、強酸という属性の概念があり、物理防御とは別に防御力が設定されている。弱点の属性をつけばダメージが向上するだけでなく、属性ダメージを蓄積させることで状態異常が付与されるのだ。炎上は防御力の低下、氷結はスピードの低下、強酸は防御力とスピードが少しずつ低下するというもの。素早い敵も氷結させることで動きに対応しやすくなるため、ダメージリソースとしてだけでなく、状態異常にして戦闘を優位に進めるという点でも射撃武器は有効に活用するべきだろう。

さらに、エナジーモードという必殺技のような能力も存在する。エナジーモードをオンにすると、近接攻撃がスタミナの代わりにエナジーを消費するようになる。特筆すべきはエナジーモード中は近接攻撃のダメージにも属性が付与されるという点だ。弱点をついてダメージを向上させるだけでなく、状態異常に持ち込むこともできる非常に強力なモードというわけだ。エナジーモード中は回避アクションもエナジーを消費するようになるので、エナジーを第二のスタミナゲージのように扱うこともできる。通常モードでスタミナを使い切ったあとにエナジーモードに切り替えて攻撃を続ける、逆にエナジーモードでラッシュを仕掛けたあとに全回復しているスタミナで離脱といった戦術も可能になっているのが特徴だ。

その強さに気圧されないこと

ボス戦では壮大な戦闘BGMが流れ、恐怖との対峙というよりは、強大な敵への挑戦といった雰囲気に切り替わる。当然ながら、ボスの攻撃は熾烈で強力なものばかりだ。初見ではその強さに震えてしまうこともあるだろう。雑魚敵との戦い同様に、ボスもまたトライアル&エラーを繰り返すことで耐性がついてくる。また、フィールドそのものにギミックが仕込まれていることもあり、注意深く観察することが重要だ。たとえば周囲に“あるもの“が植え付けられているボスでは、体力を一定値削るごとにあるものから雑魚が登場する。対策として早い段階で対策をすることで、後半を安全に戦えるようになる。定期的に体力を回復するボスでは、戦闘開始直後にとあるギミックを破壊しておくことで回復を阻害できる。ほかにも、環境破壊によって怯ませることができるボスもいる。

また、体力が減ることで行動が変化するボスも存在している。本気モードになって攻撃が苛烈になったり、前半では使用してこなかった攻撃が解禁され、既存の攻撃に追加効果が発生するものもある。敵の行動パターンが切り替わることでボス戦そのものにフレッシュさが生まれるのも特徴だ。そしてボス戦ではマルチプレイが可能となっているので、どうしても特定のボスが苦手、攻略が難しいといったプレイヤーにも救済措置が用意されている。己を高めるために孤独な戦いを挑むもよし、協力プレイで強敵を撃破するもよし。それぞれのプレイスタイルにあわせて遊べるようになっているのは嬉しいポイントだ。


さらに攻略を補助する要素として、ステータス育成と装備強化がある。ステータスは敵を倒して得た経験値を消費して伸ばすことができ、基礎体力なスタミナ上限値を引き上げることはもちろん、筋力や精密性を上げて攻撃力を上昇させることも可能だ。一部の装備には必要ステータスが存在しているので、特定の武器を装備するためにステータスを伸ばす、といったことも視野に入れて育成していく形になる。限られたリソースで何を伸ばすのかによって、プレイスタイルは大きく変わるだろう。

装備強化では新たな武器を開発したり、防具を強化したりできる。防具はそれぞれ得意とする属性が明確にわかれているので、不安な人は複数の防具を用意して、敵の攻撃属性にあわせて現地で装備し直すといったこともできる。また、装備にはテクノロジーというサブステータスが存在しており、各種テクノロジーを伸ばすことで追加能力を獲得できる。各種リソースの上限値が引き上がったり、近接攻撃時に体力やエナジーを回復できる効果も存在している。しかしテクノロジーはすべてを上限値まで伸ばすことはできないので、どのテクノロジーを伸ばすかによって防具の組み合わせを考えていくことになる。

装備を作成する際にもっとも重要なのは、探索で得た素材を追加で混ぜることで装備のステータスを変動させられるという点だ。近接武器であれば単純なダメージを引き上げるだけでなく、スタミナ消費量を抑えたり、攻撃速度そのものを引き上げることもできる。レアリティの高い素材を用いることで、なんと攻撃速度を1.5倍にすることもできる。射撃武器ではエナジー消費量を抑えたり、同時に発射する弾数を増やすことも可能だ。長所を伸ばすのか、短所を補うのか。貴重な素材を使うべきか、惜しむべきか。個人の裁量によって大きく変わってくるポイントだが、攻略難易度を引き下げる重要な要素として積極的に活用していきたい。


挑む心をもて

さて、ここまで綴ったように、本作には恐怖に打ち勝てるだけの多彩な術がきちんと用意されている。惑星レヴィオン・プライムには心が折れてしまいそうな演出、トラップ、強大な敵が多数待ち受けている。しかし事前にしっかりと備え、死と恐怖を経験しながらも学ぶことで、プレイヤーは困難を乗り越えることができるようになっているのだ。そして戦いの果てに掴み取ることのできた勝利と、得られる達成感は、間違いなく次の探索の自信へと繋がるだろう。

筆者はゲーム体験を通して、SF作品としてのオリジナルアクション要素や装備カスタマイズ機能を持ちながらも、ソウルライクとしての軸がしっかりとしている印象を受けた。独特の恐ろしい雰囲気に何度も飲み込まれそうになりながらも、作中に散りばめられた世界観を紐解くフレーバーに魅力を感じ、挑む心を持ち続けることができた。宇宙の謎へと迫るということ、未知と遭遇するということの本当の意味を、身をもって体験することができるのは、間違いなく『Dolmen』ならではの魅力といえるだろう。

人は誰しも恐怖に負けてしまうことがあるはずだ。それはたとえば得体の知れない恐怖であったり、あるいは失敗への恐怖であったりするかもしれない。そんな恐れと対面したとき、逃げることは決して恥ずかしいことではない。しかしその場で踏みとどまり、何度くじけても再び立ち上がる心をもつことができたとき、人は間違いなく一回り大きく成長できるはずだ。本作はもしかしたら、そんな挑む心を手にするきっかけにできるのかもしれない。恐怖による緊張感と達成感とともに味わえる惑星ソウルライクは、あなたの挑戦をいつでも歓迎している。


Dolmen(ドルメン)』は、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam)向けに5月20日より発売中だ。価格はPC(Steam)版が4100円、各コンソール版は4950円(税込)。PS5/PS4向けにはパッケージ版も発売され、初回封入特典として「反乱軍のアーマーセット」「反乱軍のアックス」「反乱軍のソード」のプロダクトコードが同梱される。また、Amazonではオリジナルステンレスボトルが付属する限定セットも用意される。

蒼唯レン(VTuber)
蒼唯レン(VTuber)

自分のことをジーニアスだと思い込んでいる物書き系個人VTuber。FF14とドルフロをこよなく愛する特撮オタク。

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