カリフォルニア大学アーバイン校がe-Sports奨学金を今秋より開始。公立校では初、『League of Legends』のRiot Gamesも後援
カリフォルニア大学アーバイン校は3月30日、今秋よりe-Sports奨学金を開始することを発表した。『League of Legends』開発運営元であるRiot Gamesの後援を受けた形となる。カリフォルニア大学は州立大学であり、e-Sports奨励プログラムは公立校として初の試みとなる。
特設サイト「UCI eSports」では、e-Sports教育プログラムを持つ大学として世界一を目指すとの目標が掲げられている。e-Sports奨励プログラムは4つの柱「Competition(競技)」「Academics(学究)」「Community(コミュニティ)」「Entertainment(娯楽)」から成っている。優れたプレイヤーを世界中から招いて奨学金プログラムのもとで優遇し、コーチ陣などのサポートによりエリートゲーマーを養成するのが「競技」。アーバイン校はもともとコンピューターサイエンスに強い大学であり、UCI eSportsでもゲームデザイナー志望者向けのコースや、娯楽ソフトウェアにおける人間と機械の相互作用の歴史を学ぶコース、リハビリや訓練用のバーチャル環境構築を学ぶコースなどを開設し、これを「学究」としている。「コミュニティ」ではe-Sportsの重要な要素であるファンに注目。アーバイン校の在学生調査では、72%が自身をゲーマーと認識しているとの結果が出ており、そうした在学生とともに良い環境作りに取り組むとのこと。「娯楽」では在学生向けの特設施設「UCI eSports Arena」を建設予定。ゲーミングPCブランド「iBUYPOWER」のスポンサードを受けたこの施設は、e-Sports奨学金を受けている学生の使用やイベントが優先されるものの、それ以外はどんな在学生でも自由に使用することができる。提供された80台のPCを使ってさまざまなPCゲームタイトルがプレイできるようになる予定だが、特にRiot Gamesの支援により『League of Legends』が快適にプレイできるよう整備されるとのことである。
今秋開始予定のe-Sports奨学金制度は、現在アーバイン校に在学中・入学可能・転校可能な学生のみが応募可能となっている。奨学生枠は10名となっており、在学条件以外の応募条件は、『League of Legends』で最高ランクであるMasterもしくはChallengerに到達していること、アーバイン校のチームの一員となる意志があること。アーバイン校のチームは今シーズンの北米大学リーグ「uLoL Campus Series」の西部リーグに出場していたが、最終成績は7位となりプレイオフへの出場は成らなかった。アーバイン校は奨学金制度により有力なプレイヤーを迎え入れ、今後の北米のe-Sportsシーンで存在感を増すことを目指しているようだ。
北米でe-Sports奨学金制度を持つ大学としては、これまで「Robert Morris University」をはじめとして数校が知られているが、いずれも私立校であり、公立校としては初めてとなる。Riot Gamesはアーバイン校と地理的に近いロサンゼルスに本社を置いており、このことも同校との提携を後押ししたという。アーバイン校でe-Sports教育プログラムを受けた学生が、今後プロ選手やデザイナーとしてゲーム業界へと羽ばたいていくことになるだろう。Riot Gamesは他にも北米でe-Sports教育プログラムを設置する大学から連絡があれば、提携を検討するともしている。
日本でも先日から、おもに大学生を対象としたコミュニティ活性化が公式に始まっている。e-Sportsビジネス先進国であるアメリカの状況は、日本国内よりもはるかに先を行くものであるが、ゲームをキャリアにできる世界の先端をひらく動きには注目していきたい。