『League of Legends』、ハンマーで戦うチャンピオンPoppyの大規模リメイク概要を発表

『League of Legends』を開発運営するRiot Gamesは11月25日、チャンピオン「Poppy, the Iron Ambassador」の大規模リメイク概要を発表し、PBEへのテスト実装を行った。

League of Legends』(以下、LoL)を開発運営するRiot Gamesは11月25日、チャンピオン「Poppy, the Iron Ambassador」の大規模リメイク概要を発表し、PBEへのテスト実装を行った。Poppyはごく初期にリリースされたチャンピオンの1体であり、バランスの悪い性能や古いモデリングから、かねてより大規模なリメイクが予告されていた。LoLではこのようなチャンピオンの大規模リメイクやビジュアルの刷新、大きなバランス調整は「Champion Update」としてまとめられており、120体を越える数のチャンピオンに対して随時アップデートが行われている。

 

新しいビジュアル、新しい設定

今回行われるPoppyのリメイクは「フルリローンチ」となっており、スプラッシュアート・モデリング・キャラクター性能の全てが、新規チャンピオン制作時と同様に一から作り直されている。

力が達成する、大いなる偉業。不可能を超越する勝利。
偉大なる英雄の証というのは常にわかりやすいものです。特に、それを発揮する人間にとっては。たいていは。Poppyの使命は、伝説となる英雄に、伝説的なハンマーを届けることです。Runeterraじゅうを旅した彼女は、ハンマーの持ち主を志望する多くの者たちに巡り合いましたが、ハンマーを渡すべきだと思える人物には出会えていません。ハンマーの持つ力、彼女の任務にかかる重責。そして彼女の真の力を示すべく、刷新されたスキル構成。Poppyのスキル構成は、彼女の小さな体に秘められた力強さを表すようにデザインされています。Hammer ShockとHeroic ChargeのCC連鎖によって味方から敵を引きはがしたり、密集した戦いからキャリーを引きはがすために突入していったり。本当に道具箱に必要なのは、大きなハンマーひとつでいい……Poppyが皆さんに教えてくれるのは、そんなことかもしれませんね。”

発表内容によれば、チャンピオンのフルリローンチの一環として、キャラクター設定も一新されているようだ。旧設定では、ノクサス軍に殺された鍛冶屋の父が最後の依頼として仕上げた鎧を、依頼元であるデマーシアに届け、そのまま父の仇であるノクサスと戦うべくデマーシア軍に加わったヨードル(獣のような身体的特徴を持つこともある小人族)の女戦士にして外交官、という設定だった。一新されたキャラクター設定は詳細まで明らかになっているわけではないが、彼女の持つハンマーそのものがキーアイテムとなっているようだ。

Poppyが持つデフォルト含む7つのスキンすべてのスプラッシュアートとモデリング、さらにはアニメーションも完全に刷新されており、LuluやTristanaといった同じヨードルの女性チャンピオン同様、かわいらしいキャラクターが表現されている。中でも「Lollipoppy」はそのスプラッシュアートの気持ち悪さなどから、ファンの間では長らくネタにされ続けてきたスキンだが、美少女と呼んで差し支えないレベルにリメイクされている。

Lollipoppyはダンス中に旧スプラッシュアートの「あの顔」になる。

技術面でもチャレンジが行われたそうで、Live Balance DesignerのScarizard氏によると「LoL史上初の、顔の表情がフルアニメーションで動くチャンピオン」だという。

モデル・テクスチャー・ビジュアル効果全てが刷新された7つのスキン。
モデル・テクスチャー・ビジュアル効果全てが刷新された7つのスキン。

キャラクター性能としては、頑丈かつある程度の物理ダメージも与えられる近接攻撃チャンピオンとなっており、ソロレーンまたはジャングラーとしてのプレイが想定されている。動きが軽く、roam(マップを歩きまわり他レーンへと介入すること)が強力なチャンピオンという意図だ。スロー、スタン、吹き飛ばしなどのcrowd controlも一通り揃っており、試合中盤を過ぎると、ダメージディーラーを担うもろい味方から敵を引き剥がす役割を果たすようになるようだ。使用リソースは「マナ」で、リメイク前から変更はない。

 

新しくなったPoppyの能力

新しくなったPoppyのスキル構成を、リメイク前のスキル構成と比較してみた。リメイク前のスキル詳細はRiot Gamesが公式配信する静的データの日本語ロケール(Patch 5.19)より引用している。リメイク後のスキル名などには公式訳語が存在しないため、原文そのままの部分がある点についてはご容赦いただきたい。

以下に掲載する能力詳細は、11月25日現在のPBEのもの。

 

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旧パッシブ:勇敢な戦士
ポッピーの体力残量の10%を超える物理/魔法ダメージを受けた際、超過分のダメージが50%軽減される。建造物からのダメージには適用されない。

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新パッシブ:Iron Ambassador
Poppyは数秒毎に通常攻撃としてバックラー(小盾)を敵に投げつける。バックラーを投げつけたときの射程は400ユニットまで伸び、追加魔法ダメージを与える。投げつけたバックラーは敵に反射して地面に落ち、これを拾うことでPoppyは数秒間のシールドを得る(シールド量上限は最大体力の15%)。敵は落ちたバックラーの上に乗ることで、それを破壊することが可能。Iron Ambassadorの攻撃でターゲットをキルした場合、バックラーは自動的にPoppyの手元に戻ってくる。

大きく変更されたキャラクターパッシブは、攻撃性と頑丈さを両立し、近接攻撃チャンピオンの悩みである射程の短さもある程度カバーしてくれる。レーンで勝つためには、パッシブを活用することも必要になってくる。バックラーをミニオンに投げつけてラストヒットを取れば、自動的にバックラーが戻ってきてシールドが得られるので、相手とのダメージ交換が有利に行える。バックラーが地面に落ちてしまえば、歩いて取りに行かなければならず、相手がバックラーに先にたどり着いてしまったら壊されてしまい、シールドが得られないことに注意しよう。落ちたバックラーの方向へとわざと相手を誘導し、バックラーを拾いつつQを食らわせるという心理戦も展開できる。

 

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旧Q:渾身の一撃
敵を叩きつぶし、20/40/60/80/100 (+1AD) (+0.6AP) に、ターゲットの最大体力8%に相当するダメージを上乗せしたダメージを与える。このスキルの基本ダメージと追加ダメージの合計が75/150/225/300/375を超えることはない。

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新Q:Hammer Shock
Poppyがハンマーで地面を叩き、30/65/100/135/170 (+.65 AD)にターゲットの最大体力6%相当を上乗せしたダメージを与え、叩かれた地面を不安定な状態にする。不安定な地面は敵に20/25/30/35/40%のスローを与え、1秒後に爆発して地面を叩いたときと同量のダメージを与える。Hammer Shockのダメージはミニオンに対しては80%になる。

ダメージスキルという点に変更はないが、範囲スキルに変更され、使った場所に相手を足止めすることができればトータルで2倍のダメージが与えられる強力な能力となった。レーニングでは、パッシブやEと組み合わせる主力ダメージスキルとして使っていくことになるだろう。

 

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旧W:デマーシアの規範
固有スキル: 通常攻撃によりダメージを与えるか、受けるたびに、物理防御と攻撃力が5秒間、1.5/2/2.5/3/3.5上昇する。効果は10回まで累積する。
発動効果: 固有スキルによる能力上昇ボーナスが瞬時に最大化され、ポッピーの移動速度が5秒間、17/19/21/23/25%上昇する。

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新W:Steadfast Presence
固有スキル:Poppyは物理防御と魔法防御にボーナスを得る(それぞれ12%)。Poppyの体力が40%未満のとき、このボーナスは倍になる。
発動効果:2.5秒間、Poppyの移動速度が増加する。Steadfast Presenceの効果中、Poppyは周囲にダッシュで侵入してきた敵を止め、70/110/150/190/230 (+.7 AP)の魔法ダメージを与える。

Wからは攻撃力増加がなくなったかわりに、敵チャンピオンのダッシュを止めるというユニークな効果が加わった。集団戦時、もろい味方を狙ってこちら側に飛び込んでこようとする敵を阻止する場合に役に立つ。レーニングの間も、ダッシュスキルで逃げようとする敵を足止めすることができるので、効果的に使うことができるだろう。集団戦では、Poppyは味方を守る能力に長けた強力なタンクとなる。固有能力で強化された物理防御と魔法防御は、彼女が戦いながら立ち続けるための大きな助けとなってくれる。試合序盤~中盤では、発動効果を使ってダッシュでこちらの後衛チャンピオンを狙ってくる相手を止め、叩きのめす動きが理想になる。敵チームの物理防御や体力が上がってくると、Poppyの役割は味方を守ることに変わり、Wで相手アサシンの飛び込みを食い止め、Rで相手前線のタンクを吹き飛ばす。止められる敵の動きはダッシュのみであり、ブリンク(Flash含む)は止められないことに注意したい。

 

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旧E:勇猛な突進
敵に突進して突き飛ばし、50/75/100/125/150 (+0.4AP) の魔法ダメージを与える。さらにターゲットが建造物に衝突した場合、75/125/175/225/275 (+0.4AP) の魔法ダメージと1.5秒間のスタンを与える。

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新E:Heroic Charge
Poppyが敵にタックルし、50/70/90/110/130 (+.5 bonus AD)の物理ダメージを与えるとともに、前方へと突き飛ばす。さらに突き飛ばされたターゲットが建造物に衝突した場合、50/70/90/110/130 (+.5 bonus AD)の物理ダメージとスタンを与える。

リメイク前からPoppyのシンボルである、敵を叩きつける強力なスキル。このスキルゆえに、Poppyは1対1をはじめとする少人数相手の戦闘が強いチャンピオンとなっている。相手が壁の近くにいるというのは、Poppyにとって非常に好都合な状況だ。Eで敵チャンピオンを壁に向かって突き飛ばせば、続けざまにQと通常攻撃を食らわせる隙ができ、反撃をもらう危険性なしに大きなダメージを与えることができる。壁に囲まれた狭い道の多いジャングル内は、相手をスタンさせるのにうってつけの環境だ。

 

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旧R:絶対的特権
6/7/8秒間にわたって、指定した敵のチャンピオン以外の敵からの、あらゆるダメージやスキルを無効にする。
ロックオンしたターゲットへのダメージは20/30/40%上昇する。

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新R:Keeper’s Verdict
1回めの発動効果:Poppyは4秒間詠唱(溜め)を行い、その間15%のスローを受ける。
2回めの発動効果:Poppyが大地にハンマーを叩きつけ、200/300/400 (+.9 bonus AD)の物理ダメージを与え、最初に当たった敵チャンピオンとその周囲のターゲットを、スポーン地点の方向へと大きく吹き飛ばす衝撃波を発生させる。衝撃波の範囲とノックバック距離は詠唱時間に比例して大きくなる。吹き飛ばされている間の敵はターゲット指定不可となる。2回めの発動を行わなかった場合、クールダウン時間が30秒減少する。

リメイク前のRは、ほぼ無敵となる能力であり、相互作用に欠けるスキルだとして完全なリメイクが以前から予告されていた。新しいRを見ると、非常に強力なコリジョン操作能力となっている。レーニングが続いているLv6時点でRを習得すれば、Poppyの戦闘には多くの選択肢が加わる。詠唱を長く行わず、すぐに2回めの効果を発動させれば、狙った1体を吹き飛ばすことができるだろう。4秒間のフル詠唱を行えば、2対1のような不利な状況でも戦いの流れを変えることができる。フルチャージで敵をふっ飛ばせば、すぐには戻ってこれない距離まで行ってしまうので、経験値やゴールドの獲得を阻止することもできる。茂みに隠れてからRを放てば、counter gank(相手のgankを読んでレーンに駆けつけ、対抗すること)では非常に効果的だ。敵が有利な3対2から、こちら側が有利な2対1に、状況を変えてしまうこともできる。Rの範囲は非常に小さいが、単体対象ではない。相手チームが密集していれば、2体以上を吹き飛ばして戦闘から離脱させてしまうこともできるだろう。さらに集団戦では、相手を弾き飛ばし数的有利を作ることができる。Rの詠唱中に敵が放つCCをもらってしまうと、詠唱がキャンセルされてしまうので注意が必要だ。

 

コンビネーション、カウンターなど

同じチームにいると良いコンビネーションが実現できるチャンピオンとして、Morgana・Kog’Maw・Jarvan IVが挙げられている。MorganaのQによるスネアは拘束時間が長いため、Poppyの攻撃を助けてくれる。MorganaやAmumuといった設置・自分中心型のAoEダメージスキルを持つチャンピオンが味方にいる場合は、EやRで変なところに敵を吹っ飛ばしてしまわないよう、プレイに注意が必要だ。Kog’Mawは味方に守ってもらうことを前提とした超火力型チャンピオンのため、味方を守る能力が豊富なPoppyとはよく噛み合う。Rで対象の敵を囲む壁を作り出すJarvan IVも、PoppyのEのスタンとは非常に相性がいい。また、EQコンボのノックアップも、PoppyのQのダメージをフルに叩きこむ助けとなるだろう。

相手チームにいると苦戦すると思われるチャンピオンとしては、Ekko・Janna・Irelia。吹っ飛ばしてもボタンひとつで元の場所に戻れるといった移動能力に長けるEkkoは、Poppyにとってやりづらい相手だ。相手との距離を詰めるには歩くしかないPoppyにとって、豊富なcrowd controlで敵を遠ざけるJannaもまた、苦戦必至だろう。Ireliaは通常攻撃にTrue Damageを乗せる能力を持っているため、PoppyのWで得られるボーナス防御値が通じない。レーニングの時点から苦しい戦いを強いられる相手になるはずだ。

待望のリメイクとなるPoppy。かつての彼女はアンバランスで、ピーキーかつ調整の難しい性能を持ち、初期チャンピオンゆえの不十分なビジュアルから笑いの対象となっていたが、今度の彼女は一味ちがう。以前の特徴を残しつつも、スキルの組み合わせがわかりやすく、相手の位置を操作する能力が豊富で、習熟しがいのあるチャンピオンといえるだろう。「舐めて」かかればやられてしまう。本実装、そしてプロが見せるPoppyでのプレイが心から楽しみである。

キャンディは舐めても相手を舐めるのは……
キャンディは舐めても相手を舐めるのは……
Sawako Yamaguchi
Sawako Yamaguchi

雑食性のライトゲーマー。幼少の頃からテレビゲームに親しむが、プレイの腕前は下の下。一時期国内外のTRPGに親しんでいたこともあり、あらゆるゲームは人を楽しませるだけでなく、そのものが出発点となって人と人を結びつけ、新しい物語を作る力を持っていると信じている。2012年から始めた『League of Legends』について、個人ブログやTwitterにて日本語で情報発信を続けている。

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